商人組合関係者
【紹介人物一覧】
マクレベ・セグレべ・ハウレゼ・シウレゼ・マレルゴ・モサルド
マクレベ
リュウレイの姉リュウシュンの旦那でリュウ家の家宰セグレべの息子、80歳くらい。
リュウシンとは面識があり、栄華の都防衛戦直前に商人組合の元締めモサルドを介しての面会であった。その際、父セグレべの王家に対する献身を聞き長年家を空けがちだった彼に対するわだかまりを解くきっかけとなった。その後、商人組合親方衆の一人で父の師匠ハウレゼに弟子入りして、商人の仲間入りを果たす。
ハウレゼの口利きもあり、鍛冶師の村の工房売店の経営を引き受けることになるがその頃、姫巫女メイシャンの侍女で鍛冶師リュウメイの養女となっていた幼いころのリュウシュンに出会った。
その後、妹リュウレイの関係で工房の食堂に勤めていたリュウシュンと次第に打ち解けてゆき、二年ほど前に自分の思いを伝えて結ばれることになる。
普段は、村に一件しかない売店の店主として村人からの注文を取りまとめて毎日ふもとの町と村を馬車で往復する日々を送っている。
気弱だが、芯は強くいつか自分の店をもっと大きく広げてゆきたいと考えている。その夢は娘リュウキョウにも受け継がれていくことになるのだ――。
セグレべ
大陸の西方、レゾニア王国発祥の地として知られた黄昏の都出身の職人商人、二百歳ほど。
かつて大陸全土に広がっていたレゾニア商人組合の大本部が置かれた黄昏の都に育ったセグレべは親方衆の一人で腕利きの職人たちを束ねるハウレゼのもとに弟子入りして各地を旅する行商人として過ごしていた。
不可能を可能にする、出来ないこともやってみるを自分の信条として各地の顧客の要望に応えてきた彼は、数多いハウレゼの弟子の中でもその名を知られた商人となった。
しかし、獣使いの侵攻が始まり、故郷の黄昏の都は真っ先に滅ぼされてしまう。その憎しみを武器にセグレべは危険な獣使いの領域への密偵に志願して多くの情報を北方の栄華の都へと伝えていた。
ある時、商人組合でも有名だった没落貴族で精霊技師のレグナスの依頼を受けて、公には行方知れずとなっていた炎神の姫巫女探索の任務を引き受けることになる。十数人の密偵たちが参加したその探索行で唯一、姫巫女メイシャンを連れたリュウシンに遭遇した彼は、持ち前の器用さと機転を行かして北方への旅路を支えることになった。
リュウレイやリュウシュンに様々な知識や技能を伝え、また姫巫女メイシャンの召使には欠かせない料理の基礎を伝授したのも彼である。
現在は、古女房とともにふもとの町に念願の店を構えて息子夫婦とともにリュウ家に仕えながら充実した日々を送っている。
ハウレゼ
商人組合親方衆の一人で職人たちの頂点に立つ元締め、五百歳前後。
大陸西方の黄昏の都近郊にある町の小さな雑貨商に生まれた人物で、若かりし頃から商人組合大本部に出入りして職人としての頭角を現す。商人組合はかつて大陸全土に残る旧レゾニア王国時代の大きな意向をいくつも手掛けた古代の職人たちから始まっている。
その伝統を受け継いだハウレゼもまた多くの弟子とともに建築や土木に始まり、様々な商品の開発や販売交渉を手掛ける大物証人として各地の王侯貴族から熱い信頼を寄せられる豪快な人物であった。
人柄もよく生真面目で多くの者たちから慕われる彼もまた黄昏の都陥落で多くの仲間たちを失った一人であり、商売を通して壊滅寸前にまで追い詰められた貴族連盟騎士団を側面から支え続けていた。
姫巫女メイシャンを連れたリュウシン一行の帰還に合わせて、依頼主であるレグナスと護衛者クライスとともに鍛冶師の村を訪れ、鍛冶師たちの頭であるリュウメイに協力を要請。
武器の増産体制を築くべく、村に大掛かりな設備を持った鍛冶工房の新設に尽力した。
リュウシンの出陣に合わせて行われた一連の改革は精霊技師レグナスや一番弟子シウレゼの働きもあり、無事に完成して戦闘準備は急速に整えられていった。
その後も各地を巡り、領主フェリナとその後見役である行政官フレマス・ビダルのもと後方からリュウシンたちの戦いを支援し続けた。
戦いが終わった後は商人組合の重鎮として変わらずに努力し続ける日々を送っている。
シウレゼ
商人組合でその名を知られた腕利き職人、百歳くらい。
若いころから職人商人の一族に生まれ育った彼は、様々な知識をどん欲に吸収してついには商人組合でも指折りの実力者ハウレゼの一番弟子に上り詰めた。ハウレゼはシウレゼを育て上げることが自分に残された最後の仕事とばかりに、自分の経験してきた仕事関する事柄や、重要な仕事には必ずシウレゼを同行していくほどの期待ぶりであった。
そこで培われた実力は鍛冶師の村工房設立運営にいかんなく発揮され、主任技師を命じられたシウレゼは村の鍛冶師たちと協力しながら、優れた武器の増産体制を維持することに成功する。
戦いが終わった後も居心地が良かったのか、親方ハウレゼの元を離れて鍛冶師の村に滞在。その周辺に眠っていた古の遺構探索を趣味にしながら、各地の村々に設置した精霊機構の維持管理に勤めている。
マクレベとは気が合うらしく時々話し込む姿が目撃されているが、リュウレイたち工房の人々からほとんど気にされておらず、新入りのカンショウに至ってはその存在を認識すらされていなかった。
リュウレイの禁足地探索においては周辺地理を伝えるなど、割と重要な情報をもたらしてくれたが、用が済めば邪魔者扱いで早々に探索を切り上げて鍛冶師の村に帰還してしまった。
その後も、研究三昧の日々を送っている。
マレルゴ
セグレべの先輩商人でふもとの町商人組合会所の所長、三百歳くらい。
セグレべの修行時代の先輩で同じくハウレゼの弟子、彼は北方出身者で若いころから親の勧めで遥か西方の黄昏の都で商人としての知識と職人としての訓練を重ねていた。セグレベが行商人を選んだのとは対照的に彼は大陸各地に支部を持つ商人組合の事務方へと進み、大口顧客との折衝や大規模な催し物の運営に携わり、多くの貴族たちからの信頼を得て現在の地位に至った。彼も王家への深い尊敬の念は強く、姫巫女メイシャンやその家族のためにふもとの町の大きな祭りや宴を手掛け、故郷である北方地域全体の発展に努めている。
モサルド
商人組合親方衆を率いる大元締め、六百歳以上。
豪放磊落を絵にかいたような男気溢れる老人、数百年の間鍛えに鍛えた立派な体躯を持ち、商売は体が資本を体現した人物でもある。どんな場所、もの、人相手でも商売は出来るを信条に、大陸を股にかけて歩いた伝説の商人でもある。
ことに人使いのうまさでは右に出るものは無く、大きな商売ほど燃え上がる熱血的な性格である。
栄華の都に入ったリュウシンのもとに現れて協力を約束し、期待通りの活躍ぶりを見せた後、王都奪還後の物資輸送や避難民誘導などその働きぶりに勝るものはいなかった。
王都の戦い後も、混乱する中原の地の現状を少しでも良いものにすべく各地の軍閥相手の商売を続ける豪傑でもある。
ちなみに行商人となるナルタセオが師匠に選んだのもこのモサルドであったりする。