レイアス家・ふもとの町関係者
【紹介人物一覧】
フェリナ・リュミナ・ハルス・セルナ・ニノア・ラニア・リリア・カリム・スーラ・シェロン
フレマス・オルセイ・セファルナ・オスレイ・フェレナス
フェルネート・フェルネリア・フェイアネス・フェアルート
フィルセミナ・フィルラミル
フェリナ・レイアス
リュウ家を物心ともに支援し続ける若き領主連合盟主、21歳。
先の貴族連盟最高評議会第二位オスレイ・レイアスと元第一王女フェレナス夫人の末娘で鍛冶師の村の麓に広がるふもとの町(正式名称はバルビネル、元領主ビダル家始祖の名前からとられている)の現在の領主である。
姫巫女メイシャンと姉姫アルスフェローの後見の下、北方貴族たちの緩やかな統治機構領主連合の初代盟主としてその政治手腕を振るう。父オスレイ公より、レイアス家の家督を相続しており、幼少期よりともに騎士団学校に通っていた9名の臣下とともに多忙な日々を過ごしている。
リュウシンの間に娘フェリルナートを授かり、母フェリナが不在の時は領主代理として公務を代行することもある。
長女フェルネートを筆頭に軍事の名門たるレイアス家の伝統を受け継ぎ、貴族連盟正騎士の称号を授かっている。自ら率先して甲冑に身を包み、各地より集まった諸侯の軍を前に定期的な演習を行い、領主連合独自の軍事機構編成を目指す。
南方防衛を名目に新たな兵団を創設して城砦建設を推し進めるフェリナの方針に対し、収穫祭参加を機に表舞台に復帰した元貴族連盟騎士団将軍であるフェルネートはさらなる防備強化の必要性を説き自らその役目を担うことを宣言した。
こうして、フェリナたちレイアス家姉妹による新たな政治体制の下、領主連合は大きな変革期を迎えることになってゆく――。
リュミナ・リスアム
領主フェリナ付きのレゾニア騎士であり、その手足となって働く側近の一人、21歳。
先祖代々レイアス家に仕える一族の出身、父は連盟騎士団に所属しておりフェリナと同じころに生を受けたリュミナもまた生涯にわたって主を支え護ることを義務付けられていた。
こうした風習はレゾニア王国以前の黎明期から続く炎の民の文化として根付いており、身分くらいが高い家柄ほど、優秀な人物の子弟を我が子のために集めともに養育するのが常であった。
騎士学校にて、フェルネートの教えを受けた彼女は突如として始まった獣使いとの戦いにより、父や兄たちを続けて失う悲運を経験する。のちに戦いが激化すると比較的戦火の少ない辺境の地に身を隠すべく、多くの人々が疎開していた。
誇り高い主のフェリナはそれを良しとしなかったものの、辺境巡視を名目に栄華の都から強制的に赤の聖地にある古代の神殿監視を命じられて、遠ざけられていた。
その緑深き樹海の地にて、リュウシンたちと出会ったフェリナ主従はその後若き王に忠誠を誓い、その旅路に同行することになる。
短い時間の中、育まれた絆はやがて形となり王都解放から間もなくしたのちに一人娘リューナを授かった。
戦後の混乱期を逞しく乗り越え領主連合盟主として名実ともに歩み始めた主フェリナを支えながら、リュミナは若き王の帰還を今も待ち続けている。
リュウレイやリュウシュンたちとは仲が良く、下に兄弟のいないリュミナたちにとっては妹のような存在である。
ハルス・アミス
リュミナとともにフェリナに仕えるレゾニア騎士、21歳。
リュミナと同じく貴族連盟騎士団の父を持ち、中でもハルスの父は騎士団長としてレイアス家の次男オルトスレダル将軍に仕える人物であった。上の兄たちから武芸の手ほどきを受けたハルスはフェリナの剣術指南役として他の仲間たちとも騎士学校の訓練に励んでいた。
栄華の都南方を守っていた主力軍が壊滅した時、涙を見せず都からの退去を主や仲間たちに納得させたのもまたハルスであった。誰よりも深い悲しみの縁にありながら自ら率先してそれを振り払うがごとく、周囲を励まし続けたハルスはやがて出会ったリュウシンに深い信頼と尊敬の念を抱くことになる。
その後、栄華の都を守り抜き王都奪還を成し遂げたリュウシンの活躍を聞いたハルスは父や兄たちの死が無駄ではなかったことを知り、一人涙を流したという。
リュウレイにとっては尊敬できる年上の女性であり、剣術や礼儀作法を教えてくれた恩人でもある。
セルナ・ミーム
ニノア・ラシェト
ラニア・クルム
リリア・ラムト
カリム・スコラ
スーラ・ルルク
シェロン・マハト
ともにレイアス家家臣の娘たちであり、フェリナの家臣となるべく養育された、全員が21歳。
領主フェリナにとっては幼いころからの友人であり、欠かすことのできない存在である。現在はそれぞれの役目に従い、領主連合盟主フェリナを支えるべく活動を行っている。
皆炎の王であるリュウシンとの間に娘を設けており、彼女達もまたリュウ家の女である。
フレマス・ビダル
ふもとの町バルビネルを代々統治してきた一族の当主、現在はフェリナの後見役として周辺領地の統治を代行する行政官を担っている、400歳以上。
温厚な人物であり、レイアス家に長く使える辺境領主の一人。
身分は低いものの、確かな血筋を引き遥か昔にさかのぼれば白の山嶺で金属の精錬に携わったレゾニア鍛冶師たちの末裔であるともいう。古の時代、王家に生まれながら炎神を否定する学説を唱えたために王族から追放された禁忌の存在、セファルナ・バルナスの血筋を受け継ぐ一族でもあるが、そのことは公には秘匿とされており北方における人間たちの製鉄業に深く携わり、その事業を手厚く保護してきた。
ビダル家とその親族による殖産政策により、ふもとの町周辺では商業も発達しており、辺境にありながら商人組合の会所が設けられ、月に数回大きな市が開かれる盛況ぶりを見せる。
現在は地方役人として活躍するフレマスも若いころはレゾニア騎士団に席を置く武人であり、いざというときは一族を上げて戦いにはせ参じる勇猛さを併せ持つ。
オルセイ・ビダル
先代領主フレマスの側近であり、白の山嶺周辺に点在する鍛冶師たちの村々の民政を担当する役人、三百歳以上。
北方鍛冶師たちは代々領主とその配下から手厚い保護政策を受けており、炎神の加護を与えられてきた。その恩恵もあり、製鉄業は大いに栄えた。それらを行政面で長年支えてきたのがオルセイやその部下たちであることは言うまでもない。
先祖代々、オルセイたちの加護を受けてきた村人たちは深い信頼と感謝を寄せており、オルセイたちもまたそれにこたえるべく、日々活動を続けている。
遥か昔に放棄された禁足地、祖先の残した精錬所跡をリュウ家の跡取り娘リュウレイが訪れる許可を求めた時も、オルセイは驚きを覚えつつもその将来に期待していたことから特別に許可した。その地でリュウレイたちは思いもよらぬ出会いと体験をすることになる――。
セファルナ・バルナス
遥かな昔に王家に生まれた姫巫女候補の一人、その後現代まで続くセファルナ神学の始祖となるもその考え方を危険視されて大陸北方の白の山嶺奥深くに幽閉されてしまった曰く付きの人物。
赤の山嶺はもともとこの地に残っていた地の民の血筋を受け継ぐ者たちの聖域であり、炎の民に征服された彼らはその後も変わらず鉄を加工する精錬業に従事していた。
囚われの身となったセファルナを彼らは温かく迎え入れ、失意のうちにあった彼女はやがて心を開き自らの知識を生かしてこの地を発展させるべく、大きく貢献していくことになる。
やがて多くの子と弟子たちを残したセファルナはこの世を去り、その業績は人々がこの地を去ることで完全に忘れ去られていった。
それから数千年後、鍛冶師として独り立ちするべく禁足地を訪れたリュウレイたちはその奥地で精霊となったセファルナと出会い、失われた禁足地の真実に触れることになる。
そののち、リュウレイはセファルナの協力のもと見事二振りの作を打ち上げて、鍛冶師の村へと帰還を果たしたのだった。
オスレイ・レイアス
レイアス家先代当主であり、現当主フェリナ・レイアスの父、400歳以上。
旧貴族連盟最高評議会第二位にして最高議長バフェール・イダムの片腕として重きをなした金髪碧眼の温厚な人物。先々代当主オルガイアと妻エルマリスの三男として生まれ、レゾニア国王アレンダールと王妃レイフェリアの長女フェレナスを娶り、彼女との間に15人の子をもうけた。
貴族連盟の有力な貴族たちはお互いに婚姻関係を結ぶことでその団結を高めてきた。それゆえ、オスレイの一族連枝も多岐にわたりその関係は貴族連盟崩壊後に成立した領主連合にも受け継がれ、盟主フェリナの政権基盤として機能している。ある意味レイアス家による独裁色も帯びており、それに反発する貴族たちも一定数存在はしている。
何よりも妻フェレナスを深く愛していたオスレイは栄華の都防衛戦の過程で亡くなった妻を忘れることができず、末娘フェリナに家督を譲った後は自領に引きこもり隠遁生活を送っている。
近隣に住まう娘や孫たちの訪問以外は受けることはないが、先の戦争終結から6年が経過したこともあり、長女フェルネートの心境の変化や日々成長していく孫たちの将来に目を向け始めたようである。
フェレナス・レイアス
レイアス家当主オスレイの妻であり、先王アレンダールの長女、故人であり享年は400歳前後。
王女時代は王都の民から非常に高い人気と人望を兼ね備えた美貌をうたわれていた。しかし、その反面炎の王族としては力が弱く炎神の加護を賜ることなく王家を去ることになった。両親をことのほか尊敬し、母レイフェリア王妃の跡を継ぐ力を持ちえなかった自分の運命を呪っていたが、栄華の都でフェレナスを待っていたのは実の叔父叔母である最高議長バフェールとリファーナ夫人の温かい歓迎であった。
そして何より、彼女の夫となったのは温厚篤実な人柄で知られた名門貴族レイアス家の若き当主オスレイその人であった。その人柄に触れたフェレナスは心から自分の幸運に感謝したという。
その後、王都より付き従ってきたセファルナ神学の若き学士マルドゥーク・デュラスをレイアス家の家宰に任じて家政や子息の教育を委ねた。
幸福な時間が突如終わりを告げたのは、王都にて母レイフェリア王妃が次代の姫巫女候補三人を選び、十年後に退位する旨を告げて間もないころのことであった。
大混乱の中、かろうじて伝わってきた情報は中原の民が悉く異形の獣たちによって食い尽くされ、レゾニア王国は滅び去ったという。王都の脱出してきた末の妹アレアスタ王女は母レイフェリア王妃の死を目の前にして姫巫女の証である陽炎の紋章を受け継いだという。
リファーナ夫人の配慮もあり、流浪の姫巫女を預かることとなったフェレナスは突然多くの親族を無くした悲しみに打ちひしがれ、我を見失うことになった。
その結果、心無い言葉と仕打ちを幼い妹にぶつけた彼女はのちにその報いを受けることになる。北の地に攻め寄せる獣使いとの戦い、次々に倒されていくレゾニア騎士たちの中にはフェレナスの愛息たちも含まれていた。
七人いた息子たちを戦いで失ったフェレナスは、憔悴して床に臥せることが多くなる。
その後、リュウシンたちと偶然遭遇した末の娘フェリナは、鍛冶師の村を領地に持つふもとの町の領主となることを父オスレイ公に願い出て、許しを受ける。
それを家宰マルドゥークから報告されたフェレナスはまだ見ぬ姫巫女とその夫となった人間の青年、のちに炎の王としてレゾニア人全ての上に君臨するリュウシンを激しく憎んだ。
栄華の都を巡る緒戦に勝利して見事な凱旋を飾ったリュウシン、多くの貴族たちが集まる大議事堂にて病身を押して若き王の前に立ったフェレナスはわずかに残った元王女の誇りを否定されることになる。
その後、多くの人々が栄華の都を去っていく中、最後まで都に残ることを決めたフェレナスは皮肉にもリュウシンの村を滅ぼした獣使いによって殺されてしまう。あまりにも呆気ない死を迎えた彼女が最後に何を思ったのか、それを知る者はいなかった――。
フェルネート・レイアス
元貴族連盟騎士団将軍であり、凛々しいその立ち姿から姫将軍の異名を取る、三百歳。
レイアス家の長女であり、先の国王アレンダールの初めての孫ということもあり周囲の期待を一身に背負いレゾニア騎士となる。女性では初めて連盟騎士団将軍職を拝命しており、その実力は北の都一の術士とまで歌われた。
生真面目で融通の利かない性格だったが、同じ騎士団総帥のリフルセドラや二人の弟フレンダリルとオルトスレダルの助けもあり、多くの人々の人望を集めていた。
その後、獣使いとの戦いの最前線に立つも、多くの部下や弟たちを失い残存戦力を率い、打って出るも包囲網に落ちてしまう。
しかし、初戦に勝利を飾ったリュウシンたちの手助けもあり無事に栄華の都へと帰還を果たす。その後、獣使いの長将軍ガデル率いる軍勢を迎え撃つもリュウシンとともに深い傷を負った炎の乙女たちは深い眠りにつくことになる。
その後、目覚めたリュウシンを見送った後は自領へと戻り、一人娘フェルネリアを出産後は表舞台から姿を消していた。
その後、妹フェリナの誘いを受けて復帰。収穫祭時に、かつて秘かな思いを抱いていたリフルセドラの息子たちと亡き弟の娘たちの婚約を聞いて、人知れず落涙。人一倍酒に弱いにもかかわらず深酒をして寝込んでしまう。
その寝所に召使のウルとともに乗り込んできたリュウレイにリュウシンから賜った剣を見せ、当時の様子を語って聞かせた。
娘フェルネリアを何よりもかわいがっており、彼女のために何ができるのかを模索した結果領主連合の軍務に復帰して次世代を育成する学園設立を引き受けることになった。
その決断がこれからの大陸史に大きな影響を与えることになるが、その結果がわかるのははるか先のことである。
フェルネリア
炎の王リュウシンと姫将軍フェルネートの間に生まれた娘、五歳。
隠遁生活を送っていたフェルネートの下でわがまま一杯に育ったお嬢様。祖父オスレイ公やほかの親族とは面識があるものの離れた地で育ったほかの兄妹達のことは知らずにいた。
その後、父の故郷である鍛冶師の村を訪れ、姫長メイシャンや腹違いの兄妹リュウサンやリュウオウ、村の子供たちと交流したことで大きく成長していくきっかけを得た。
母フェルネートの決断により、ふもとの町に邸宅を構えそこで暮らすことになるがそれがこれからのフェルネリアにどのような変化をもたらすのかは先のお話。
フェイアネス
姉フェルネート将軍の下で正騎士長を務めた騎士姫、六十歳前後。レイアス家の七女。
幼少期は体が弱く、多くの家臣たちに囲まれて育った内気な深窓の令嬢であったが上の兄妹達の影響もあり徐々に活発になり、のちにはレゾニア騎士の叙勲を受けてよく日に焼けた褐色の正騎士長となった。
姉譲りの生真面目な性格の半面、人格に余裕がなく自分自身を鍛錬してなお及ばない姉や兄たちに強い憧れを抱いていた。
獣使いとの戦いでも大いに活躍するものの、決死戦に打って出た姉フェルネートの部隊を残し援軍を請うべくリュウシン達のいる鍛冶師の村への使いを買って出た。その際多くの部下たちの死と引き換えに包囲網を突破しており、それが後々まで彼女の心を苦しめることになる。
出陣の当日、人間であったリュウシンのことを認められずに無謀にも戦いを挑み、自分の放った力の奔流を逆に利用されて敗北。その後は、村に残りリュウシンの姉、リュウメイに鍛えられながら本来の自分を取り戻していく。
なお、同じくリュウメイに鍛えられていたリシンたちとは生死苦楽を共にした中であり、今も親交があったりする。
栄華の都の戦いで対峙したレクルピオネの身元引受人でもあり、各地で騒動を起こすその破天荒ぶりに息子フェアルートと気を揉む日々を送っている。
フェアルート
騎士姫フェイアネスの息子とは思えないほど礼儀正しい貴族の子息、五歳。
幼いころのフェイアネスと同様に物静かな性格だが、穏やかで思いやりのある少年。勉強好きで、レイアス家お抱えの学士団による専門教育を受けており、その将来を期待されている。
レクルピオネには憧れを抱いており、生来彼女にふさわしい男になるべく努力している。
フィルセミナ
旧貴族連盟で政務官を務めレイアス家の家政を担った才女であり銀髪の公女、80歳前後。
レイアス家六女。
しとやかで見目麗しい女性であり、叔母である姫巫女メイシャンによく似た容貌を持つ。
栄華の都にたどり着いたリュウシンの補佐役として活躍、その後領地に戻り一人娘フィルラミルを産み落とした後は妹フェリナの要請に従い、領主連合に属する貴族たちの利害調整役として政務官の職を拝命する。
常に各地を巡っており、決まった領地を持たない。二年前からは補佐官アルカフーオの協力もあり、その成果が徐々に実を結びつつある。
人の好い外見とは裏腹に強い気性の持ち主でもあり、レクルピオネと直接対峙するなど血の気の多い面も隠し持つ。
リュウシンから剣を託された一人であり、鍛冶師として成長するリュウレイにその剣を見せたこともある。収穫祭の後は、しばしの休息を経て再び各地を巡る任務に戻っていった。
フィルラミル
幼いながらも母フィルセミナに従い各地を巡り様々な知識を吸収した少女、五歳。
頭脳明晰であり、母譲りの流暢な語りぶりもあって多くの貴族たちにかわいがられている。その反面、変わらない日々に退屈を持て余しており、収穫祭でもほかの兄妹達との交流はそこそこに楽しんでいた様子。
収穫祭後はフェアルートの影響からか勉強に身を入れるつもりらしい。