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幽霊

露天風呂を出ると、アオイはいったん自室に戻る。


(やっぱり…お泊まりという事はそう言う事…だよね…)

自室で一人で悶々とするアオイ。


一応…自分的にはそれなりに可愛いと思う下着を持って来ている。

ということは…まあ自分でもその覚悟があって来ているわけで…。


意を決して着替え、歯を磨き…

(こういう時ってお化粧とかどうするんだろう??)

などと言う事でしばし悩む。


さすがにユートの姉の遥に聞くのは恥ずかしい…が、藤あたりならざっくばらんに教えてくれたかも…と今更のように思った。


というか…そもそもユート自身はどうなんだろう?

そういう気…あるんだろうか?

そっちも問題だ。


着替えて準備万端になったものの自分からいきなり何でもないのに部屋に行くのも…と思っていると、以心伝心のように内線がなる。


『あ、アオイ。風呂あがってたんだ。こっちこない?』

ユートの言葉に緊張しつつも

「うん、じゃあお邪魔するねっ」

と言ってアオイは内線を切った。




その頃ユートの部屋では、思いっきり緊張しつつもなんとかアオイを部屋に誘って了承されてそこでヘタッてるユートの姿が…。


風呂には入った。歯も磨いた。避妊具もオッケー。

そして彼女を部屋に誘って…彼女がくるわけで…


「ユート、私。入ってもいい?」

やがてドアがノックされる。


「どうぞ」

緊張が最高潮に達した。

ドアが開く。

そして現れる愛しの彼女。


「おじゃましま~す」

ソロリと室内に入ってくるアオイ。


その場に硬直。

顔がひきつってる。


なんだか様子が…


「きゃああああ~~~っっ!!!!!!」

いきなりの悲鳴に呆然とするユート。


な、なんなんだっ??

と思う間もなくかけつけてきた遥が

「悠人何したのよっっ!!」

と投げつけてきたスリッパがクリーンヒット。

同じくかけつけた藤に抱きつくアオイ。


「ちょ、俺まだ何もっ!!」

「言い訳っするなぁ~~!!」

と、さらに飛んでくる蹴りは、頭にヒットする直前にかろうじて自分をかばってくれるコウの腕で止められる。


「先に話を。」

というコウの言葉でようやく我に返った遥。


そこでようやく自分がパジャマ姿だった事に気付いたらしい。

慌てる遥にコウは自分のカーディガンを提供した。


「あ、ありがとっ、ごめんね、碓井君。」

真っ赤になる遥に、いえ、と、返した後、コウは今度はアオイを振り返った。


「で?今の悲鳴はなんなんだ?アオイ」

その声に藤に抱きついていたアオイも平静さを取り戻して、それでも恐る恐る部屋の奥の窓を指差す。


そこでコウも窓を振り返るが、変わった様子はない気がする。


「窓が…なんだって?」

「ゆ…幽霊がっ…」


「幽霊?」

コウは窓に駆け寄って外を見るが変わった様子はない。


念のためと窓を開けて上下も確認するがこれと言って何もない気がする。


「何も…ないぞ?」

「嘘っ!さっき窓の外に浮いてたんだもん、人みたいなのがっ」


その言葉にコウは再度窓の外に目をやる。

幽霊というのはないにしても、泥棒という線もある。


…が、近くに飛び移れるような木もなければ、雨で濡れた土には、特に足跡がついている様子もない。


「やっぱり何もないんだが…」

コウの言葉に恐る恐る窓際によるアオイ。

自身の目で確認してようやく納得したらしい。



「まあ…疲れてんのかもね」

と藤が、

「…色々あったしな、ゆっくり休みな」

と別所が

「あんまり強引に迫らないのよ、悠人」

と遥が

「まあまた何かみつかったら今度は内線で呼べ」

と、コウがそれぞれ部屋に帰って行く。


そして残される二人。





「…ごめんね、ユート。

ホントに見えた気がしたんだけど…。

スリッパ…痛かった?」

本当に申し訳なさそうにため息をつくアオイ。


「いや、平気。

姉貴が暴力に訴えるのもいつものことだし。

アオイもちょっと疲れてるのかもね。

木戸の事で緊張の連続だったし…。

ごめんね、ゴタゴタして。」


今…一番きまずいのはアオイだろうし、彼女が滅入りやすいのはユートもよく知ってるため、落ち込まれる前にフォローを入れておく。


備え付けのポットでティーバッグの紅茶をいれてアオイに渡し、自分はベッドに腰を降ろすとアオイの気持ちをほぐさせようと

「露天でさ、女3人どんな話してたの?

姉貴変な事とかいわなかった?」

と、軽い感じで話題をふった。


「あ~それなんだけどねっ」

アオイはあっさりのせられて、藤の話とかを話し始める。


「戻ったらフロウちゃんに電話ででも言ってあげようと思って♪」

なんとか元気になってきたアオイだが、まあ今日は止めておいた方がいいかもしれない。

明日もあることだし、どうせなら明日は二人で露天からでもいいなぁ…などと思いつつ、二人の夜は結局雑談でふけていった。




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