~別れ~
椿にはすべてを話そうか悩んだ。
『神様のお告げ』なんて信じるわけがない。
仕方がなく比喩って話すことにした。
「俺の命は今日までらしい。半年前に有った健康診断で癌が見つかったんだ(医者には糖尿病で呼び出されただけ)。末期だったようで、もって半年と余命されて…」
「そんな!嘘だと言って下さい!」
「ごめん、嘘じゃないんだ。診断書だってある(糖尿病のだけど)。多分、余命も当たってると思う。朝から何も感覚が無いから」
「…先輩今どこですか!?お家にいらっしゃいますか!?」
「いるけど…、お前家の場所知ってんのかよ?」
「知りません!教えて下さい!!今すぐ行きますから!!!」
「場所は教えないけど、ヒントやるから探しな」
椿は場所を教えてと言ってくるが、ヒント以外言わないと伝えると、メモるから待ってほしいと言ってきた。
○○市の国道◇◇号線にある高層マンションが5棟ほどある。その中の512号室が俺の部屋だと伝えると「直ぐに行くから待ってて下さい!」と言って『椿がログアウトしました』
たしか後輩ちゃん住んでるとこ、ここから4つ先の☆☆市らしいから、ここに車で40~50分くらいか、そこから俺の部屋に来るのに30分くらい掛かるかな。
気付いたら13時を廻っていた。
俺の命はあと45分かぁ。
後輩ちゃん、今市内にに入ったくらいかなぁ。
近所に宅配ピザ屋が有るから、一番好きなマルゲリータでも頼むかな。20分もせず持ってくるだろう。
-13時30分。
後輩ちゃんのスマホに45分に届くようにmail設定もしたし、さっき来たピザも旨かったし、あとは待つだけか。
死んだらどうするかな。
多分異世界に行かなかったら輪廻転生でもするんだろうなぁ。
異世界に行けるなら行きたいと思ってただけやったんだけど、まさか行けるチャンスが有るとはなぁ。
-13時43分。
俺の人生もあと2分かぁ。
27年間真面目に生きてきたつもりだけど、呆気なかったなぁ。
もう少し遊んでも良かったかも(笑)
まぁそのおかげか、8年以上も『アクセル•ハート』で遊べれたんだけどね。
-13時44分。
あと1分…か。
『せめて苦しまないようにしてあげますよ』
幻聴かと思ったが、聞いたことある声だった。
まぁ、苦しんで死ぬより楽に死ねるのは助かる。
後輩ちゃんは…、やっぱり来なかったか。営業回りで迷うくらいだからなぁ。
…やっぱり、最後に見たかったかもなぁ。
PPPP! PPPP!
「…mail?…先輩からだ!」
『高橋 舞ちゃん、多分このmailを見
てる頃には、俺は死んでるかもしれ
ない。なんて、ドラマみたいなこと
言って笑えるかな。
会社で初めて君を見たとき、正直子
犬みたいな女の子だと思ったよ。だ
けど、仕事はしっかりこなしてくれ
る真面目な女の子だった。
人事にいる同期に『正社員として』
頼んだのは正解だったよ。
もしかしたらまだ生きてるかもしれ
ないから、諦めず探してくれるかな
?死んでたとしたら、発見者は君が
いいな。
もし部屋が解ったら、1階にある郵
便BOXの中に合い鍵を入れといたか
ら、開けて入ってよ。
じゃあ、待ってるから早く来てね。
少しは信頼する先輩だったかな?』
「……先輩」
先輩の部屋に到着すると、先輩は息を引き取っていました。