~運命~
夢…。
それはその人の精神的状況を自ら確認出来る動画のようなもの。
の、はずなんだが…
「俺ってロリコンなのか…?」
目の前に1人の少女。
金髪のセミロング、体に布を巻きつけたような服に、何かの葉の冠。
「こんにちは!神崎直也さん!!」
「…君だれ?」
「私はあなたの世界で言う『神様』です!」
ニコッと笑顔を見せながら胸を張る少女。
…痛いわぁこの子。
こうゆう感じの小説とかゲームとかあったなぁ…。
主人公が神様に頼まれて異世界転生する話だったかなぁ?
「それと一緒にしてほしくないんですけど!?」
「…なんで考えてることがわかるんだよ」
「わかりますよ?神様ですからね!」
また胸を張ってる…。
…ひっぱたきたい。
「や、やめて下さい!暴力反対です!」
…また考えてること読みとられた。
「…とりあえず話を進めますけど、先程の異世界なんちゃら…、みたいなことをお願いしにきました」
「同じやんけ」
「だから違いますって!あれはいわゆる『私の世界に来て勇者みたいなことして下さい』ってやつですよね?」
みたいなこと(笑)
「あれはまだこちらでの運命が残っている人を半強制的に異世界に連れて行く感じですけど…」
…ん?
「私の場合は、残り少ない運命の人達から選別して選んでいるんです!」
…ちょっと待て。
運命が少ないってどうゆうことだ?
「あなたは明日、会社に出勤後の13時45分に心臓発作で亡くなる運命です」
は?っことはなに?
明日、俺が死ぬってこと?
「そのまんまの意味で説明したんですけど、分かりづらかったですか?」
いやいや、冗談はよしこちゃんでしょう(笑)
「…古。歳いくつなんですか?でも、冗談でもよしこちゃんでも無いですよ?確実に直也さんは明日、心臓発作で亡くなる運命です。その証拠に…」
少女が何かを背負うように持ち上げる。
自分の身長と同じくらいのハリセンだ。
それを思いっきり直也に振りかぶった。
バチーーーン!
「いっった!なにするんじゃボケ!」
「そうです、直也さん!ここはどこですか?」
っつーー…なんだって?ここ?
ここは俺の夢のな…か?
「そうです。直也さん、夢の中なのに痛いんですか?」
人は夢の中で痛かったり、気持ちよかったりする夢を見ると、脳がそう感じさせるように機能してしまうことが有るらしいのだが、悶絶するような痛みを感じさせることは無いそうだ。
つまり…
「マジか…?」
「ウソだと思うならもう1発イキますか?」
結構だ。
なら信じるしかないな。
「あら、結構簡単に信じるんですね?」
俺達人間ってのは、神様と違って必ず死ぬんだ。それが早いのか遅いかの違いで、俺の場合は早かっただけのことだろ?
「まぁ、そうですね。でも少し違うとことろが…」
ん?
「神も死にますよ?確かに人間に比べれば超延命ですけど、わたしも成長しますし、私の前の神様だったジジイが死んだから私が神になったんですから」
へぇ~、死ぬ前に良いこと聞いたわ。
「明日、お亡くなりになったときに、もう1度確認に来ます。それでは、最後の残りの人生悔いの無いよう」
-ここで覚めた。