山井先生
遅くなりました(_ _)
山井先生。
「……スー……スー……」
秋乃は、机に伏せて寝ている。
今は五時間目。お腹は満腹、先生の声が子守歌に聞こえる不思議。
「先生。舛田が寝てます」
犀が、眼鏡のブリッジを押し上げながら言う。
「あ? またか……」
と山井がため息混じりに呟く。
「何回目だよ。舛田ぁ、授業中だ。起きろ──」
山井は教科書で軽く秋乃を叩く。
「先生、人を叩くのはいかがなものでしょうか」
犀が口を挟む。
「……軽くだから大丈夫だ」
「じゃあ俺を力いっぱい叩いてください!」
「黙れ」
「罵ってくれても構いません! いや、お願いします!」
朔が立ち上がって熱弁する。
「とりあえず、落ち着け野嶋。気持ち悪いから──」
「いいじゃないですか! ちょっとくらい罵ってくれたって!」
「何だその、わからないからちょっと答え見せて。みたいな物言いは──あれ? ちょっと違うか?」
と少し首を傾げる。
すると、香月が驚いた声を上げる。
「え?! 何で唐揚げこんな高いの!?」
「お前は国語の授業に何を驚いてるんだ」
「いや、高いんですって! ほら──」
とスマホを山井に見せる。
そこには、唐揚げ値上げ! と唐揚げの映像と共に書いてあった。
「そうだな。だがな、授業中に携帯いじっていいと思ってんのか?」
「……ぁ」
「はい。没収。今週いっぱい返しません──」
「先生ぇ〜」
「そんな悲しい顔しても、先生は返しません。残念でした──」
と香月のスマホをポケットにしまう。
「もし今日中に返して欲しければ、メロンパンとカフェオレを買って来い」
「ただのパシり!?」
章がツッコむ。
「ナイスツッコミ。もっと早くきても良かったな」
「誰目線ですか!」
「大人目線?」
「……そうですか──」
ツッコまなきゃよかったと章はため息を漏らす。
「ん……」
「先生、秋乃が起きました」
香月が秋乃を指差す。
「おお。起きたか舛──」
「暗闇に住みし魔物め! どこから入って──っ!」
思わず、教科書で殴ってしまった。
秋乃はまた机に伏せた。
「……」
「先生。人を殴るのはどうかと思います」
「……寝ぼけてたからな」
「寝ぼけてたらいいんですか〜?」
「スマホ返さないぞ?」
「すいません……」
「俺のなら壊しても何してもいいですよ!」
「遠慮する」
「秋乃はいいんですか?」
「……今日は特別に寝かせてやろう。次は必ず起こす」
「前も言ってましたよね、それ──」
章の一言に山井は黙る。
そして、一つ咳払いして、
「……さて、この時の主人公の気持ちが──」
と黒板にチョークを走らせ始めるのだった──
休日投稿になります(_ _)
お知らせまで。