お土産です。
久しぶり、眞壁先輩(笑)
修学旅行から戻ってきて二日後。関野と篠山は、生徒会室に足を運んでいた。
「会長、お久しぶりです」
「お土産買ってきました──」
中に入ると、眞壁が少し奥で仰向けに倒れていた。近くには愛読している『ニャンニャンパラダイス(略してニャンパラ)』が落ちている。
「会長?!」
関野が近くにしゃがんで脈を確認する。
「……脈がっ──ありますね」
「そりゃそうでしょ」
と篠山がツッコむ。
すると、眞壁がむくりと起き上がった。
「お前ら、久しぶりだな……」
「わ……。お久しぶりです。元気でしたか?」
「まあ、それなりだよ。ずっとニャンパラ読んでた。それで一人で三役やってたよ──」
とニャンパラを拾って軽く叩くと机に置き、自分の制服も叩いた。それから実演する。
「……プリント出したか? 『はい、さっき出しました』そうか。関野は出したか。篠山は出したか? 『あ、すいません。関野さんのこと考えててまだ出してませんでした』しっかりしろよ──」
「会長……、俺そんなこと言ったことありません」
「俺の中のお前はこんな感じなんだよ」
「なにそれ!?」
とやりとりする二人に、関野が小さく笑って口を挟む。
「まあまあ、お土産食べましょうよ」
ね? と関野が袋を掲げる。
「……そうだな」
「ですね──」
と二人は笑った。
それから紅芋タルトとちんすこうを机に広げて、三人で食べる。
「……ところで、何で会長さっきあんなことしてたんですか?」
「ん? 動画で観たから──どんな反応するかと思って」
とタルトを食べながら眞壁は言う。
「そしたら……脈がありますって」
「やめてください! あれは冗談でのったんです//」
「そうだとしても、面白かった」
と眞壁は笑った。
「関野さん、意外とノリいいよね」
「普通だよ//!」
眞壁は久しぶりに二人のやりとりを見て、こうだよな。と思う。
「……沖縄、どうだったよ」
「楽しかったです」
「はい、楽しかったです!」
「そうか、よかったな」
笑顔で頷く二人に言って、眞壁はちんすこうに手を伸ばす。
「海見たか?」
「あ、見ました見ました。きれいでした」
と関野が思い出すように目を瞑って微笑む。
「透き通る青、晴れ渡る空……」
うっとりする関野をそのままに、篠山を見る。
篠山は微笑んで関野を見ていた。
「……篠山、進展したか?」
「えっ? いや、変わりませんよ」
と篠山は苦笑いした。
それからぱっと笑顔になる。
「あ、あとでメールしますよ! 俺が嬉しかったこと」
「いいよ……くれるなら海の画像くれ」
「あ、私持ってるんで、あとで送りますね」
「お、サンキュー」
「いえいえ──」
普段と変わらない会話をしながら、お菓子を平らげた。
「ふー……お土産ありがとな。うまかった」
「いえいえ」
「よかったです」
にこにこしながら言う関野と篠山に、眞壁は笑って言った。
「じゃ、これからまた生徒会の仕事よろしくな」
「「はい」」
頷く二人に、眞壁は笑ってプリントの束を取り出して渡した。
「いない間に溜まった、二人の分──」
「……多い!」
「会長が少しやってくれればいいのに……」
と関野と篠山がぼやく。
「ハッ。自分の分は自分でやらなきゃだめだ。社会に出たら困るぞ」
と眞壁はニャンパラを広げて読み始める。
「関野さんやる?」
「うん……やらなきゃ終わらないし──」
と関野は筆箱を取り出して、プリントに取りかかる。
篠山も、じゃあ俺もやろう。と取りかかった。
「……えっと……ここか──」
「んー……と──」
二人のいつものように悩む声を聞きながら、眞壁はやっぱ二人がいないとな、と思いながらページを捲った。
やっぱり、一人で生徒会室に居るのは少し寂しい眞壁だった──
紅芋タルトはおいしい。




