マネ
マネして遊ぶ。
「面白い遊び思いついた」
ふいに秋乃が、何か思いついたのか章と香月に言った。
現在放課後。部活に入ってない三人は、教室でだべっていた。
「どんなどんな?」
と香月が訊く。
「香月がおれのマネして、おれは香月のマネするの」
「俺は見てるだけでいいのか?」
それなら楽だな。と章は思いながら秋乃を見る。
「そうだね。章は見てるだけで──やりたくなっても知らないけど」
「ならねえよ。安心しろ──」
と章は手を振って、やるならやれよ。と先を促す。
「じゃあ、さっそく。先生に怒られて、しょぼくれる香月──」
ゴホンと一つ咳払いしてから、秋乃はマネを始めた。
「ちぇ〜、悪いのはオレだけじゃねえのにさー、章だって……ごにょごにょごにょ」
「似てる! あはは、そっくりだわ!」
と章は笑って秋乃を指差す。
「はあ? オレそんなんじゃねえし、見てろよ? 秋乃がゲームしてる時になりきる、勇者のマネ──」
香月は手を腰に当ててやり始める。
「ここは回復薬使っとくか? いや、この先が一番やられるから……とっておこう──いや、そう言ってこの前失敗したから……使おう! うん──どうよ」
と胸を張る。
だが、章と秋乃は唸って、
「それ秋乃じゃなくて、秋乃が操ってる勇者だろ」
「はい、香月の負け〜」
「競ってたのかよ! 聞いてないんだけど?!」
と香月が秋乃に言う。
「だって言ってないもん」
「卑怯者! じゃあリベンジする! 湯川のマネな! 見とけよ──」
と秋乃と章を指差して、眼鏡をあげるマネをしながら始める。
「おい、何をしてるんだ? そこは座る所じゃないだろ? 次座ったら、実力行使に出るからな」
「おお、似てる! てか言いそう」
「確かに──」
と章と秋乃は笑う。
「だろだろ? じゃあ次、野嶋のマネ──犀(湯川)の、久しぶりの罵声だ! え? もう終わり? もっと言ってもいいよ!」
「わかるわ、特徴捉えてるわ」
「わかるわかる」
とまた章と秋乃は笑う。
「じゃあ、次は章のマネして」
「任せろ。章は……よし。イメージできた──お前ら、真面目にやれよ。付き合ってるこっちの身にもなれ」
「章だ! まんまだ。似てる」
と秋乃は笑うが、章は納得しないのか、
「似てねえよ。てか俺は認めねえ」
と首を振る。
「認めろよ。似てるって」
「そうだそうだ」
と秋乃と香月が章の周りをぐるぐる回りながら、
「認めろ〜」「それが章だ〜」
と洗脳を始める。
「やめろ! ぐるぐる回んな! 目回るから! 吐くぞ──?!」
「秋乃止まれ! 章の口から出ちゃいけないのが出るぞ!」
「それはまずい──」
ピタッと二人は止まってから、フラつく。
「やべ……回りすぎた……」
「おれも……うぇっ──」
と秋乃は口を押さえる。
「お昼に食べた特大カレーパンが……うぇっ──」
「落ち着け! トイレだ! 秋乃トイレ行け!」
「ムリ、さっきのでもうのど辺りまで来てる──」
「章、袋! ビニール袋!」
「あるわけねえだろ──!」
ぎゃーぎゃー騒ぎながら、今日も無駄な放課後を過ごす三人であった。
ちなみに、秋乃は吐きませんでした──
朔「混ざりたかったな」
犀「どうでもいい──」
休日投稿です。




