忍者≒セコム
秋乃の学校は、忍者が代わって見回っているらしい……。
一組。柚子とヒナミのいるクラス。
今日は、“カッコいい”について、柚子とヒナミ以外の女子が放課後集まって、盛り上がっていた──
「最近、山井先生がきてるかな。たまに見せる笑顔がステキ」
「へえ──保梨先生もよくない? なんか、女子の気持ちをわかってくれる感じがする」
「確かに──」
と女子たちは話し合う。
「あれは? 忍者。この前騒がれてなかった?」
「確かに。てか、忍者ってほぼ顔見えないし、目しか見えないじゃん」
「正体を明かさないっていう所がいいんじゃん──」
と、女子たちは笑いあう。
「じゃあ、先生の中で誰が一番? 私は山井先生」
「あたしは保梨先生」
「うちは忍者。てか、忍者は先生じゃなくない?」
「確かに──」
じゃあ忍者って何やってるんだろ……と女子たちは首を傾げるのだった──
*
そんなことを話されているとは知らず、忍者は保健室にいた。
「すみませぬ、保梨殿」
「大丈夫ですよ。気を付けてくださいね。ワタシはわかりませんが、多分屋根裏とかって狭そうだし……」
「心配ならいらぬ。もう慣れたでござるよ」
「そうですか──はい、OKです」
と保梨は絆創膏を貼る。
「かたじけない。それでは、拙者はこれで」
「あ、あの、ちょっといいですか?」
「ん? 何でござるか?」
と忍者は振り返る。
保梨はそんな忍者に質問する。
「ずっと気になってたんですが、いつからこの学校に?」
「いつから……そうでござるな。約三年くらい前でござるな。前の先輩忍者がやめると言ったでござるから、その代わりに」
「そうなんですか! ……というか、忍者さんって何してるんですか?」
「見回っているでござるよ。だから、この学校はセコムというものをしてないでござる」
「それって、忍者さんが強いからですよね? ってことは、忍者さんすごいですね!」
と保梨は輝きに満ちた目を忍者に向ける。
「そうでござろう? こう見えてふざけてるわけではないでござるよ。ちゃんと果たすべき役割は果たしているでござる」
「へえ! じゃあ、その傷はそういう時についた傷なんですね!」
「あぁ、これはネズミでござるな」
寝てるときにつけられた傷でござる。と忍者は絆創膏をなでる。
「……あ……そうですか」
「うむ。では、用がなければこれで。失礼するでござる」
そう言って、忍者は保健室の天井から出て行った。
忍者が強いのか弱いのか、はたまた間抜けなのか……。
ただ、これだけは言えるだろう。
忍者は、セコムと同等かもしれないと──
休日投稿です。




