表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/79

久しい登場

忍者登場!

 忍者は、油断していた──


 ──ドササッ


「いつつ……」


 とある一室に、忍者は落ちた。

 ふと視線を感じて顔を上げると、そこには着替え中の女子たちが──


「…………」

『…………』


 一瞬の沈黙の後、女子たちの怒声と共に、あらゆる物が忍者に向けて投げられた。


「変態!」

「さいってー!」

「出てきなさいよ!」

「ぶっとばすわよ!」

「ちょ、すまぬすまぬ! 悪気はなかったんでござるよ! ちょっと板が外れてて──」

「言い訳なんて訊いてないのよ! 早く出てけ──!!」

「ひぃぃ──!」


 忍者は、素早く部屋を出た。

 出る直前に、後頭部に何か当たったが、忍者は振り返らなかった。

 振り返ったら、女子の下着姿を見ることになり、男として最低だからだ──


 あとで落ちた所を直そうと思いながら、忍者は廊下を歩く。

 通り過ぎざまに、生徒たちが忍者を見るが、忍者は気にしない。


「あ。忍者さん」

「ん? おお、あの時の──」


 秋乃(あきの)と遭遇。遭遇というか、秋乃以外で忍者に声をかける人など、あまりいないだろう。


「そうです。舛田(ますだ)秋乃です」

「舛田殿でござるか」

「はい。どうしたんですか? 珍しいですね」

「ああ、ちょっと失態をしてしまってな……」


 すると、そこに香月(かづき)がやってくる。


「うおお?! 誰? 秋乃の友達?」

「忍者さん。この前会った──こちら、田端(たばた)香月」

「田端殿でござるか。よろしく頼むでござる」

「ござるとか! マジもんじゃん! やべー!」

「…………」


 何でござるか。この田端殿は……と忍者は思う。


「こちらこそ、よろしくでござるよ!」

「う、うむ──」

「何してんだ? あ」


 (しょう)もやってくる。


「どうも」

「うむ。こちらは──」

平井(ひらい)章です」

「平井殿でござったか」


 と忍者は手をたたく。


「何々?! 知り合いだったでござるか!?」

「香月、ちょっと静かにして」

「……へーい」


 忍者は段々疲れてくる。

 そろそろ行こうかと思った時、また誰かがやってきた。


「わー。忍者だ」

「本当だな──」


 (さく)(せい)だった。

 あまり、驚いていないようだ。


「そちらは?」

「忍者さんだよ」

「なるほど、忍者さんか。僕は湯川(ゆかわ)犀」

「俺は、野嶋(のじま)朔です」

「よろしくでござる」


 いっぱい来たでござるな、と思いながら、忍者はどうしようか考える。


「忍者だぜ! 忍者!」

「香月うるさい」

「秋乃、ノート返せ」

「あとちょっと──」

「犀、忍者っているんだ」

「そりゃいるだろ。ただ見ないだけだ──」

「…………」


 忍者はやりとりを見て、今なら大丈夫でござろう。と、さっとその場を離れた。


「……あれ? 忍者さんは?」

「さあ?」


 秋乃が気にした時には、もういなかった──


         *


「ふう……舛田殿には、色んな友がいるのだな──」


 天井裏に戻り、忍者は一息吐く。

 やっぱり、毎日いるところは安心するでござる──

 そんなことを思いながら、さっき落ちた天井を直して、忍者はいつものように巡回する。 

 そしてまた、ずれている板を見つけた。


「む。直さねば──っ?!!」


 ──ドサッ


 また落下。


「イタタタ……」


 顔を上げる。

 そこは別の部屋だったが、さっきと同じ光景が広がっていた。


「…………」

『…………』


 女子たちの鋭い視線が、忍者を突き刺す。


「えっと……失礼し──」

『ヘんたーい!!』

「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁ……」


 その時の忍者の悲鳴は、学校内に響き渡ったという──


忍者「これが、久しぶりの登場でござるよ……(遠い目)」


休日投稿です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ