ログインとギルド
めっちゃ遅くなりましが、更新しました。
俺がアビリティ設定をしてから二日たち、ついにEDOの正式サービス日を迎えた。時刻はすでに十三時の二分前。俺はすでにベッドに横になってアイディール・ドリームをかぶっていた。
「いよいよか」
三日前に真紅に教えてもらってから俺もこの日を楽しみにしていた。こうしている間も、心臓がどくどく言っている。俺は自身を落ち着けるように深呼吸をしてから、音声コマンドを発する。
「【アクセス・スタート】」
次の瞬間俺は仮想世界に旅立った。
◇◇◇◇◇
俺が地面に降り立つと、同時に目の前が開かれた。それと共にさまざまな喧騒が耳に聞こえてくる。当たりを見渡してみると、ここは街の中心に位置する広場だと分かった。確か、サイトにはプレイヤーは最初、【始まりの街・カーム】に降り立つと書いてあった。ならば、ここはカームの大広場だということだ。大広場には高さ三メートルぐらいの噴水が中央に鎮座している。ここならば待ち合わせにも便利だろう。
そういえば、真紅にメールで噴水前に集合って言われた気がする。ならここで待っていればいつか来るだろう。それにしてもさっきから周りの視線が俺に集まっている気がする。なぜだ?
「あ、いたいた。おーいルナ!」
「ん?」
俺は呼ばれたのでそちらがわを向いたら、ツンツンな赤い髪を持った無駄にイケメンな人物が俺に向かって手を振りながらこっちへと向かってくる。
俺がキャラクターネームを教えたのは美瑠陽に美柴瑠、それに真紅と桜姉だけだ。EDOではネカマは基本的にできないようになっているから、このイケメンは自動的に真紅になる。
「お前、真紅か?」
「おう。あ、ここでは【シン】な」
近づいてきた真紅――シンに一様聞くとよかったらしい。するとシンは右手を出してきた
「何これ?」
「何って、フレンド登録するんだろ?」
そういえばフレンド登録するには握手をして相手に申請したいと思うことによってフレンド申請がされるシステムだった。
俺がシンの手を取るとシステムアナウンスが流れる。
ポーン
『シンがフレンド登録されました』
フレンド登録できたみたいだ。
「さて、桜姉たちを探すか」
「ああ、たぶんこのあたりにいるはずだからな」
あたりを見回してみたら、桜姉たちらしき人物がいた。
「シン。あれじゃないか?」
「ん? お、そうだそうだ」
俺たちが近づいていくと、桜姉たちらしき三人もこっちに気づいた。そのうちの一人がこっちに走ってきた。すると、俺に思いっきり抱き付く。
「ルナちゃん、かわゆす~」
「桜姉?」
「そうだよ~。あ、こっちでは【セレソ】だよ」
「あ、うん。わかった。けど、なんですぐに俺だと分かったんだ?」
シンにも言えたことだが、なぜすぐに俺だと分かったんだろうか。
「それはね、プレイヤーに注目するとしばらくしてからその人の頭上にプレイヤーネームが表示されるようになってるからだよ。それにこんなに可愛い子はルナちゃん以外いないからだよ」
「へー。って可愛い!?」
「そうだよ~。とっても可愛いよ~。見てみる?」
桜姉改めセレソ姉は手鏡を渡してきた。なぜ、手鏡があるかというと、このゲームは容姿をランダムで決めているため、ゲームにログインしてから全員のアイテムボックスに手鏡が贈られてきて、自分の容姿を確かめるためにある。
鏡の中に映っていたのは、現実の俺とかなり似通っている容姿だった。髪は腰まであり、空色の美しさを持っている。瞳は銀色で、肌は雪のように白い。身体全体も丸みをおぼており、女の子らしさを出していた。現実の俺もかなり周りから女の子っぽいといわれる容姿をしているが、これはまるでもう女の子ではないか。
俺は数歩後ずさり膝から崩れ落ちた。
「お、おい、ルナ?」
「気にするなシン。ちょっと絶望感に浸っているだけだ」
「あ、えーっと。そ、そうだ。みんなはもう職業は決めたのか?」
「あたしは【魔法使い】だよ」
「う、うん。二人は?」
「私は【大剣士】です」
「あたしも【魔法使い】だよ~」
「で、ルナは何にするんだ?」
俺はようやくショックから立ち直り、みんなの会話に入っていく。
「まだ、決めてない」
「ああ、あっそ」
シンはあきれた様子で言ってきた。
俺はそこでようやく、三人の容姿をよく見ることができた。セレソは桜色の髪を腰まで呼ばして、同じく桜色の瞳に気の強い感じの光を宿していた。美瑠陽はキャラクターネーム【ミヒル】で、現実と同じ金髪を右のサイドポニーにしており、銀色の瞳にとても優しい光をともしている。美柴瑠は【ミルシ】でキャラクターを作っており、ミヒルと同じ金髪で左のサイドポニー。瞳は銀色で元気が良い光を宿している。三人ともとてつもなく美少女だ。
「それじゃあ、まずは、お互いランダムアビリティを確認してから、ギルドに向かうか」
「「「「はーい」」」」
俺たちはそれぞれメインメニューを開いてアビリティを確認しだした。余談だが、ランダムアビリティはログインして最初にステータス画面を開いたときに決まるらしい。
そして、ステータス画面を開いたときに事件は起きた。突如として、俺の服が光ったと思ったら形を変えたのだ。茶色初期装備っぽかった服は白を基調とした構造は分かりづらいが動きやすそうなドレスへ。靴も、白を基本としており、外側に羽飾りがついている。羽飾りは服にかなりついている。慌てて、手鏡を出して、顔を見てみると、頭にも羽飾りがついていた。
「なんだこりゃー!」
「「「!?」」」
俺は突然の変化に大声を出した。それで下を向いていたシンたちも驚いてこっちを向いて、唖然とした。
「お、おい。ルナそれはどうした?」
シンが代表で聞いていた。
「いや、俺が聞きたいよ! どうして服が変わっているんだ!?」
「え、えーと、なんでだ? 姉貴なんか知っているか?」
「うーん。あ、そうだ。確かβの時もアビリティで服装が変わったって子がいた気がするよ」
セレソ姉がヒントを出してくれた。そういえばアビリティを確認しようとして服装が変わったんだった。
「ルナ。アビリティを見てみろよ」
「あ、ああ」
アビリティには今ランダムアビリティを含めた十五個のアビリティがあるはずだ。
【ネーム】ルナ
【性別】女
【P-Lv】Lv.0
【職業】
【職業Lv】Lv.0
【称号】[女神アルティナに愛されしもの]
【二つ名】
【ステータス】
[HP]480/480
[MP]330/330
[STR]60(+30)
[DEX]50(+30)
[VIT]60(+30)
[AGI]60(+30)
[MND]50(+30)
[INT]50(+30)
[CHR]130(+70)
[LUK]250(+100)
【アビリティ】
〖リプレイスLv.1〗――常時装備
〖剣Lv.1〗〖軽装金属鎧Lv.1〗
〖二刀流Lv1〗〖ステップLv.1〗
〖ジャンプLv.1〗〖武器防御Lv.1〗
〖体術Lv.1〗
〖身体能力強化〔STR〕Lv.1〗
〖身体能力強化〔VIT〕Lv.1〗
〖身体能力強化〔AGI〕Lv.1〗
〖戦乙女Lv.1〗
〖極大魔法Lv.1〗
〖神極魔法Lv.1〗
〖調教Lv.1〗
〖泳ぎLv.1〗
――可能性装備
〖魔力Lv.1〗〖魔力回復Lv.1〗
〖消費魔力減少Lv.1〗〖杖Lv.1〗
〖詠唱速度Lv.1〗〖魔法才能Lv.1〗
〖火属性Lv.1〗〖風属性Lv.1〗
〖雷属性Lv.1〗〖闇属性Lv.1〗
〖戦乙女Lv.1〗
〖極大魔法Lv.1〗
〖神極魔法Lv.1〗
〖調教Lv.1〗
〖泳ぎLv.1〗
【スキル】
常時装備
《スラッシュLv.1》
《ダブルスラッシュLv.1》
《跳び蹴りLv.1》
《パリィLv.1》
《ステップLv.1》
可能性装備
《ファイアーボールLv.1》
《ウィンドボールLv.1》
《サンダーボールLv.1》
《シャドウボールLv.1》
《女神の雷Lv.1》
よくわからないアビリティがあったので説明を見てみる。
〖戦乙女〗:容姿と装備を戦乙女の形にする。あなたは神をも倒す戦乙女になる。*このアビリティを一度アビリティ欄にセットすると外せなくなる。
〖極大魔法〗:魔法スキルの効果・威力を10倍にする。
〖神極魔法〗:神をも超える魔法が使えるようになる。
なんだこれ? 戦乙女は一度セットすると外せなくなるってなんでだよ。ほかの二つもチートなアビリティだし。
とにかく、外見が変わったのは戦乙女のアビリティのせいだと分かった。でも、性別も女だということも分かった。これはすごくショックだ。
「おい、ルナ。わかったか?」
「あ、ああ。戦乙女ってアビリティのせいっぽい」
「戦乙女? そんなアビリティ、βの時あったっけ、姉貴?」
シンが知らないっぽいからか、セレソ姉に聞いていた。
「ううん。あたしは知らないよ」
「じゃあ、製品版から追加されたのか、レアアビリティだな」
レアって……外せないレアアビリティってなんだよ。
「でも、戦乙女っているから、女の子だけだと思うんだけど、ルナちゃんは、見た目は可愛くても男の子だしね」
セレソ姉が疑問を俺にぶつけてきた。
「あ、ああ~。実はさ、俺、性別が女になっているんだよ」
「うっそ!」
これはシン。シンは驚くと次には笑い始めた。
「あっははは! 女って、女って。ルナは機械も間違えるほどってか!」
めっちゃ笑っている。俺は問答無用でシンのこめかみをつかむと締め上げた。
「ちょっ! いくら街の中でダメージがないからって、ある程度の痛覚はあるんだよ!」
シンの戯言はほっといてさらに締め上げる力を上げる。
「いてて! ギブギブ!」
ある程度すっきりしたので、手を放してやる。
「はぁ~、痛かった」
「自業自得だ。それよりも、みんなはステータス確認したのか?」
ほかの三人はは俺たちがバカやっている間に確認したらしい。
「ほら、シンもさっさと確認して、ギルドに行くぞ」
「ほーい。てか、そのままやるのか?」
「ん? あー。もうなんだか諦めがついた。良いアビリティもあったから」
「あ、あっそう」
◇◇◇◇◇
シンがステータスを確認してすぐに俺たちはギルドに向かった。何故、ログインして最初にギルドに行くかというと、職業を決めるためだ。職業はギルドでしか決めることができないため、みんながこぞってギルドへと行く。まあ、ほかにもギルドでしかできないこともいろいろあるが。ちなみに、ギルドと言ってるが、これは略称で本当は冒険者ギルドというのだそうだ。
ギルドは大広場から伸びている大通りを南下してすぐにある。
余談だが、この街【カーム】は東西南北に十字に大通りが伸びている。大通りを区切りとして南側は冒険者のためのエリアで、武器や防具、アイテムなどを売っている店が豊富にあったり、ギルドがある。逆側の北は宿屋や、一般住宅街になっている。
このEDOのNPCはまるで現実の人間のように生活をしているため、一般の住宅街などがある。これも、AIに力を入れたおかげだ。
閑話休題
サービス初日というだけあって、ギルドはプレイヤーでごったがえしていた。みんな職業を決めに来たようで、五つある受付にはそれぞれ、二十人ぐらい並んでいる。
「んーさすがに、出遅れたかな?」
俺は出遅れた感を感じでいた。
「まあ、このゲームはギルドに登録するのが定石だからな。それに、ギルドに登録しないと初期装備も貰えないからな」
シンの言う通り、ギルドでは職業を決めるのとそれと同時に大事なことができる。それはギルドへの登録だ。登録することで、ギルドを通したクエストも受けられるし、素材を買い取ってもらうこともできる。
一応、プレイヤーには初期金額として3000f(単位はフェールといい、だいたい1f=10円の価値)配られる。βテスターはβテスト時代からの所持金を受け継ぎさらに3000fプラスされる。でも、所持金がいくらあっても、武具を簡単に変えるわけではない。ギルドか警備隊に所属していることを証明して初めて武具を手に入れることができる。また、自身で武具を作るときも、製作ギルドに属していることが必要になる。
まあ、簡単に武器が手に入ったら、犯罪が横行してしまいそうだ。ちなみに、プレイヤーは犯罪をすると、プレイヤーの上に赤いマークがつく。犯罪プレイヤーは街に入ろうとすると、すぐに警備隊に取り押さえられ、牢獄行きだ。NPCの犯罪者はマークがつかず分かりにくいといわれている。
犯罪プレイヤーやNPCの犯罪者が大きな街にいる確率はかなり低いらしいが。
十数分程度並んで待つと漸く順番が回ってきた。
「冒険者ギルドへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付の綺麗なお姉さんが事務的な口調で聞いてくる。
「えっと、ギルドへの登録と職業取得に来ました」
「わかりました。まず、職業取得から行いますので、こちらに手を置いてください」
受付嬢が出したのは15㎝四方のボックスの上に半球型の水晶が乗ったアイテムだった。俺が左手を乗せると、左手の上にホロウィンドウが現れ、現在俺がつける職業が表示される。
現在俺がつける職業は……
【剣士見習い】
【魔法士見習い】
【冒険者見習い】
【軽戦士見習い】
【戦乙女見習い】
の五つだ。
職業はどれも見習いから始め、職業レベルが10になった時に見習いがなくなる。
ちょっと考えた末、俺は戦乙女見習いをタッチした。すると、水晶が少しだけ光った。
「続きまして、ギルドへの登録を行いますので手はそのまま載せておいてください」
俺が手を乗せて居おくと、またホロウィンドウが現れる。内容はギルドの説明事項だった。
注意点などを見て、俺が頷くとまた、水晶が光る。すると、アイテムの受付側に小さな真珠のような球が出る。
「登録が無事に完了しました。こちらが身分証明になります」
そういって出されたのはさっきの真珠のような球が右上に埋め込まれた銀色の名刺サイズの板だった。とても薄い。受け取ると、すぐに消えてしまったが、ギルドカードと念じると手元にすぐに出るようになっている。
「後ほど、ギルドの制約と利用方法を簡潔にまとめたものをギルドカードへ送りますので、確認しておいてください。以上で、ギルドへの登録は終了です。なお、各職業用初心者支給品はギルドの横にある、訓練所にて無料でもらえますので、利用の際はギルドカードを提示してください。何かわからないことがありましたら、当ギルド職員に問い合わせください」
「わかりました。ありがとうございます」
俺はすぐに受付を離れ、人の少ない壁際に寄ってシンたちの登録が終わるまでギルドから送られてきた制約などを読むことにした。
ギルドカードは身分証明のほかにも機能がある。それは、ギルドからの通達を見る機能だ。ギルドからの緊急のクエスト情報などを主に教えてくれる。
ギルドの利用方法はとても簡単だった。ギルド内にある依頼掲示板にはあらゆるクエストが表示されている。その中から、気になるものを二度タッチすると詳細がホロウィンドウで表示され、気に入ったのなら、キープして、受付で受理すればいいだけの話だ。ただ、クエストのキープは一人につき七個まで、受理したのを合わせても十二個までと決められているし、クエストを受理せずギルドを出ると、キープが消去されてしまう。たまに、ギルドでのクエストだけではなく、NPCから直接クエストを受けれる場合もある。
さっき出た依頼掲示板は主に五つに分かれている。それはランクによって以来の種類が違うからだ。ギルドのランクはG~S・SS・EXまでの十段階に分かれていて、ギルドランクによって受けれるクエストの強さが変わってくる。例えば、ランクGならば、採取系のクエストが多く、ランクAクラスになるとかなりの大物モンスターの討伐などが出てくる。登録したばかりは皆Gランクからの始まりだ。
なお、ギルドでクエストを受ける際には契約金が発生するらしい。金額はクエストのランクによって違うらしいが。
主な制約や利用方法を読んだところで、四人が登録を終えてやってきた。
なぜか、前の話の倍ぐらいになってしまった……なぜだ!