37話 ルシオスの目と、野営地(キャラ紹介)
魔人城へ向かう最後の夜、野営地は異様なほど静かだった。
焚き火は最低限に抑えられ、話し声もない。
眠っている者と起きている者の境界は曖昧で、全員が同じ緊張を共有しているようだった。
ルシオス・ヴァル=エリオスは、パーティーから少し距離を取り、その輪郭を見つめていた。
サラマンダーの肉を口にしたあの夜から、わずかな違和感が残っている。
あの食事か、あるいはシーナの加護の正体か。
ただ一つ言えるのは、このパーティーが単純な戦闘能力の集合体ではないということだった。
数値の裏側に、もう一つの強度がある。
それが何によって構築されているのかを、彼はまだ言語化できない。
サーチは能力値を抽出する術式である。わずかに目を細める。
瞬間、世界の表層が一枚、静かに剥がれた。
闇の奥に潜んでいた構造が露出し、人影が光の輪郭として浮かび上がる。
だが輪郭の内側に、薄い層が重なっていた。
脈動のように揺れ、循環のように巡り、
数値とは別の形で定着している何かが、確かにそこに存在している。
◇
剣を握るユリウスの肩には、恐怖よりも責任が宿っている。
後退の意志はなく、この場の中核として立ち続ける覚悟が、迷いなく定着していた。
動きやすさを優先した白銀の鎧に、聖剣と盾。前に立つ者としての在り方が、
数値とは別の層で完成している。
――――――――――
NAME:ユリウス
LV32
加護属性:炎・風
武力:S 魔法:B 知力:B
――――――――――
武器の補修を続けるドワーフのドランは、鎚を振るう手を止めない。
加護の反応は低いが、集中力だけが異様な密度を保ち、
壊れた箇所を直すという一点に意識を固定していた。
分厚い装甲鎧に、身体よりも大きな盾と斧。それらを負担として感じさせない
重心の低さが、足元に沈んでいる。
――――――――――
NAME:ドラン
LV40
加護属性:金・火
武力:A 魔法:D 知力:B
――――――――――
焚き火の反対側では、ハーフエルフの女――シーナと並んで食事の準備をしていた。
黒髪に長い耳、メイド風の服装の要所にはミスリルの防具が仕込まれ、後方支援という役割が、
すでに身体に染みついている。
――――――――――
NAME:ヴィレット
LV37
加護属性:風・火
武力:B 魔法:A 知力:A
――――――――――
焚き木の近く、白いうさぎが一羽、シーナの足元に身を伏せている。
小さな身体に対して反応域だけが異常に広く、月の加護が周囲を薄く覆っていた。
戦いとなれば空へ上がり、全体を俯瞰する存在へと変じる。
その力の全容は、測定の枠から外れている。
――――――――――
NAME:テン
LV:☆
加護属性:月・火
武力:D 魔法:☆ 知力:☆
――――――――――
野営地の端で、弓を携えた獣人のふーぴょんが呼吸を整えている。
初めて会った頃の華奢な少年の面影は薄く、魔力の高さ以上に、身体そのものが整っていた。
笑顔の中に、最後まで立ち続ける覚悟だけが、芯として残っている。
――――――――――
NAME:ふーぴょん
LV31
加護属性:風・炎
武力:S 魔法:C 知力:D
――――――――――
垂れた耳の武道家、しろっぷは拳を開き、閉じ、地面に足裏を預ける感覚を確かめていた。
かつて村で「呪いの少女」と呼ばれた面影は、もはやどこにもない。
可憐さと強さが、不釣り合いなまま共存している。
――――――――――
NAME:しろっぷ
LV31
加護属性:水・木・火
武力:S 魔法:C 知力:C
――――――――――
野営地の奥、灯りを落とした一角で、シーナは鍋に蓋をしていた。
武器の代わりに食の籠を持ち、水と食料を整えるその姿は、
戦場に立つ者の準備とは異なる。
数値は、初めて会った日から変わっていない。
それでも彼女の周囲には、不可視の層が幾重にも重なっていた。
回復した体。生き延びた日常。積み重ねられた食事の記憶。
それらが数値ではなく、状態として、確かに残っている。
――――――――――
NAME:シーナ
LV:☆
加護:☆・火
武力:D 魔法:D 知力:A
――――――――――
ルシオスは、そこで初めて視線を外した。
このパーティーは強い。簡単には崩れない。
だが、この先に待つ城と魔人を前にしても、同じ結果になるかは想像できなかった。
杖を引き、薄く息を吐く。
ただ一つ確かなのは――この中に、無駄に死ぬ準備をしている者は、
一人もいないという事実だった。
公式ホームページはこちら
https://studiotomo.my.canva.site/page-7
キャラクタービジュアルイラスト掲載中
よかったらいいね!ブクマお願い申し上げます。




