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もしも学校給食栄養士が異世界に転生したら〜剣も魔法もランクDけど、最強チート献立で国家再生〜  作者: studio tomo


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13話 冒険への入り口と、新装備

 給食堂ができて、しばらくが経ったことで、

 朝の仕込みはいつの間にかシーナ一人の仕事ではなくなっていた。


 「ラピさん、これでいいですか」

 「はい、お願いします」

 「メリッサ、野菜切っておいてね」


 ラピが全体を見回し、メリッサが声を出し、

 そこに彼女の友人たちが加わることで、

 給食堂の中には自然な役割分担が生まれている。


 忙しさの中でも笑顔が飛び交い、白衣を着た羊の獣人たちは小柄でふわふわとした見た目ながら、

 釜や包丁の扱いも配膳も驚くほど手際がよく、指示がなくても互いの動きを読み取っていた。


 お互いをよく知り、足りないところを補い合い、

 火の加減を自然に共有するその様子は、給食堂そのものが

 オーケストラ楽団のように動いているかのようだった。


 シーナは前に立たず、献立を考え、味を見て、調味を決めながら、

 全体の流れを静かに整える立場に回っている。


 畑の様子も変わり、ふーぴょんに教わったうさぎやチンチラの獣人たち、

 そしてしろっぷは、モグラの獣人たちに土の読み方や間引きの感覚、

 野菜の顔色を見るコツを教えていた。


 葉は厚く、根は深く張り、収穫される野菜の量も質も、そして大きさも

 笑ってしまうくらい普通の野菜とは比べものにならないほど。


 ホクスの見た目もすっかり変わり、

 豪商らしい服に身を包んだ腹回りの豊かさと、

 どこか丸くなった顔つきが、その繁盛ぶりを物語っていた。


 「ホクス、太った? たぬきみたい」

 「たぬきってことはないだろ!」


 そう言ってぷりぷりと怒る様子も含め、ホクス商会は部下を増やし、

 石鹸や新しく開発したシャンプー、洗顔料、チーズやバター、

 みんな一緒にコツコツ作った葡萄酒、野菜を売買することで、

 給食堂を中心とした循環が確かに根付いていることを示していた。


 そんな日常の中で、ふーぴょんとしろっぷがシーナのもとを訪れたのは、

 ほんの何気ないタイミングだった。


 二人ははっきりと変わっており、背は伸び、姿勢は安定し、

 無駄のない動きと迷いの薄れた目が、その成長を何より雄弁に語っている。


 ステータスの数値も確かに異常で、食べて働いて眠るだけで

 到達するものではないと理解しながらも、その確かな理由は見当たらなかった。


 「今度の定休日さ、ダンジョンに行ってみない」


 切り出したふーぴょんの言葉に、しろっぷも戸惑いながら続ける。


 「戦える気がするんだよね。畑だけで、

  食堂も手伝えないし……冒険者っていうのも、いいかなって」

 「ちょっと、腕試しを……」


  以前の彼女なら口にしなかった言葉に

  照れたように視線を逸らすしろっぷを見て、

  シーナはすぐには答えず、「腕試しね」と静かに繰り返した。


 「だったら、私は行かなくていいんじゃない?」

 「モンスターを倒すと、ドロップアイテムも出るし……食材になるからさ」


 言葉を濁しながら、ふーぴょんが続ける。


 「……実は、ご飯作ってほしいんだよね」

 「やっぱりそこね。」「怖くない?」

 「僕たちに任せて」


 少し考えたあと、シーナは肩をすくめた。


 「行ってもいいけど、私は遠くから見守るだけよ」

 「うん」


 ――――――――――


 定休日の日。


 「なにその格好、ださ」


 鍋を頭にかぶり、釜の蓋を盾にし、お玉を手に準備したシーナを見て、

 ふーぴょんとしろっぷ、そしてホクスが揃ってげらげらと笑った。


 「だって、ダンジョンなんて私たちの世界にはなかったし」

 「大丈夫だよ。二人で何回か行ってるダンジョンだから」

 「大丈夫よ。楽しみましょ」


 しろっぷが、とびきりの笑顔で言う。


 「こんなこともあろうかと、城下の街で防御魔法が

 練り込まれたメイド服を仕立てておいたぞ」

 「さすがホクス! イケキツネ!」

 「どうせ狸だろ」

 「あはは」


 いつものメイド服よりもリボンと魔法石の装飾が施され、

 実用的でありながら、ファンタジー感もありかっこよく

 そして可愛く仕上がっていた。


 「でも、これちょっと派手じゃない?」

 「今、街では流行ってるらしいぞ。よく似合ってる」

  ホクスが、満足そうに微笑む。

 小さな声で

 「俺の趣味もはいってるけどな」

 

 「じゃあ、そろそろ行こうか!」


 武器と防具を身につけ、大きなバックパックを背負った

 ふーぴょんとしろっぷが、すでに準備万端で待っていた。


 ……なんだか、すごくファンタジーだ。


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