幼馴染からの突然の告白
「結城ってさ意外と顔いいよね」
幼馴染の由奈は教室で突然と言い放つ。教室には俺と由奈しかいないから故かもしれないが。
「いきなりなんだよ」
俺は突然の発言に動揺する。
「いやさ結城と仲良くしたいって子がいてね」
俺はそれ言っていいのかと思いながら「そうなんだ」ととりあえず返す。
「そうなのよ、でね、今度あってもらっていい?」
「誰だかわからねえんだけど」
「一個下の蒼井って子。私の部活の後輩」
由奈の部活はバスケ部である。そこそこの人数がいるから、誰だか全然見当つかない。まあ会ったことないから由奈を通して仲良くしたいってわけなのかもしれないが。
由奈はスマホを取り出し、写真を見せてくる。集合写真のようだった。由奈はこの子と指をさす。まじで全然記憶になかった。
「会うくらいなら別にいいけど。お前はわかってると思うけど、俺恋愛とかそういうの全然興味ないぞ」
俺は恋愛にほとんど興味がない。まあ現実の恋愛という意味だが。俺は二次元に今恋してるって言っても過言ではない。自分でも正直やばいと思うが。
「いやそれいった。でもいいんですって言われたの」
「まじか」
「そうなのよね、だから結城の顔って意外といいんだねって思って」
馬鹿にされてるようにしか感じなかった。
「まあ会って幻滅してもらうほうがよさそうだな」
「だね」
俺の一言に一瞬で賛同する由奈。幻滅されるのは普通とでも言いたげであったことに少しイラっとするが、まあしょうがないとも思う。由奈は俺の趣味をよくわかってるからだ。
「いっそのこと部屋呼ぶか」
「あってか部屋の写真見せようか一回」
俺の冗談めいた発言にのっかるように由奈は提案をしてくる。俺の部屋は、アニメグッズやらなんやらでいっぱいだ。壁にはタペストリーだらけだし、棚にはフィギュアがいっぱいだ。よく親は許してくれると思う。まあ両親もオタクだからしゃあない。
「由奈、今度写真とるから見せといて」
俺は由奈の提案にのっかる。正直めんどいから会いたくはない。会わずにすむならOKだ。俺の評判は落ちるかもしれないが、まあ別に興味はないからOKだ。
「りょ」
由奈の適当な了承の声。
「でもさ、いいの?蒼井ちゃん結構いい子よ」
「別にいいよ。趣味のほうが優先だ」
「まあ好きなこと優先だよね~」
由奈はうなずきながら言う。
「そういう由奈は、なんかそういう相手とかいないのか?」
なんとなく聞いてみる。
「好きな人はいるよ、でも、振り向いてはくれなそう」
「へー」
俺は興味なさそうに返事をする。いや興味はないはずだ。若干胸がチクリとしたが。
「アプローチとか全然してないんだけどね。モテなさそうだったから、でも最近モテるかもしれないとわかって、焦り中」
「そうなんだ。まあそういう相手って早めにアプローチしとくべきだよな、ソースは漫画だがな」
俺がそう言うと、由奈はそうだよねぇと言う。そして、しばらく思案しているかのような素振りを見せた後、突然の驚きの発言をする。
「じゃあアプローチしようっと。てなわけで、結城のこと好きです、付き合って」
突然の由奈の発言に俺の脳はフリーズする。
「な、なんて?」
かろうじて声が出た。
「結城のことが好き。付き合ってって言った」
聞き間違えじゃない。
「冗談だろ?」
「本気。冗談ならわかるでしょ、幼馴染だもん」
由奈の目はまじだ。冗談じゃない。
突然の由奈の告白。俺は思考をまとめる。そして、答えをだす。まあ答えは一瞬だった。
「アニメとゲーム優先するやつでもいいなら、付き合う。俺も由奈のこと好きだしな」
「そんなのわかってるからいいよ。じゃあ付き合うってことで」
由奈はのんきに言う。俺は心臓がバクバクだった。顔も暑い。由奈は平気そうだ。
「んじゃ、結城、恋人としてよろしくね」
「おう」
俺は恥ずかしがりながら返事する。突然付き合うことになって驚きはあるが、嬉しい気持ちで内心いっぱいだった。