姉の暴走①
一部かなり短かったから長めにしたよー
当たり前のように生活してきた家族と血の繋がりがないなんて言われたら誰だって混乱くらいする。
「遥ちゃん……大丈夫?」
「うん……大丈夫だよ、お母さん。でも、少しひとりで考えさせて」
「……分かったわ。お母さん、ちょっとお買い物に行ってくるわね」
そう言って母さんがいなくなり、残された俺は遥が心配になり声をかけた。
「あのさ遥……家族は血の繋がりが全てじゃないと思うからさ……だから、その~元気出せよ。って、大嫌いな俺に励まされても嬉しくないだろうけど……」
「……」
遥は余程ショックだったのか微動だにしない。やっぱり、ここはそっとしておいた方がいいのかもしれないと思った矢先ーー
遥が急に立ち上がった。
「ふ…ふふ…」
「ふわーっはっはっはっは!!」
「遥が壊れた…」
「ふわははははは!」
遥はそのまま笑いながらどこかへ行ったかと思えば、急に戻ってきて。
「春人!あたしと結婚して!」
と、婚姻届を俺に突きつけて迫ってきた。
「えっと……お断りします」
「なんでよおぉぉぉ~!」
「いや、それは俺のセリフなんだけど…」
「血の繋がりがないって聞いて落ち込んでるのかと思ったら、急に結婚してくれって頭バグったのか?」
「落ち込む?あたしが?なんで?」
「え?落ち込んでたんじゃないのか?」
「そんなわけないじゃん。むしろ、血の繋がりがないって聞いて歓喜してたけど」
「歓喜?」
「だってあたしだけ血の繋がりがないってことは……春人と合法的に結婚できるってことじゃん!」
「…お、俺と結婚?どういうこと?」
「どういうことも何も今までは春人と結婚できなかったけど、これからは春人と結婚できるから…」
「ま、待ってくれ!そもそもどうして遥は俺と結婚したいんだ?」
「好きだからに決まってるじゃん。何言ってるの?」
「ええ!?遥って俺のこと好きだったの!?」
「俺、遥に嫌われてると思ってたんだけど…」
「それは演技。本当は春人のこと大好きだったけど、それがバレると社会的にまずいし…」
「…家族にも迷惑がかかるし」
「じゃあ、俺に近づくなって言ったのも?」
「春人が近づくと興奮しちゃうから自分を抑えるために」
衝撃の事実である。血の繋がりがなかった以上の衝撃である。
それからというものの……。
「は・る・と~?朝だよ~」
「……ん?」
「ふふ、おはよ。春人」
「…なんで遥が俺の隣で寝てるんだ?」
「添い寝してあげようと思って。嬉しい?」
「家族に添い寝してもらって嬉しがるわけないだろ」
「血が繋がってないから家族じゃありませーん」
「どういう理屈なんだそれは……少なくとも俺は遥のこと家族だと思ってるよ」
「やだ」
「……俺、今ちょっといいこと言ったつもりなのに二文字で否定された」
「あたしは春人と姉弟なんてやだ」
「あ、でもぉ……夫婦的な家族ならやぶさかじゃないよ?」
「Zzz…」
「ちょちょーい、あたしの話はそんなにつまらなかったかなぁー!女の子が話してる途中で寝るとか正気?」
「弟のベッドに潜り込む姉に正気かどうか聞かれたくねぇ」
と、こんな感じで今まで抑えていたからか、遥が俺に甘えてくるようになった。本当に前の嫌われてる面影がない
これは当然朝だけに限らなかった
後三部考えるの楽しい