Assult
突撃あるのみ
『と、いうわけで貴様の隊の装甲車両にここに投げ込まれた不運な新入りが編入される!くれぐれも殺すなよ!』
「ん、わかった。」
『だが!その新人の護衛にかまけたらといって他の輸送車両を壊してみろ、貴様ら二人はみっちりとしごいてやるからな!』
「ん、りょーかい。」
無茶言いやがって。苦々し気な表情で、短い髪を尖らせテーピングを施した、バードマンのイメージがコテコテの『たたき上げの鬼軍曹』だとすれば、こちらは『上官に噛み付く不良軍人』といえるであろうアバターの男、クラン『ワイルドハント』のメンバー W4ヴォルフガングは、自身の機体、『カルテット・トリガー』のコクピットでバードマンの指令を聞き、その難易度に、そしてそれに軽く二つ返事で了承する相棒の態度に気を苛立たせていた。
どう考えても難易度が高すぎる。いわば護衛ミッションにおけるノーミスクリアを要求されたのだ。自身の部隊、そして相棒、W5アンゲルズと彼女の愛機、通称『タートルシェルパ』が護衛する合計十三台の、砲弾一発の直撃で吹き飛ぶようなトレーラーを守り切れというわけだ。
『それと返事はサー・イエッサーだ!W4、貴様も返事をしろ馬鹿者!』
「「サー・イエッサー……」」
こういうミッションはあいつに役目だろうが、とやる気のない返答を返しながら、リアルの事情で作戦に参加できなくなっているもう一人の相棒に思いをはせる。自身のカルテット・トリガーは、両手にマシンガンを持つ『二挺持ち』と呼ばれるスタイルに、サブウェポンのランチャーと折り畳み格納式キャノンを、背部サブアームユニットの利用により展開し、威力よりも手数を重視した『銃器の四重奏』により多数の敵を殲滅出来るようにできているが、機体重量は軽量であり、敵の攻撃を避けるタイプの機体だ。時に、身を呈して防衛対象を守る必要も存在する護衛ミッションには完全に不向きというわけではないが、適正で言えば中堅寄りだ。
「お前、あんな簡単に返事をするなよな…………」
「ん、きをつける。」
通信が終わった後、彼は横に控える相棒、アンゲルズのアーマナイト『タートルシェルパ』に向けて通信を送る。返答で帰ってきた小さな少女の声。『タートルシェルパ』は、幼女、とでもいうべき小さな体系のアバターの彼女とは正反対に、『カルテット・トリガー』の真逆を行く高火力、重装甲のタンクタイプの機体だ。それもただのタンクタイプではない。まるで移動要塞、とでも形容するべき重装甲の胴体部が、これまた巨大なキャタピラの前面に位置し、その後部には、カルテット・トリガーの軽量キャノンが豆鉄砲に見えるような戦車タイプが装備するための大型キャノン。12連装の垂直発射式ミサイル、右腕部に接続されたガトリングと弾帯で繋がった大型弾倉、そして、この機体をタートルシェルパたらしめる特殊ユニットが詰め込まれたその機体の大きさは、実にカルテット・トリガーの三倍に匹敵する。
「で?作戦は?」
「おいおい、何のためのワンオフだと思ってやがる。」
「ん、まっすぐ行ってぶっとばす。」
いつも通り、圧倒的な弾幕で轢き潰す。そうと決まれば話は早い。
『作戦開始時間だ!出撃しろ、命知らずども!』
バードマンの声が響く。システムを起動したアーマナイトのカメラアイが駆動音とともに光を灯す。
「行くぞおらあぁぁぁ!」
フットペダルを踏み込み、スラスターを吹かして出撃する。トレーラー、そして部隊の僚機と共に、全線で足止めしていた部隊が開けてくれた陣形の穴から最前線に飛び出した
「」
お待たせしました。ようやくテストが終わりました。また投稿頑張っていこうと思います