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110 実技の授業は楽しいようです

実技の授業が始まります。

 次の日から、午前中は座学、午後は術科やダンスなどの身体を使う授業が行われ、通常の授業体制になったようだ。ただし、授業履修届を出していないので、未だ体験授業中ではあるのだが。


 今日の午後の実技授業は、体育と魔法実技だ。この世界にも体操着があるが、さすがに女子のブルマーはなく、白色の長ズボンだ。男子は短パンだが、ハーフパンツのようなスタイルだ。最初は体育館に集合して、今日の授業内容について説明を受けた。今日は、初日ということで体力測定だ。屋内でやるのは、『垂直跳び』や『反復横跳び』、そして『握力測定』と『背筋力測定』だ。垂直跳びや反復横跳びはわかるが握力や背筋力はどうやって測るのかと思ったら、オモリとケーブルを組み合わせて測る機械だった。握力なら、50キロの錘を乗せた皿を握力だけで持ち上げる仕組みだ。2キロ単位でオモリを足したり引いたりして測定する仕掛けだ。屋内の測定が終わったら、屋外で、『立ち幅跳び』と『懸垂』、『ボール投げ』、それと『1500m走』だ。1500m走は、貴重な柱時計を持ち込んで測定するのだが、100m走は無いようだ。この世界には、秒単位で計ることができる時計がないからだ。


 全ての計測において、あのアルフレッド君が他の者を圧倒的に引き離して抜群の成績を残している。イケメンでスポーツ万能の高位貴族なんて、チート過ぎるだろう。周囲の者たちも彼の周りで褒め称えていたのだが、私の番になると一瞬で黙り込んでしまった。殆どが計測不能だったからだ。背筋力や握力は、軽量皿に乗せたオモリが重すぎてケーブルが千切れてしまった。垂直跳びは、計測版の上まで飛んでしまうし、反復横跳びは、早すぎて見えなくなってしまうらしい。


 屋外での計測も同様で、懸垂では鉄棒が曲がってしまったので、『グラビティ』を切って再度挑戦しようとしたら、先生に止められてしまった。立ち幅跳びとボール投げでは、計測範囲を大きく超えてしまったし、圧巻は1500m走だ。皆が、必死に1500mを走っている間に私だけ5キロを完走してしまったのだが、息も切れなかった。全ての測定結果は次のとおりだ。


   垂直跳び:2m以上(測定不能)

   握力:150キロ以上(測定不能)

   背筋力:300キロ以上(測定不能)

   反復横跳び:100回以上(測定不能)

   立ち幅跳び:5m以上(測定不能)

   懸垂:100回以上(測定不能)

   ボール投げ:150m以上(測定不能)

   1500走:2分以内(測定不能)


 自分の限界を知るのは大切だが、それは本当の限界なのか、それとも制限された環境の中での制限なのかは別として。今日の体力測定は、両手、両足に5キロずつのウエイトバンドを計20キロ、それだけで自分の体重と合わせて70キロ位にはなっているが、それに『グラビティ』による重量倍加をかけているので、140キロの体重のまま計測したわけで、それでも、他を圧倒というか、人間の能力を超越してしまっていると言えよう。まあ、これで『身体増強』とか『瞬動』などを使ったら、完全にモンスターだとは思うけど。


 そういえば、アルフレッド君もかなり人外な測定結果だったけど、彼の場合には、身体の周りにうっすらと魔力を纏っているのが見えたので、おそらく『身体強化』をかけていたのだろう。別にズルとか思わないけど、いつも魔力に頼った行動をしていると、魔法障壁や魔力無効化で妨害されたとき、どうするんだろうか。まあ、侯爵家嫡男なのだから、優秀な部下が大勢いて、防護してくれるだろうから心配することもないかな。


  次の授業は魔法実技だ。貴族専科は、貴族の子弟ばかりなので、基本、魔法を使える者ばかりのはずだが、使えるといってもピンキリで、生活魔法を使うのがやっとのものから、3つも魔法属性を持っている化け物まで色々だ。不思議なことに、高位貴族ほど魔法属性を多く持ち、また魔力も多いのだが、これは、そのような者が活躍して高位貴族に取り立てられた可能性もあるだろう。そういえば、勇者の末裔が今の国王陛下だという伝承もあり、王族が優れた魔法使いになることが多いのも偶然ではないのかもしれない。ブルーム殿下も最初は魔法が使えなかったが、決して魔力が少なかったわけでもなく、一旦覚えたら、上達するのも普通より格段に早い気がしたし。


 今日の魔法実技の授業は、屋内の魔法訓練場で行われた。広い体育館のような構造だが、壁には窓がなく、何らかの魔法防御結界が張られているようだ。魔法授業の先生は、魔導士学院を卒業してから王宮魔導士になって、前線に派遣されていたが、戦役で負傷して引退、現在はこの学院の魔法専科学部長をしているダンドール先制だ。あの、ダンドール魔道士学院主任教授のダンドール師の兄上らしいが、紛らわしいので、ダンドール兄先生と呼ぶことにした。先生の自己紹介が終わってから、各自の魔力量測定と適正検査が行われたが、私は、その前に先生に呼ばれて、測定ではなく先生のお手伝いをするように言われた。というか、絶対に魔力量を測ってはいけないといわれた。えーと、理由は、測定するための水晶がとても高価なので、壊されてはたまらないかららしいのだ。なんか、納得がいかないんですけど。


 結局、魔法専科担当教師たちと私で測定したのだが、さすがアルフレッド君、魔力99、魔法適性が火と水、それに土の3属性持ちだった。ビビイ嬢も魔力75、魔法適性が風と光、それと聖の3属性で女子ではトップだった。魔法専科の先生の話では、専科学生よりも優秀だそうだ。まあ、専科の学生は、平民か下級貴族の子弟が多いので、そうなのかも知れない。あ、ダイン君は、魔力35、土の属性持ちだった。まあ、男爵家としては普通なのかな。


 測定が終わったら、組み分けで属性ごとにグループを作らされた。アルフレッド君は火属性グループに、ビビイ嬢は光属性グループに入った。まあ、ビビイ嬢の聖属性を持っているのは、私以外にいなかったのでしょうがないんですけどね。光属性グループの指導者は私になったんだけど、それっておかしくないですか?私も授業を受けたいんですけど。


 光属性グループは、女子2人と男子1人の3人しかおらず、基本中の基本の『ライティング』は、全員ができるようだった。しかし、30センチ位の光球を出すことはできるが、どうも不安定だ。おそらく魔力操作がうまくできないのだろう。いったん、光球を消してもらって、光球を出す直前のところで、魔力の放出を止めて貰った。


   「どうですか。指先が暖かくなっていますか。」


   「はい、不思議な感じです。こんなこと、初めてですけど、暖かいのですね。」


   「それが、魔力なのです。ある程度、指先にたまっているので、それをスッと体の中を巡らせて、反対の指先までもっていって下さい。もし失敗したら、もう一度、魔力を指先に集めるところからやり直してください。」


 皆、一生懸命に魔力を操作している。何度か失敗しているようだが、失敗しても魔力が体内に戻るだけなので、魔力切れになることはない。とにかく、魔力操作の感覚をしっかりと覚えて貰いたいのだ。15分ほど練習したら、一旦休憩をとることにした。集中力が途切れたまま練習してもうまく行かないことが多いからだ。じゃあ、ちょっと余興でもやりますかね。


   「皆さんが今やっていたのは魔力操作の練習なのですが、魔力操作に習熟するとこんな事もできるんですよ。」


 私は、30センチ位の光球を次々と生み出していく。10個位作ってから、まず空中にサークル上に並べて置く。それからくるくる回し始める。直径3m位の大きな円を描き続けているが、その回転速度をどんどん早めていく。もっと早く、もっと早く。そのうち、すべての光球がつながって見え、大きな光のリングになってしまう。そのまま、ゆっくりと上昇させ、垂直の円から水平の円に方向を変えていく。上に翳していた手をさっと振ると、10個の光球が10の方向に飛散していく。壁にぶつかりそうになったところで、手をクイッとまげてすべての光球を霧散させてしまう。どうですかという感じで皆を見てみると、ポカンとした顔で私を見ていた。ビビイ嬢、お口が開いたままですよ。ふと、周りを見ると、先生をはじめ、訓練場内にいる全員が私の方を見ていた。あ、やり過ぎたかも知れない。まあ、遊びですから。


   「ウ、ウホン。魔力操作に慣れると、このようなこともできますから。」


 先生も含めて全員が『嘘だ!』と大きく否定した。解せぬ。

フレデリック君の魔力操作は、誰にもできるというわけではありません。

 次話は。明日17:00に投稿予定です。

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