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108 学院の授業は楽しいようです

学院生活が始まりました

 ブルーム殿下達と一緒の夕食が終わり、リビングに移動してゆっくりお茶を楽しんでいると、ロベルト君が話しかけてきた。


   「フレデリック君、今日、昼食の時、トラブルがあったみたいだが。」


   「ええ、ビビイ、えーとビビアン・フォン・ブレイン嬢と一緒に食事をしようとしたら、婚約者のベーカー卿がなんか物凄く怒ってビビイ嬢を叱りつけていました。あれって、いったい何でしょうね。」


   「ああ、彼はビビアン嬢との婚約に不満があるみたいなんだ。もともと彼女は5歳のときにアンドレイ王太子殿下の婚約者として国王陛下から内々の要請があったのだが、あのような事件で王太子の身分をはく奪されてしまっただろう。それで、ビビアン嬢のご両親が困ってしまって、一旦、婚約を解消したのさ。本当は、アンドレイ殿下のご様子を見て再婚約するかどうか決めようとしたんだけど、10歳のお披露目会の時に、ビビアン嬢を気に入ったベーカー侯爵が無理無理に頼み込んでアルフレッド君と婚約させたらしいのだ。」


   「でも、それなら何故アルフレッド君はビビイ嬢にあんなに冷たく当たるんですかね。」


   「うーん、同じ侯爵家といっても、歴代内務卿を務めているブレイン侯爵家の方が格上だし、これは内緒なんだけど、どうやらビビイ嬢は今でもアンドレイ殿下のことが諦められないらしいのだ。ブルーム殿下や君に対しては冷たかったようだが、身内や周囲に対しては優しい方だったようだね。」


 なるほど、格上の婚約者に対し今のうちからマウントを取りたいのに、肝心の婚約者が自分の方を向いていないのが気に食わないのか。なんか、小さいな。でも、私にできることなんか何もないし。様子見かな。そう考えていたら、ブルーム殿下から声がかかった。


   「それよりもフレデリックは、新入生代表なんて凄いね。いままで、貴族専科生で代表をやった者なんかいなかったよ。」


   「あれは、貴族専科としてではなく、騎士専科の新入生として成績が良かったから選ばれたんですよ。」


   「でも、普通は文官専科生の中から選ばれているのに、すごいよね。」


 それは、私も不思議に思っていたんですけど。文官専科生は、幼いころから猛勉強をして、この学院への入学を狙うらしいのだが、単に合格するだけではなく、トップクラスの成績で合格し、学年首位をキープしながら、総代として卒業することを狙っているらしいのだ。私にはそんな熱意もないし、才能もないと思うのだけど、まあ、日本の中学受験のレベルにも達しないレベルの試験では、トップ合格といってもタカが知れていると思うのですが。でも、そんなことを言うと、なんか不味い気がしたので、


   「はい、おかげさまで。これも偏に幼いころからブルーム殿下達と一緒に学ぶことができたおかげだと思いす。」


   「フレデリック、そんなことはないよ。僕たちはフレデリックに教わってばっかりだったし。ねえ、ロベルト達はどう思う。」


   「学力もさることながら、剣の腕も、魔法の腕も、とても年下とは思えませんでしたね。フレデリックはどこで剣術や魔法を覚えたの?」


   「うーん、自宅ですかね。郷里にいたときは勉強は家庭教師に、剣術や騎士団の副団長に、それと魔法は王都の魔術師協会から派遣して貰ったのかな。あまり、覚えていないんです。」


 本当は、生まれた時から鍛錬していましたなんて言えないもんね。その辺は、皆も不思議がっているけど。


   「そう言えば、その腕に巻いているバンド、学院に来ても巻いているけど、大きな傷跡でもあるの?」


   「いえ、これはリストバンドといって、重りを仕込んでいるのです。まあ、剣の技術向上のためには、平素からの鍛錬が必須ですから。」


   「それって、僕も巻けるかな。」


   「あまりお勧めできません。筋肉が出来上がらない内から過剰な負荷をかけてしまうと、関節が変な風に固着したり、筋肉そのものが正常な発育をしない場合がありますので。私の場合には、聖魔法で『ヒール』が使えましたので、特に問題はありませんでしたが。」


   「ふーん、でもそれって随分小さい時から付けていたよね。確か5歳位の時から。そのころから聖魔法を使えたの?」


 うん、これ以上、この話題を続けると勘の鋭いブルーム殿下にいろいろ気付かれてしまう。


   「えーと、あの頃は、もっと軽いリストバンドでしたから。はい。」


 なんとなく、変な汗が出てきた夕食会だった。そういえばブルーム殿下の婚約者って決まっていないのかな。侯爵家以上の家格のお姫様で年回りがちょうど良いのは、えーと、えーと、あ、ダメだ。他の貴族家のことをあまりにも知らなすぎる。考えるのはやめにして、今日は寝ることにしよう。



 次の日から、普通の授業が始まった。ライオネス先生のHRが終わると、必須授業以外は、それぞれの教室に移動する方式だ。今日は、初めてということで、午前中は、この教室で必須授業のみが行われる。1時限目は貴族礼式だ。担当はライオネス先生だ。えーと、見た感じ、絶対アカン感じだけど、さすが伯爵家次男だけあって、授業が始まると、ビシッと姿勢が直り、いかにも貴族という雰囲気が出ている。貴族家礼式がある理由は、統治する者として、常に礼節を大切にし、礼儀にとらわれることなく、常に相手を敬う姿勢を堅持するために生まれたのが貴族礼式であり、決して形式のみのものではないということだそうだ。最初に『貴族の礼』の見本をライオネス先生が見せてくれる。


 まず、気を付けの姿勢で立ってから、左足を半歩引く。右手を軽く握って、左胸に当てる。左手は、軽く握って、左腰の後ろに回しておく。それから腰を15度に折るのだが、深すぎても浅すぎてもいけない。ただし、相手が王家の場合には、この角度は30度であり、国王陛下の場合には45度になるそうだ。また、相手が自分と同格以下の場合には、右手は右胸ではなく、鳩尾あたりに当てるのだが、相手の身分が分からないときは、右胸に当てておけば間違いないそうだ。


 さすが、ライオネス先生の貴族の礼はきれいに決まっている。ただし、この『貴族の礼』のほかに、左膝を床についての『臣下の礼』がある。これは、国王陛下に直接相対するときや勅命を受けるときに行う礼式で、間違えていけないのは、この礼は国王陛下以外には絶対にしてはいけないということだ。貴族が忠節を誓うのはただ国王陛下のみであり、自分の上司であっても、この臣下の礼を上司に対してすることは、国王陛下に対して叛意ありと勘繰られても仕方がないそうだ。でも、どうも貴族の中には、この大原則を忘れている者も多いようだ。


 次に女性の場合の礼式だ。これはもちろん『カーテシー』だ。基本、女性貴族は頭を下げないのだが、この理由は諸説があるが、昔の女性貴族のヘアスタイルが超高層ビルのように盛り上げており、頭を下げると前に崩れ落ちてしまうから、頭を下げずに上体を鎮めるだけにしたという珍説もあるが成程と納得できる説である。正式の『カーテシー』のやり方は、相手に対し、左、もしくは右の片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま挨拶をするのである。この時、両手でスカートの裾を軽く持ち上げて行うのが正式であるが、ズボン等の場合には、その所作をするだけでも良いとされている。女性貴族が膝を床に付くのは、国王陛下から断罪つまり刑の宣告を受ける時か、結婚式の際に大教皇等から王冠もしくはティアラを授けられるときのみだそうだ。


   「それでは、カーテシーの見本は、ビビアン嬢、前にでてやってくれないか。」


 ビビイ嬢が、皆の注目を集め、顔を真っ赤にして前に出ていく。ライオネス先生を相手に、とてもきれいなカーテシーを決める。さすがです。もともとすらっとしたモデル体型だけあって、所作がとてもきれいなうえに、幼いころから王妃になるべく厳しい教育を受けてきたのであろう。周りの女性陣も深いため息をついている。私は、ふとベス嬢のことを思い出してしまった。ベス嬢のイメージとしては、いつもお菓子とかを食べていることしか思いつかないんですけど。考えてみると、ベス嬢も当然、この学院に入学するだろうし、こんな奇麗なカーテシーができるなんて想像ができないんですけど。


 あ、ベス嬢、きっと大きなくしゃみをしているね。

学院生活はまだまだ続きます。

明日も17:00に投稿予定です。

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