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102 王立学院入学準備は大変なようです

フレデリック君にも12の春がやってきたみたいです。

 アスラン暦470年の新年を迎え、国王陛下への新年の挨拶をするために、王都に来ている。まずは、ランカスター邸に行って、アリスにウエスタン領特産品であるオレンジに似た激アマミカンを持っていく。もう、完全にレディになっているが、母上に似て美人さんになること間違いないだろう。最近は、ベス嬢とのお茶会などで淑女になる練習をしているらしいが、私への甘々が少なくなってきたと思うのは気のせいなのだろうか。


 私も、今年で12歳、準成人という扱いになるらしい。


 この世界では15歳で成人となるが、12歳で色々なことが出来るようになる。まず親元を離れて商会や工房に見習いとして就職することが出来る。また、冒険者ギルドで冒険者見習いとして登録ができ、討伐と護衛以外の依頼なら、単独で受けることが出来るようになる。


 そして、上級学校に進学して専門的な学問を学ぶことが出来るのだ。この国の最高学府は、王立魔法大学院であるが、ここは魔導士や錬金術師が国家公務員として研究に専念する研究機関であり、元の世界の大学院とは全く違う機関のようだ。次は、高等学校だが私立の高等学校はなく、全てが公立となっている。


 高等学校の最上位は、王立学院で、王国で国立の高等学校は1校のみだ。後は、各侯爵領の領都に1校、領立の高等学校があり、それから主要都市に専門学校が設置されている。


 高等学校ではないが、15歳の時に文官登用試験に合格した者が入る王立文官学院と言う学校があるが、これは立法や行政・司法を専門に学ぶ研修所のようなもので、学年わずか30人と言う狭き門である。平民が武力やスキル以外で昇任できる最高位の各行政次官や最高裁判官に任官するためのスタート地点だ。しかし30人の採用枠中29人が王立学院文官専科出身ということで、12歳の春で人生が決まってしまう訳である。


 そんな王立学院だが、専科は全部で6つ、貴族専科、騎士専科、魔法専科、文官専科、商業専科そして家政専科だ。貴族専科は、貴族の子弟であれば無試験で入れるが、中間試験と期末試験で一定の成績をとらなければ退校処分となり、翌年、再入校をしなければならない。しかも再入学は1回のみで、また退校となると他の専科で受験し直して新入生として入学しなければならない。入るのは簡単、出るのは最難関と言う地獄の罠のような学部だ。


 他の専科は、入学試験があるが、進級は単位制で、必須単位さえ取得すれば3回生までは進級できるとのことだった。王族は貴族専科一択で、他の貴族は、騎士専科や魔法専科を受験する者もいるそうだ。貴族専科以外は単位制なので単位認定試験さえ合格すれば、授業を履修しなくても単位を取得できるが、実技科目は、最低出席回数があり、概ね2分の1の出席をクリアしなければ単位認定試験を受験できないそうだ。


 後、飛び級制度もあるそうだが、飛び級しても王国騎士や王宮魔導士などの採用は成人してからになるので、あまりメリットはない。


 後、貴族専科以外は授業料がないし、寮費も最低限の食費だけ負担すれば良いが、貴族専科は、家格によって授業料と寮費が決められる。侯爵家は王族の次にランクされ、授業料が年に480万ジェル、寮費が月240万ジェルとなっている。王族と公爵家は授業料が年600万ジェル、寮費が月300万ジェルとなるそうだが、元々は国費からの支出なので、予算のつけ回しみたいものだ。ズルい。ベス嬢に聞いたら、12歳になると王位継承権者として内廷費が支給されるので、そこから学費を支出するらしい。やはりズルい。


 ウエスタン領の行政官であるベンジャミン卿に聞いたら、全く心配することなく、すでに年間費を一括払いしておいたそうだ。我が領は、結構富裕領なのかも知れないね。本当は、学費無料の騎士専科を受験して剣の道を極めたいのだけど、高位貴族としては貴族専科一択だし、悩んでいたら、父上から両方を受けても良いと言われた。父も両方を受けたそうだ。残念なことに騎士専科の方は実技単位が取れずに卒業できなかったそうだが、実力さえあれば特待生として授業カリュキュラムに自由度があるそうだ。


 えーと、そう言うことなら、進路は決まった。両専科併願で行こう。貴族専科は願書を出すだけだが、騎士専科は学科と実技の試験を受けなければならない。騎士専科受験のための勉強など全然していないし、実技は心配していないが、学科の方が少し心配だ。私は、5歳位までは家庭教師について勉強していたが、ブルーム殿下の御学友になってからは、ブルーム殿下が勉強する際に同席するだけで、それも7歳位になってからは、ほとんどご一緒していないので、基本的な学力が足りているのか不安がある。本屋に行って、過去に出題された問題集、いわゆる赤本を購入して確認してみたが、はっきり言って、日本の中学受験以下のレベルだ。まあ、学力レベルで言ったら、王立学院卒業でも、社会以外の学科レベルは中学卒業レベルで、英語がないので、数学、国語、理科の3教科は拍子抜けするくらいレベルが低かった。社会については、王国の歴史と地理であるが、国内の詳細な地図が王国軍トップシークレットになっている位だ。歴代国王陛下の名前や貴族領の大まかな位置と名称さえ覚えていれば満点をとれるレベルだ。それでも、一応、受験勉強をしようと思っている。


 ウエスタン領に戻って、ベンジャミン卿に騎士専科も受験することを話したら、勉強を見てくれることになった。ベンジャミン卿は、王立学院文官専科の首席卒業という英才だったらしい。土日を除いて、毎日、16時から2時間、ベンジャミン卿が勉強を教えてくれるのだが、勉強が終わってから、また行政庁に戻って仕事をするベンジャミン卿には、本当に申し訳なく思っている。ベンジャミン卿は、毎朝、7時には行政庁に出勤し、昼休みと夕食休みを取る以外は、毎日、午後9時まで仕事をしている。行政庁長官として領内全般の行政執行状況を統括するとともに、ウエスタン市長として、市民の嘆願や市政全般の決済の処理、それと領内の学校、診療所、孤児院などの福祉施設の総括など絶対一人では処理しきれないほどの仕事をこなしている。


 去年、国王陛下の裁可を得て、ベンジャミン卿を男爵に昇爵させてもらったが、それだけでは全く問題の解決になっていない。やはり優秀な補佐が必要だろう。4月になったら、行政組織の大幅な見直しをするつもりだ。まず、行政長官の補佐として副長官を選任する。そして各行政部門長、今後は次官と呼ぶことにしたが、次官には、ある程度の権限移譲をして専決事項を決めておき、長官の承認がなくても予算執行や規定制定ができるようにしておく。毎週1度次官会議を開催し、専権事項のうち、予算額が多い事項や、領民の権利を制限する規程等について報告することにした。1か月に1度は、3名の子爵と行政長官との情報連絡会を開催し、領内の問題点などについて討議していただくことにした。


 そんなことなどを決めていたら、あっという間に王立学院の入学試験日が来てしまった。




◆3月21日、王立学院の入学試験が始まった。この試験は、2日間にわたって行われ、初日は学科試験だ。さすがに、簡単な試験だとは言え、緊張してしまう。早朝、侯爵邸を出て、徒歩で学院に向かったのだが、付いて来なくていいというのにスザンヌさんとジュリちゃんが付いてきた。なんか、保護者同伴で試験を受けるみたいで恥ずかしいのだが、スザンヌさん、まったくきにしていないようだ。侯爵邸から学院までは歩いて1時間位だが、午前7時30分には到着してしまった。驚いたことに、正門前には受験生の列ができていて、門のところの受付で受験票を確認して貰っている。


 試験は、午前9時からと聞いているのに、この時間でこんなに並んでいるなんて、受験生がかなり多いのだろう。聞けば、ここだけではなく、王立魔法学院や王立文官学院でも学科試験を行っているそうで、募集人員250名に対し、受験生が4000名ほどいるそうだ。約16倍とは、聞きしに勝る超難関校だ。


 学科試験は、午前中が数学と国語、午後が理科と社会となっている。数学の試験が1時限目というのは何故かなと思ったら、数学の試験が終わった段階で、あきらめて帰ってしまう受験生が続出していた。2割程度は帰ってしまったのではないだろうか。試験内容は、まあ、日本の小学校卒業程度かな。加減乗除と小数点や分数の計算はともかく、円の面積の計算や時間と距離の計算など、かなりの引っ掛け問題もあり、皆、必死に指を折っているけど、きっと正解者は少ないだろうなと心配してしまう。


 理科は、植物の花の構造や濃度の指定された塩水の作り方など、日本の小学生ならだれでも答えられそうな問題ばかりだった。学科試験で一番の難関は、国語だった。というかある本の一説があって、その内容から、作者の意図を推測するという問題で、絶対に正解がないと思われる問題ばかりだった。それでも、問題を3回読み直して正解を導き出したが、うーん、不正解者が続出しそうな気がする。


 学科試験が終わったら、本日の合格者の発表が本館玄関わきに張り出された。騎士専科と魔法専科が100名、文官専科や家政専科などの文科系専科が70名の合格者だ。他の入試会場での受験者もいるので、1次試験合格者数も結構な数になるのだろう。明日は、実技試験だ。基礎体力調査と、剣術、魔法の能力検査だ。騎士専科は、剣術一択、魔法専科は魔法一択なのはわかるが、商業専科や家政専科で実技をする意味がよく分からない。これって、結局、有事の際の戦力確保ではないかなあ。

12歳は、準成人扱いです。


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