ヤマトへの遷都(4獣、青龍)
第4作目の投稿です。
是非是非、お楽しみください。
八広が一閃した草薙の剣から、強い闘気が青龍に向けて発せられた。
そして闘気は、真正面から青龍とぶつかった。
急降下していた青龍の軌跡は、そこで完全に止まった。
「ほほう。神剣から最大限の力を出し、我が動きを止めたのだな。たいしたものだ。やはり人間ではなく事実となる者だな。もう、未来が作られている者だ。よし、もう一度調べようぞ」
青龍の体は草薙の剣の闘気により、かなり傷つけられ、ダメージも深かった。
しかし、青龍は目の前にいる人間の正体をつかまなければと思った。
そして止められたその場から、最後の力を振り絞り、空中のその場から再び滑空を開始した。
(さすがに、ヤマト地方を数百年も守ってきた青龍だ!! 止めることはできなかったか!! 再び草薙の剣から闘気を放つ時間はないな。しょうがない―― )
八広はその場に立って、まともに青龍の攻撃を受けようとした。
エネルギーが違いすぎるので、まともに青龍の攻撃を受けると八広の命も危なかった。
しかし、青龍の攻撃が八広に届こうとした瞬間だった。
何か白いものが地上からジャンプして青龍に当たった。
白虎だった。
全力の突進ジャンプで青龍の動きは止まった。
「白虎!! 同じ聖獣でありながら、我の邪魔をするとは!! 」
「青龍様。本気ではないでしょ」
「なんてことを言うのだ。私は今、大切なことを行おうとしていたのだ。この邪馬台国の将軍がヤマトの、ひいては八島全体の運命を托す存在かどうか確認しようとしたかったのだ」
「青龍様の攻撃を受け止めることができるかどうか―― 受け止めることができれば良いのでしょうが、受け止めることができない場合もありますよね!! 」
「わかった。わかった。今、確認することができた」
入江八広は全身を集中させていた。
そして、彼の周囲には勇者としてまとう闘気、聖なる気が厚く覆っていた。
「たぶん。私の全力の攻撃も、勇者として受け止めてしまっただろうな」
そう言うと、青龍は体をどんどん小さくさせて地上に降り立った。
そして最後には人間の戦士の姿になり、八広の前にひざまずいた。
「邪馬台国将軍、八広様、やがて神武と改名なされると思いますが、あなた様がこのヤマトの地から八島全体を治める方になるまで、私、青龍をはじめ、この地の4聖獣はあなた様をお支えします」
「青龍様。ありがとうございます。ただ、邪馬台国は女王である登与さんが治める国です。僕が統治者になることはありませんが」
「‥‥はい、そうでしたね。先走り申し訳ありません。私の目、竜の目に一瞬、未来が見えたものですから!! 」
ヤマト地方の4聖獣を味方につけた八広は、海見山の山頂の邪馬台国神殿に帰還した。
そして、登与女王に全てを報告していた。
「登与さん。御依頼のあった4聖獣との交渉は大変うまくいきました。この神殿など邪馬台国がヤマト地方に遷都した後も、この国の発展のため守護してくれるでしょう」
「八広さん。いろいろとお骨折りいただきありがとうございました。これで、八島の神々の神託どおり、ヤマト地方に遷都することができます」
「遷都した後のこの国や人々は、とても美しい国の中で幸せな毎日を過ごすことができますよ」
「そうなんですか!!!! 」
「はい!!!! 2千年後のことを僕は良く知っていますから間違いありません。この国の名前は変わりますが―― 」
「名前が変わるのですか、是非是非、お聞きしたいのですが」
「日本という国になります。これから始まる歴史は、もちろん良い時代だけではなく悪い時代も訪れてしまいますが、子孫達は助け合い、すばらしい国を作ることでしょう」
「そうなんですか、とてもうれしいです。ところで、八広様にお聞きしたいのですが? 」
「はい。なんなりと」
「八広様は2千年後の未来から私と邪馬台国を助けるために転移していただきました」
「そうですね。家の前にある階段の333段目を踏んだことで大冒険をすることができました。それに、僕にとって大ラッキーなことがありました」
「大ラッキー‥‥‥‥ ですか‥‥‥‥???? 」
「すいません。僕の時代の言葉でした。僕の時代の若い男の子の中でも誰も訪れない幸せです」
「???? 」
「今、僕の目の前には最高に美しい方が座っていらっしゃいます。外見だけではなく、内面の心も大変美しい、自分のことだけではなく常にたくさんの人々の幸せをお考えになっています」
「!!!! ありがとうございます。勇者八広がいてくれたおかげで、邪馬台国は進むべき未来を得ることができました。そこでですが、八広様、ここで御自身の実家にお帰りになりませんか? 」
「―――― 長い間、帰っていませんので帰りたいのはやまやまですが、前に友達に教えてくれた事実が心配です」
「美しい北川風香さんが教えてくれたことですね。2千年後にここ海見山の山頂にある八広様の実家である神社が誤った砲撃を受けて全焼してしまったことですね!! 」
「はい、そうです。未来のことだから問題はないかもしれませんが、僕は実際は死んでいるのかも」
「大丈夫ですよ。実は、私は鬼道で未来を見て確認しました。八広様は釣りが好きなのですね」
「釣りですか、はい」
2千年後のある秋の日だった。
残暑厳しく、まだ太陽の光りは強かった。
海見神社が山頂にあるふもとの入江の岸壁に彼は腰かけていた。
彼は釣りが好きだった。
今日は高校の休日で、朝から岸壁に腰かけて釣っていた。
しかし、あまり無いことだが1匹も釣れていなかった。
「ああ、一匹も釣れないのか。不思議だな、この名人の僕はいつも、じゃんじゃん釣るのにな!! 」
子供の頃から入江のことを良く知っている彼にはわかった。
「後、少しで日暮れか。この入江には夕暮れがなく、すぐに暗くなってしまうから、もう帰らなければ。海見山の階段は何段もあるからな」
その時、海中に入れていた糸が緊張した。
そして竿が急激に引かれた。
「あっ!! この後の及んで強いひき!!!! 」
彼は急いで竿を手にとった。
魚との戦いが始まった。
長い時間だったが、最後には彼が勝った。
魚が海上に姿を見せた。
美しい大きな鯛だった。
その時!!!!
ヒュ―――― ガ――――ン
海見山の山頂を仰ぎ見る彼に、破壊され炎に包まれている神社が見えた。
お読みいただき心から感謝致します。
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週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。
作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。
一生懸命、書き続けます。




