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ヤマトへの遷都(4獣、白虎)

第4作目の投稿です。

是非是非、お楽しみください。

「あの、もしもし、この辺で」


 入江八広いりえやひろがおぶっている美女(実は朱雀)が言った。


「この辺ですか?? まだまだ草原が続くばかりですが」


「いいのです。ありがとうございます。下ろしていただきたいのです」


 そう言われたので、とりあえず八広は美女をその場に下ろした。


 下に降りた美女は、八広に深くおじぎをして言った。


「入江八広様。あなた様を(あざむ)いて申し訳ありません。実は私はヤマト地方4方の守護霊獣の一つ、南方を守護する朱雀でございます」


 美女はその場から空に飛び上がった。


 高く飛び上がり、相当な高さまで昇った。


 そして、その場所で太陽の光りを浴びると体が一瞬で変身した。


 八広が知っている鳥でいうと、クジャクのような姿で大きくなった。


 大きな赤い翼が印象的だった。


「自分の指命を全うしようとするあなた様の気持ちに心から感動致しました。邪馬台国が遷都した後、南の守護は私にお任せください。それから‥‥ 」


「それから‥‥ 」


「あなた様が自分の指命を全うされた後、幸せをつかまれることを心からお祈りしております。――きっと、絶対、あなた様がいるべき世界でまだ生きていらっしゃいますよ」


「‥‥‥‥ 」


「ごめんなさい。あなた様のお背中にいた時、あなた様の心をのぞかせていただきました」


 美しい大きな鳥の姿の朱雀は、赤いきれいな翼を羽ばたかせ空の上空に消えた。


 草原の中に1人残された八広は、予期せぬ展開にその場にしばらく立ち止まっていた。


 その後、我に帰り、草原の入り口で待たせている邪馬台国軍本体に向かって歩き始めた。


 長すねが聞いた。


「八広様。どうですか、うまく行きましたか」


「邪馬台国が遷都した後も、ヤマト地方の南の守護を引き受けていただきました」


「そうですか。美しい女性の姿をしていたでしょう。やはり、登与女王やザラさんを見慣れている八広様には幻惑の効果はなかったのですね」


「はい。しかし、僕の心の中にある最も大きな悩みを感じて、励ましてくれました。僕が生きてきて、最も優しい思いやりの気持ちを受けました。美しい心です」


「そうですか。どういうことかはわかりませんが、次のお話をしてよろしいでしょうか? 」


「はい。お願いします」


「ヤマト地方の残りの2つの土地神、霊獣は武闘派です。たぶん1回戦って勝たなければ、八広様、邪馬台国の言うことに従わないでしょう」


「それならば仕方がないですね。どちらから戦いましょうか? 」


「白虎、青龍、どちらも優劣つかないほど強いのです」


「それでは白虎の方から戦いましょう」


「なぜですか」


「なんとなくフィーリングです」


 八広はそう言ったが、実は理由があった。


 まず、ザラの兄のアテルイの甲冑や剣に、トラの姿が掘られていた。




 昔、ザラと婚約した後のある日、八広はザラの兄のアテルイと剣の練習をしたことがあった。


 何回も剣を打ち合った後、八広はあることに気がついた。


「アテルイ様。紋章は? 」


「そうかそうか,

気がついたのか。これは白虎だ。西方を守る霊獣だ」


「お好きなのですか」


「うん。我は西方への遠征が多いからな、向こうの地方では、多くの人々に恐れ敬われている霊獣だ。西方だけではなく、どこの場所でも霊気が集中する地を守るため、1匹はいるのだぞ」


「皇帝の紋章は、やはり青龍ではありませんか。現にお父上のシン皇帝も青龍を従わせています」


「そうだがな、我は青龍よりも白虎の方が好きなのだ。特に強い敵を打ち倒すため、たくさんの攻撃を受けボロボロになっても心が折れず炎のような目で敵を見る。そこが好きだ」


「同感です」




(ヤマト地方西方を守っている白虎はどんな霊獣なんだろう。やはりカッコ良い姿をしているのだろうな)




 しかし、八島のヤマト地方の西方守護、霊獣白虎はまだ小さかった。


 人一番負けん気が強かったが、まだまだ幼く、ある時には別の魔物に負けてしまうこともあった。


 この間も、白虎の何百倍も年老いた猪の魔物と戦い負けてしまった。


 それで、北方守護の玄武に助けてもらい、猪の魔物を打ち倒した。


 だから自分に全く自信がなかった。


 自分が住む広大な竹林さえ、自分で守ることができなかった。


 今日も山犬の魔物が攻めてきた。


 山犬はたくさんの群れで攻め込んできた。


 白虎は恐くて仕方がなかった。


 ところが、知らないうちに山犬の魔物の大集団に囲まれてしまった。




 調度その時、邪馬台国の軍勢が竹林の中を進行していた。


 そして、山犬の魔物の大集団が小さな白虎を囲んでいる場所に遭遇した。


 長すねが言った。


「あれ、変な場面に遭遇してしましましたね。今、山犬の魔物の大集団に囲まれているのがここヤマト地方の西方の守護霊獣、白虎です。どうされますか。助けますか? 」


「あの小さな白い猫のようなのが白虎ですか。なるほど、まだまだ幼いのですね」


「幼いどころか、たぶん大変弱いと思いますよ」


 八広は決心した。


 そして、少し離れた場所から白虎に向かって話し始めた。


「白虎様、私は邪馬台国の将軍八広です。あなた様にお願い事があって参りました。大変な場面ですが助力はしません。なぜなら、あなたの目が死んでいないからです。必ず勝てます」


 その後、八広は一人で白虎に近づいていった。


 そして、その場にひざまずいた。


 山犬達の中に、自分達が全無視されていることに怒ったものがいた。


 体の大きな一匹が八広に襲いかかった。


 八広はひざまずいたまま、一瞬で草薙の剣を一閃した。


 山犬の魔物は真剣に切られて消滅した。


「勇気を手放さないで!! 勇気を手放したら、生まれた価値さえ無くなってしまします。自分に自信をもって!! 誰にも壊されない強い自信を!! 」


 八広は大きな声で白虎を励ました。


 それは、弱気でおどどしていた白虎の心にしっかりと届いた。


(あの人間。好き‥‥ )


 白虎の心の中に炎が灯った。


 それは大きな目に映っていた。


 最後には、その炎が全ての弱気を燃やし尽くした。


 すると、白虎の体は何百倍にも大きくなり、その牙や爪は鉄のような鋭いものに変化した。


 白虎は1回、雷のように咆哮(ほうこう)した。


 自分達の敗北と死を悟った大山犬の魔物の大集団はあっという間に、そこから逃げていった。

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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