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ヤマトへの遷都(4獣、玄武)

第4作目の投稿です。

是非是非、お楽しみください。

 海見山の山頂にある邪馬台国の神殿の中だった。


 八島の神に仕える巫女であり女王である登与(とよ)が祈っていた。


 鬼道を使い、ヤマトへ国を映す遷都(せんと)の時期を占っていた。


 何百年前から消えることの聖なる炎の上で、亀の甲羅をあぶっていた。


 やがて、「びりっ」という大きな音がした。


 登与は亀の甲羅を自分の前の皿に置いた。そしてひび割れの様子を真剣に見た。


「そうですか!! また八広様に、大変なことをお頼みしなければなりませんね」


 神からの啓示を受けた登与の口から思わすひとり言が出た。




 やがて、遠くヤマトへの移転の時期は発表された。


 それは、3年後に起きる日食の日だということだった。


 国を納める人々のみならず、希望する住民は全て移ることになった。


 ある日のこと、八広は登与に呼ばれ、神殿の中である話しを聞いた。


「八広様。私は邪馬台国をヤマトの土地に移転させなければなりませんそして、八島の神々に仕える新たな神殿をヤマトに建設しなければなりません。ところが、ある支障があることがわかりました」


「ある支障‥‥ ですか?」


「はい。実はヤマトの地を、4人の強い土地神達が守っているのです。この4人の土地神達は力を合わせてヤマトを囲むように強力結界を張っています」


「登与さんや、邪馬台国の人々を受け入れてくれるでしょう? 」


「八島の神々からのお告げですと、それなりの力を行使しなければ、私達を受け入れてくれないそうです」


「つまり、戦って言うことを聞かせなければならないかもしれないのですんね」


「どのくらい手荒なことをしなければならないのかわかりません。でも、戦うつもりで4人の土地神達に対面する必要があるそうです」


「‥‥ 女王様、おっしゃりたいことはわかります。僕にお任せください。最終的には4人の土地神達は、邪馬台国を永遠に守ってくれるのですね。それでは必ず邪馬台国に従ってもらわなければ‥‥ 」




 2か月後、入江八広(いりえやひろ)は数万の軍勢を率いてヤマトの地に入った。


 長すねが、道案内をかって出た。


「八広殿、いや失礼、もう神武殿と呼ぶのが正しいですか。4人の土地神の内、まず性格が比較的穏やかな玄武に会いにいきましょう。巨大な亀のようなヘビのような姿です」


 長すねはヤマトの北にある大きな湖に、八広達軍勢を案内した。


 その池は極めて大きな湖で対岸がぼやけて見えた。


「長すねさん。玄武に会うためにはどうすれば良いのでしょうか。この岸辺で待っていてもらちがあかないと思うのですが」


「この池にお供え物をして、様子をみましょう。玄武な何が好きなのでしょう」


「そうですね。身ところ大亀のような姿だとすると、草食なのでしょうか。野菜などをお供えしたらどうでしょうか」


「なるほど。良い考えですね。ヤマトの地方でおいしい野菜は何があるのでしょう」


「他の地方とは少し変わった、おいしい野菜があります。私が御用意します。しばしお待ちください」


 長すねが玄武に供物として捧げる野菜を用意している間、八広達は湖岸で待っていた。




 良い天気だった。


 湖岸に軍勢を待機させ、八広は指揮所の椅子に座りながらのんびりと湖面を眺めていた。


(大きな湖だ。でも、僕の時代の大和地方にこんな大きな湖はなかったのに。それとも、少し離れた琵琶湖が2千年前はここにあったということなのかな)


 見ていると、小さな2人の兄弟がやって来た。


 そして、岸壁に腰かけて釣りをし始めた。


(釣りか‥‥ そういえば、休日の時はよくやったな)


 その時だった。


 弟の竿から出ている糸にあたりがあった。


 しかも、子供の力ではどうしようもない強い力のひきだった。


 そして最後に、とうとう小さな子供は湖の中に引き込まれてしまった。


(大変だ!!!! )


 八広の足は反射的に動いた。


 そして、回りの家臣達に止められる、いとまもないほど、全力で走って湖の中にダイブした。


 八広は水の中に深く潜り、小さな子供を見つけるとすぐに引き寄せ、水の上に出ようとした。


 ところが、湖の奥深く巨大な影が子供を引いて泳ぐ八広を起きかけてきた。


 八広が子供とともに湖面に顔を出すと、副官のハンが船を出して待っていた。


「ハンさん。この子をお願いします。来ます!! 何か大きな物が!! たぶん玄武でしょう!! 早く岸に戻ってください」


 1人になった八広は決意し、やがて再び潜り始めた。


 潜りながら草薙の剣を抜いた。


 玄武のような大きな影が急激に近づいていた。


 彼は草薙の剣を一閃(いっせん)した。


 一閃は強い水流となって玄武に向かった。


 それとともに、水の中にすさまじい(うず)を発生させた。


 酸素不足になって、八広は意識を失った――




 異様な雰囲気の中、八広は意識を取り戻した。


 目を開けると、大きなヘビが彼を見つめていた。


 彼は何か固いものの上に横たわっていた。


「これは、ここは? えっ!! 大きな亀の上!!!! 」


「勇者よ。私はヤマトの北の守護神、玄武じゃ」


「玄武様ですか」


「お主が邪馬台国の神武じゃな。八島の神から聞いているぞ、登与(とよ)女王を守護する勇者なのだな。見事な決断だった!!!! 」



「見事でしたか? 」


「小さな子供が湖の中に落ちたことを見た時、躊躇(ちゅうちょ)せずの救助のために飛び込んだじゃろ。何を大切にしているかよくわかる―― 」


「‥‥ 」


「それにわしの姿を見た時、すぐに1人で戦うことを決断したな。自分にも自信があるのじゃな。いずれにしても勇者にふさわしい」


「ありがとうございます。ところで我が邪馬台国がこの地に入ってからのことですが」


「もちろん。こん北の地の守護はわしに任せよ。あれ?? 聞いていなかったのだな。最初からそのつもりだったのだがな」


「はい。今、初めてお聞きしました。」


「そうそう、わしは鬼道を使う登与(とよ)女王の一族はきらいなんじゃ。だから直接的には意志を伝えていないのじゃったな」


「玄武様。どうして登与さんの一族がきらいなのですか? 」


「実はな‥‥ 鬼道は亀の甲羅をたくさん使うじゃろ。もちろん、もう死んだ亀だがな、我が同胞が生きていた時の体の一部を火であぶるなんて、とても見てはいられないのじゃ」


「すいません。悪気があるわけではないと思います」


「良い良い。わしはお主が大いに気にいった。他人の命を真に大切に思うことのできる人間は、これからもこの世界にあまり現われないじゃろ。最も(たた)えられるべきじゃ」

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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