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神武を名乗る(ヤマト)

第4作目の投稿です。

是非是非、お楽しみください。

 ヤマト地方に入る峠の坂道の途中で、邪馬台国軍は停止した。


 すぐに大楯をそろえて、亀の甲羅のような態勢をとった。


 しばらくして峠の頂上から、矢の雨が降ってきた。


「恐れることはない! みんなで大楯をしっかりささえよ!! 」


 軍師ハンが全軍に指令した。


 しばらくそのような状態が続いたが、やがて、矢の雨が止まった。


「慎重に前進、前進!! 」


 前進命令が出た。




 その少し前だった。


 ヤマトの回りを囲む山の中を苦労して進む一団がいた。


「八広様。虫が多いですね。害虫も多いのでしょうね」


「ザラさん。申し訳ありません。きれいな肌が傷ついてしまって―― 」


「そんなに心配ならば、戦いが終わった後、私の体の隅々に薬を塗ってください」


「はい。わかりました」


「やった―― 」


 入江八広(いりえやひろ)の指揮で、邪馬台国の別働隊が深く暗い山の中を登っていた。


 地元の猟師を道案内役にして、深く繁る木々をかき分けていた。


 やがて、先頭を進んでいた猟師が止まり、後ろの八広達の方を見た。


 八広がそばに行くと猟師はだまって前方を指指した。


 その方向を八広が見ると、暗い山の中に太陽の光りが照らしていた。


 とうとう山を登りきって、頂上が近いことがわかった。


「八広様。全軍で長すねの軍に襲いかかりますか」


「そうですね。まさか、僕たちがこの場に出現するとは思っていないでしょう」




 峠の頂上、坂道とは全く反対側に邪馬台国の別働隊が現われた。


 長すね軍は大変驚き、大混乱を起した。


 しかし、長すねの優れた指揮の元でだんだん態勢を立て直した。


 坂道を登る邪馬台国の本軍を放置し、まず、数の少ない別働隊を全力で攻撃し始めた。


 入江八広(いりえやひろ)は別働隊の前に出て長すねに呼び掛けた。


「私は邪馬台国の将軍、入江八広だ。ヤマト地方を領有している長すね様。僕と一騎内してください」


 呼び掛けられた長すねはそれに応じ、前にでてきた。


「我が長すねだ。いきなり我が領地ヤマトに攻め入るとは、何様だ!! 」


「偉いものではありません。僕は単に邪馬台国の女王登与(とよ)さんを守る勇者、入江八広です」


「そして私が彼の婚約者よ。石の国の大帝国、シン皇帝の第1王女ザラの婚約者です」


 いきなりザラが八広の前方に姿を現わした。


 背の高い金髪、緑色の瞳の絶世な美女であるザラを見た途端、長すね軍の兵士達は驚いた。


 そして、その中でも総大将の長すねは仰天(ぎょうてん)した。


「えっ!! こんなに美しいの!! この世に存在するとは思えない!! 」


 長すねはザラに完全に心を奪われてメロメロになってしまった。


「あの美女を捕獲するのだ。相手は少数、まず美女以外の別働隊を壊滅させろ」


 様子を見ていた八広は冷静に詠唱した。


八咫烏(やたがらず)


 その途端、周囲が一瞬夜のように暗くなった。


 しかし、すぐに強烈な光りが八広の上の空間から長すねの軍に向かって差し込んだ。


 黄金のからすだった。


 3つの足をもち、太陽のように光り輝いた。


「まぶしい!! 」


 数千人の長すね軍が光りの輝きで一瞬、動きを止めた。


 その瞬間、邪馬台国の別働隊は勇気をもって、長すね軍に突撃した。


 やがて、邪馬台国の本軍も峠の坂道を登り切り戦闘に加わった。


 その結果、勝負は決しようとしていた。


 このような状況の中で、八広と長すねの一騎討ちは別物として継続されていた。


 長すねが繰り出す剣戟(けんげき)は、強く素早く連打された。


 それは人間離れしていた。


 しかし、八広もそれぞれの剣戟の動きをしっかりと目で見て対応できていた。


 八広は長すねが疲れ攻撃の剣に隙ができるのをひたすら待っていた。


 やがて一瞬、その隙ができたことを感じると、自分の剣を軽く長すねに向かって突いた。


 その結果、長すねの態勢のバランスが崩れた。


 そして、その場に倒れた。


 倒れると、長すねは八広に向かって、その場で平伏した。


「私の完全な敗北です。あなたに心の底から降伏します」


 その様子を見ると、八広はとても優しい声で言った。


「ありがとうございます。悪くはしません。長すね様。どうですか、本格的に邪馬台国がヤマト地方に移転するまで、代官としてこの地方を統治していただけませんか」


「えっ!! 」


「ヤマトの地は新たに建国される国の都となります。長すね様、どうでしょうか都を守る国防長官になっていただけませんか。あなたが優れた軍略家であることは、よくわかりました」


 その後、入江八広(いりえやひろ)は空の上に目を向けて言った。


登与(とよ)女王、よろしいでしょうか」


「はい。八広さんの考えのとおりで正解だと思います」


 上空一杯に、巫女装束をした美白の美少女の顔が浮かんだ。


 その長い黒髪は、この世の中でどんな色よりも美しく黒く光っていた。


「えっ!! えっ!! 八広様、あの方は?? 」


「私が使える邪馬台国の登与女王様です。鬼道を使われて、遠い遠いこの地に姿を現わされています」


 長すねは少し興味深そうな顔をして八広に聞いた。


「ザラさんとは別のタイプである絶世の美女ですね。ところで、八広様は最終的にどちらを妻とするのですか?? なかなか難しい選択ですよね?? 」


「‥‥‥‥‥‥‥‥ 」


「決まっていないのですか!! 」


「‥‥‥‥‥‥‥‥ 」


「当たり前ですよね!! 」


「同意してくれてありがとうございます」




 入江八広(いりえやひろ)の遠征は終わった。


 準備が整い次第、邪馬台国の神殿をヤマトに移すことが決定された。


 海見山の山頂にある邪馬台国の神殿の中だった。


 八広と登与が向い会って座っていた。


「八広さん、お疲れ様でした。さすがに私の勇者です。大変な苦難を引き受けて、道を作っていただきました。それで、またしてもお願い事で今恐縮ですが―― 」


「どうぞ、おっしゃってください。私はあなたを守る勇者ですから」


「八広さんのお名前ですが、『神武』という正式名称にしたいのですが」


「『神武』ですか、カッコ良いすばらいい名前ですね。恐縮です。謹んで拝命します」


「それでは神武さん。もう一つお聞きしたいのです」


「はい。どうぞ」


「あなたが神武となって、邪馬台国の神殿をヤマトに移転してからも、あなたはこの異世界に留まっていただけますか。私のことは少しもお気になさらないでください」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ はい。私はあなたの勇者ですから、それに自分の世界では僕の既に命がないのかもしれません」

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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