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神武への遠征3(たたら国)

第4作目の投稿です。

是非是非、お楽しみください。

 トガ国と友好協定を結んだ後、入江八広いりえやひろは次の国への遠征に出発した。


 次は大陸に近い海岸にある国で、大陸からさまざまなものを取り入れ栄えていた。


「八広様。次のたたら国のことは私もよく知っております。我がシン皇帝は、たたら国が八島の国を統一していると誤解してしまいました。それで、たくさんの技術を与えました。」


 副官のハンが行った。


「ハンさんは行かれたことがあるのですか」


「はい。我がシン皇帝の使者となられたザラ王女様に同行して、何回も参りました」


「そうです。そうです。私はよく行きました。ただ、そこに住む人々はみな陰気で私は好きではありません。何を考えているのかわかりませんから」


 八広が正式に同行を認めたザラが、いつのまにかそばに立ち、話しに加わった。


「そうですか‥‥ もしかしたら深く考える人々が多いのかも知れませんね。今から2千年後の僕がいた時代にはこういう諫言(かくげん)があるのですよ」


「えっ、どのような」


「『静かな川は深く流れる。』です。ですから、物事を浅く考えることはせずに、深く考えて本質を理解しようとする人々が多い国かも知れません」


「なるほど―― 一つ合点がいくことがあります。鉄の鋳造ですが、我が帝国が基本的な方法を教えただけで、我が帝国よりもはるかに精巧な鉄を産出する国になったのです」


 副官のハンがそう説明した。


「たたら国が見えてきました」


 監視役の兵長が八広に報告にきた。


 急いで八広も物見マストに行き、望遠鏡を広げた。


 そこは、海と山がくっついたような地形だった。


 さまざまな場所を見ようと動かしていた八広の望遠鏡が、一瞬ピタリと止まった。




 どうして、そんなこと言ったのか八広はその後でも理解できなかった。


 しかし、彼は大きな声で言った。


八咫烏(やたがらす)!! 」


 すると彼が乗っていた大型帆船の甲板の上空に、金色の大きなものが現われた。


 それは、3本足のおおきな鳥だった。カラスだった。


「行って、あの2人があそこから落ちようとするのを止めさせよ。そして僕も連れて行って―― 」


 すると金色のカラスは、八広が乗るのに調度良い自転車くらいの大きさになった。


 甲板のすぐ上まで降りてきたので、八広はすぐに飛び乗った。


「八広様。何をなさるのですか」


 心配したザラが声を掛けた。


「取り越し苦労かもしれません。しかし、見過ごせないことを見てしまいました。だから行きます」


 八広を乗せた金色のカラスはすぐに上空まで上がった。


 そして、海岸そばの高い崖を形成している場所を目指して、猛スピードで飛んだ。


 海の上を進み、最後には断崖の上の狭い平地に近づいた。




 そこには若い男女が手をつないで、断崖のすぐそばまで来ていた。


「お2人とも、早まってはいけません。必ず何とかなりますから、僕が事情を聞きましょう」


 その2人は突然現われた不思議な物体に乗った八広に非常に驚いていた。


 逆に八広も非常に驚いていた。


 その若い娘が、邪馬台国の女王登与(とよ)に非常に似ていてからだ。


 だから自然と、その娘をしげしげと眺めてしまった。


 その娘もそれに気がついた。


「やはり違うな。別人か―― 」


「何が『別人か』ですか。ですか。いいなり現われて、わらわの顔をじろじろ見て失礼だとは思いませんか」


「ほんとうに申し訳ありません。私は邪馬台国の将軍八広と申します。あなたが僕の良く知っている方に非常に似ていたので、本物がなぜここにいるのかと、じろじろ見てしましました」


「わらわは誰に似ているのですか? 」


「邪馬台国の登与(とよ)女王様です」


 登与の名前を聞くと、その娘の態度はがらっと変わった。


「失礼しました。私は月夜見(つくよみ)といい、たたら国の王、大国主のみことの娘です。邪馬台国の登与女王のことは良く知っております。なにしろ絶世の美女なんですよね」


「月夜見! それは自分のことを絶世の美女と言っているのと同じだぜ」


 月夜見と手をつないでいた若い男が言った。


「そうなの、すさのお。別に良いじゃない、事実だから」


「お前、いくら王の娘といっても、そんなに自己顕示力が強いと嫁にいけないぞ」


 よく見ると、すさのおという若い男は背が大きく、八広よりも高そうだった。


 すさのおに注意され、月夜見はプイとした顔で黙り込んだ。


 八広は話題を変えた。


「月夜見様、どうして登与女王のことを知っているのですか」


「はい。実はわらわも八島の神に仕える巫女なのです。それで時々、神々に参列する霊界の道筋で、登与女王様とはすれ違い、あいさつさせていただきますの」


「そうなのですか―― ところで、お2人は今から何を―― 」


 八広にそう聞かれて、2人はしばらく黙っていたが、そのうち月夜見が笑い出した。


「ふふふふふふ―― まさか、この断崖から2人で身を投げて心中すると思ったのですか!! まさかまさかですわ!! 」


「月夜見!! そんなに否定しなくてもいいだろ!! 」


「すいませんでした。僕の早とちり、誤解でした。僕は邪馬台国の将軍で登与女王を守護する勇者ですから、常に先を読んでしまうのです。ごめんなさい」


「良いですわ。登与女王の守護者、勇者様」


「正式に大国主のみこと様と拝謁(はいえつ)させていただきたいのです。邪馬台国とたたら国との友好協定を締結させていただきたきたいのです」


「期日はいつですか? 」


「5日後でどうでしょうか」


「はい。わかりました。王の神殿に僕がおじゃまします。それでは、これで失礼します」


 八色は月夜見とすさのおに深くおじぎをした後、金色の八咫烏にまたがり、上昇し戻った。




「すさのお。どう思います。あの八広とかいう邪馬台国の将軍は強いですか」

「‥‥‥‥初めてあのレベルに会いました。たぶん私と同じくらい、そして時には、私を上回る力をだすことも可能な男ですね」


「そうですか‥‥‥‥ それではこの方法しかありませんね。だ ま し う ち‥‥‥‥ふ い う ち‥‥‥‥ 」


 月夜見は暗闇の呪いの詠唱を始めた。


 そして、黄金の八咫烏にまたがり海の上を飛んでいる八広に左手を差し出した。


「八島の神々、夜の世界を司る月夜見がお願い申し上げる。あの者を落とし、海の底に、深い深い暗闇の底に―― 」


 突然、周辺が夜の世界になった。

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に祝日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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