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努力した笑顔3

第4作目の投稿です。昨日仕事で大疲労、公開時間が遅れ申し訳ありません。

是非是非、お楽しみください。

「八広!!! 」、「八広!!! 」


 真剣な表情で黙り込んでしまった入江八広(いりえやひろ)に、アテルイが返事をうながした。


 苦しそうにしている八広に、ザラが言った。


「そうですか―― 八広様、登与(とよ)とかいう邪馬台国の女王は相当な女なのですね」


 八広はとても努力して笑顔をつくり、ザラの方を見た。


「じゃあ。私は帰る‥‥‥‥ 」


 アテルイは、いこごちの悪さを察したのか、帰ると言った。


「お兄様。もうこの船は、大陸からかなりの距離、離れています」


「問題ないな。私の金属鳥で行けば、そんなに時間がかからないだろう。八広、知っているか。音にも速さがあり、私の金属鳥は音より早いんだぞ」


「えっ、この時代で音速を超えるのですか‥‥ 」


「興味津々だな。見るか」


「はい」


 アテルイの後について甲板を歩いて行くと、そこには、八広の世界でよく見るものがあった。


「アテルイさん。これは? 」


「金属鳥だ。時々、異世界から迷いこんで来る」


「操縦方法は分るのですか? 」


「うん。自然に心の中に浮かんでくる。私には物に染みこんだ人間の残留思念がわかるんだ」


「この、戦闘機に乗っていた異世界の人間はどうなったのですか? 」


「人間??? この金属鳥が姿を現わした時、人間は乗っていなかった。きっと、時や次元の影響を受けるのだろうな。八広だけは特別ということさ」


「そうですか。でも、僕の時代でも次元のひずみを超えて、人間が違う異世界に行ってしまったという例は多いのです。どういう原因なのか、誰がそうしているのかはわかりませんが」


「八広。そういうことをしている神がいるとしたら‥‥‥‥ 悪い、悪い、余計なことを言ったな。今、一番重要なことはザラと登与の問題だぞ。私がその立場だったら解決は非常に難しいがな」


 そう言うと、アテルイは戦闘機の中に乗り込んだ。


「あのう―― アテルイさん。僕の時代・アテルイさんにとって異世界の戦闘機乗りは、体を守るために特殊なスーツ=着物を着るのですが、大丈夫ですか? 」


「はっ、はっ、私は神からのギフトを受けた特別な戦士だよ。(やわ)な体じゃないから大丈夫さ」


 すぐに戦闘機はその場からゆっくりと、垂直に上昇し始めた。


 そしえ数百メートルあがっ思うと、いきなりバーナーから火炎を全出力で噴射した。


 甲板に立っていた八広は衝撃を受けたが、なんとかその場に立っていた。




 数日後、八広を乗せた大ガレー船は邪馬台国の神殿がある海見山の入江に近い外海に到達した。


 それを監視していた邪馬台国では大騒ぎが起きていた。


「登与様。この入江に大きな船が侵入しようとしています。石の国の物でしょうか」


「船は何隻ですか。艦隊をくんでいるのでしょうか」


「いいえ、一隻だけですが非常に大きな船です。それに、監視していた者が言っていましたが、八広様を連れ去った船だということです」


「それでは‥‥‥‥ もしかしたら、八広様がお帰りになられるかもしれませんね」


 座っていた登与はいきなり立ち上がると、外に向かって歩き出した。


 海見山の上から外海を見張る物見やぐらまで行くと、そこにいた兵士に聞いた。


「大きな船は今どこにいますか。大体で良いから教えてください」


 兵士が外海のその場所を指差すと、登与もその場所を厳しい目で見つめた。


 外海を航行し邪馬台国の入江に近づこうとしている巨大なガレー船の甲板だった。


 兄のアテルイが帰ると言ったのに、ザラは見送ろうともせず甲板のその場に留まっていた。


 彼女の心の中は怒りに震えていた。


(登与!!! 八広様の心を完全に捕らえているのね!!! 私よりも魅力的なんて許せない!!! )


 すぐに、彼女は感じた。


(誰かに監視されている。これは―― )


 ガレー船が進む外界の前方に、邪馬台国の入江の目印になる海見山が見え始めていた。


 そして、その山の頂上から強い霊気を感じた。


 ザラは、青い大きな瞳でその報告を見つめた。


 すると見えた。


 白い装束の全身霊気をまとった美女がこちらを見ていた。


(なんという美しさ。見ているだけで、私の心も(いや)される。あっ! もしかしたら! )


 ザラは魔力で言葉を届けた。


「あなたは誰??? 」


 すると、すぐに海見山頂上の美女から答えが返された。


「私は邪馬台国の女王。登与です。その船で八広様はお帰りになるのですね」


「お前が登与か!!! 」


「副官!!! 」


 ザラは自分の副官のベースを読んだ。


「はい、ザラ様。御前に―― 」


「ベース、大砲をあの山の頂上に向かって撃ってください」


「ザラ様。あの場所は邪馬台国の女王の神殿の場所です。邪馬台国とは八広様との婚約で休戦協定が結ばれています」


「ベース、すいません、後の責任は私がしっかりとりますので、『うっかり間違えて大砲を撃った』にしていただけませんか」


 副官のベースはよほどザラに心酔しているのか、即答した。


「はい。わかりました。おおせのままに―― 」




 ガレー船の大砲のうち、最も大きな一門が向きを変え、海見山の上に目的を定めた。


 そして、間もなくその大砲が火を噴いた。


 それは火山の噴火のような轟音(ごうおん)だった。




 海見山の上で石の国のガレー船を監視していた兵士が狂ったように叫んだ。


「登与様!!! あの船、大きな大砲の砲塔をこちらに向けました」


「あっ!!! 撃った!!!!!! 」


 その衝撃は海山の頂上まですぐに届いた。




「かしこみ かしこみ 八島の神々よ、あなたにお仕えし八島を守る登与を救い給え―― 」


 登与がそう詠唱した後、不思議なことが起きた。


 大砲に狙われた海見山の前方に、巨大な金色の八咫烏やたがらすが現われた。


 そして、そのカラスは巨大な羽を、はばたかせた。


 その結果、発射された砲弾はブーメランのように向きを曲げられ、空のかなたに吹き飛ばされた。


 遠い遠い空の上空で大爆発が起きた。


 その衝撃波はガレー船の甲板にも到達した。


 アテルイの見送りが済んだ八広が急いでザラに掛けよってきた。


「ザラさん。今の衝撃は??? 大丈夫ですか」


 八広に聞かれると、ザラは黙って航行先にある海見山の頂上を指指した。


「八広様‥‥ 」


「私の愛です」


 すぐに八広は全てを理解した。


 そして、最大限の笑顔を無理矢理つくって答えた―――― 

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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