身に覚えがなくはない
よつばと!が面白い。
第5話です。
歩くこと20分、人通りの少ない通りにある、落ち着いた雰囲気の喫茶店に到着。
俺はコーヒーを、葵はコーヒーとケーキを注文した。
……ナポリタン食べようかな。
「あのさ、圭」
店員さん呼んで追加しようとしたら、お呼びがかかった。
「はいよ」
ナポリタンはおあずけだな。
「皐月が圭の事友達って言ってたけど、本当?」
おぉ!コーヒーうまいな!
「……ん?あぁ、ホントホント」
……全然聞いてなかった。
「そう……こんな事、言いたくないけど……」
なら言わないでくれ。
「軽い気持ちで、友達になんてなれないわよ?」
…………えっと?何?ようは、私は安くないわよ!って事?
う~ん、軽い気持ちじゃ駄目って事は……。
「つまり、結婚を前提に!的な?」
「はい!?ちょ、ちょっと!!今日初めて会ったのに、そこまで考えてるの!?」
あれ?なんか違うみたいだな。
ん~……。
「あのさ」
「もしかして一目惚れ!?でもでも!相手の気持ちだってあるんだし!」
「ストップ!」
一人で盛り上がられても困る。
「な、何よ?」
「あ~っと…………何の話なんだ?」
「………………………………んぇ?」
んぇ、って何だよ。
「え?皐月の事だけど……」
なるほど!皐月の事ね!
「もしかして、聞いてなかった?」
あらヤダ!!
「もしかしちゃったりして!」
明るく言ってみた。
「…………」
沈黙とか止めて!
「はぁ。皐月と軽い気持ちで、友達になったんなら、止めときなさい。って事」
呆れながらの説明ありがとう。
「なんでさ?」
「そうね…………一週間皐月の事を見てれば、分かると思うわよ」
よくわからんが、まぁ、言われた通りにしてみるか。
「りょーかい」
「じゃあ、私の話はおしまい!」
コーヒーもなくなったし、そろそろ帰るか。
「おし!そんじゃ、そろそろ帰るか!」
伝票を持って、レジに行こうとしたら、葵に止められた。
「私が払うよ!」
こうなる事を見越して、さっさと伝票持って良かった。
私が払う!いやいや、俺が!というやりとりは、面倒なので、無視してレジに行って代金を払う。
「………ごちそうさま」
店を出ると、レジの辺りで払うのを諦めてた葵が、お礼を言ってきた。
「どーいたしまして」
「次は私が払うから」
なんと!次があるらしい!
「おう、楽しみにしてるよ!」
その後、葵を家まで送って行った時に、葵の家と俺の家が、徒歩5分位の距離にあることが判明。
世間は狭いって本当だね!
それにしても………一週間見てればわかる、ねぇ。
なんなんだろうな、一体。
「ま、考えてもしゃーないわな」
とりあえず、腹減った。
なにが、とりあえずなのかはさておき、腹減ったな。
「あ~、ナポリタン食っとけば良かった」
まぁ、空腹は最高の調味料って言うしな!
夕飯は、俺の好物、ハンバーグだし!
さっさと帰りたいんだけど…………。
「ヒック………ック……ウゥ……」
さすがに泣いてる女の子は無視できないわけで。
「あ~、お嬢さん」
……お嬢さんはなかったな。
「どうしたのかな?」
ちゃんと目線を合わせて、優しく話しかける。
「…………」
泣き止んだのはいいんだけど、こっちを見たまま、動かないぞ?
「どうした?」
「お兄ちゃん、へんたい?」
…………世の中腐ってやがる。
「ママがへんたいとは話しちゃいけないって言ってたの」
もしもし、お母さん!?
「お兄ちゃんは変態じゃないから、安心してくれ」
「うん」
「そうだ、どうして泣いてたんだ?」
「ママが迷子になったの」
あぁ、なるほどな。
「よし、それじゃあ、お兄ちゃんと一緒にママを探そうか!」
「うん!…あっ!!」
ん?なんだ?
女の子の目線を辿ってみると、女性がいた。
もしかして………。
「ママ!!」
やっぱり!
「舞!」
女性の方へ走って行く女の子もとい、舞ちゃん。
うむ、早期の解決で何よりだ。
舞ちゃんがママに何やら言ってるな。
俺の事を説明してるのかな?
ママと目が合ったので会釈して、その場を去ろうとすると、俺の事を見ながらママが舞ちゃんに何か言ってる。
で、舞ちゃんがビックリして、こっちに走って来たぞ。
なんだ?お礼か?
「パパ!!」
………………………………パパってお礼の言葉だっけ?
子供の頃の夢は、小説家か天文学者。
第5話でした。