聞いちゃったら無視できないじゃないか
ヤバい、泣ける。
あ、勿論この小説じゃないですよ?
あい、第3話です。
アウェイ。
完全にアウェイ。
いや~、1時限と2時限の間に、皐月と一緒に教室に入ったんだけど……すごいね。
視線独り占め!
……全然うれしくねぇよ!
皐月は教室入ったらすぐ自分の席に座っちゃうし。
あ!前の席の女のコとなんか話してる!
チラチラこっち見てるし、多分俺のことだよな。
てか見てないで助けろや!
くそぅ、自分の席わかんないし、1人佇む俺って……。
何か腹立ってきた。
「ねぇ」
「あ!?」
「ひっ!?」
しまった!声をかけてくれた心優しいクラスメートを怯えさせてどうする!
「悪い!井上!」
「え?あの、僕井上じゃないんだけど」
違ったみたい。
「えっと、あ!僕の名前は佐渡 太一〈さど たいち〉よろしね」
ププ!マゾっぽいのにサドって……。
「ククク」
「あの、どうしたの?」
「悪い、俺の名前は塩崎圭。噂の転校生だ!」
「え!?転校生って、このクラスに!?」
「え?噂の転校生じゃないの!?」
違ったの!?
「うん……ごめんね」
ああ!?そんなに悲しそうな顔しないで!君は何も悪くないのに!
「あ、いや、まぁこれからよろしくな!マゾ!」
「うん!よろし……え?」
あれ?
テイク2
「これからよろしくな!佐渡!」
「え?あ、うん。よろしくね」
誰にでも失敗はあるさ!
「……ねぇ、さっき」
「佐渡!」
「な、なに?」
「過去の事だ。気にするな」
そう、優しく諭す。
「う、うん。わかった」
よしよし、素直って素敵!
「そだ、俺の事は圭でいいからな」
「わかった。僕も太一でいいよ」
「おう」
助かった、いつまた、さっきと同じミスをするかわからないからな。
「ところで、太一」
「なに?」
「俺の席は?」
「あ、多分あそこだと思うよ」
そう言って、太一が指したのは、窓際の1番後ろ……ではなく、教壇の前というベストポジション。
「やったぁ、うれちいなぁ」
「すごい棒読みだね」
苦笑する太一。
「おら、席に着け~」
教師が入ってきたので、太一と別れて自分の席へ着く。
その後は、転校生なのに、自己紹介も、定番の質問タイムもなく放課後になった。
おかしくね?俺、転校生だよ?
「圭!一緒に帰ろ」
「なぁ」
「なに?」
「このクラスの奴らは俺の事わかってるのかな?」
「え?……う、うん。わかってるよ。きっと」
きっとって言ったな!?
……はぁ、まぁいいや。
「帰ろうぜ」
「うん。……圭、大丈夫だよ!明日にはちゃんと説明してもらえるよ!」
……ええ子や。
まぁ、別にこのままでもいいんだけどね。
「ありがとな」
一応、礼を言っておく。
太一と下駄箱に向かってると、皐月発見。
「皐月!じゃあな!」
「!!」
逃げた!?奴はメタル系か!?
つーか………ショック!圭ちゃん、ショック!!
「圭、古賀さんと知り合いなの?」
「ショック!」
「!?」
「あ、スマン」
つい、叫んでしまった。
「あぁ、友達だよ」
「ふ~ん、古賀さんって水瀬さん以外の人と喋ってるの見たことないからちょっと意外だな」
「水瀬?」
誰だ?
「古賀さんの前の席の人だよ」
あぁ、皐月と一緒に俺をチラ見してた女のコか。
つーか……
「皐月って友達いないの?」
「僕も、そんなに話したことないからわからないけど、水瀬さん以外の人とはあんまり話してないみたい」
あ~、まさか、が的中しちゃったよ。
Airの最終回で涙腺決壊。
第3話でした。