そこに入り込む余地はない
どこに向かってるのか、全くわからない。
第10話です。
「ふ~ん」
「え?」
「は?そ、それだけ?」
それだけって言われても……。
「驚かないの……?」
「ん?そりゃ、まぁ、少しは驚くさ」
「だって、話したら皆困ってた……」
だろうね。
「この話をしたら、誰も皐月に話しかけなくなったわ」
そりゃ、ねぇ。どうやって接したらいいかわかんなくなったんじゃね?
「じゃあ、アレか?皐月は、気安く話しかけんな、ガキが!とでも思ってんのか?」
「思ってない!」
うぉ!いきなり大声出さないでよ。
「じゃあ、別にいいじゃん。今は周りも戸惑ってるだけだよ」
二歳上の同学年って、そりゃ、戸惑いもするわな。
「でも、去年も友達できなかった……」
「何もしないで、友達は出来ないだろ。それに、今年は違うだろ?葵がいる、俺もいる」
……あ~、なんか、恥ずかしいな。
「そうよ!皐月、今年は積極的にいくわよ!」
お~、頑張ってね。
「と、いうわけで、圭!」
どういうわけで?
「佐渡を紹介しなさい!」
佐渡?
「……あ、太一か」
「忘れてたでしょ」
…………。
「太一な、うん。明日にでも話してみるよ」
「………うん、わかった」
あ、そういえば。
「それはそうと、皐月と葵ってどんな関係なの?」
普通だったら、2歳上の人とは、あんまり接点なさそうだし。
それに、仲良いし。
「入院してた時に仲良くなったのよ」
「入院?」
「……私、体弱かったから」
なるほど、だから留年ね。
…………ベタ。
「ちなみに、私は盲腸よ!」
聞いてねぇよ。
「で、その時に、同じ学校って聞いて、皐月が留年してる事も、聞いたの」
「葵はすぐ退院したけど、その後も病院に来て色々話してくれたの……」
ふむ、続けたまえ。
「私が退院した後も、一緒に出かけたりしたし、学校も一緒に行ってくれた」
「同じクラスになれて嬉しかった。けど」
…………あ、コーヒーなくなっちゃった。
「………私のせいで、葵までみんなに避けられるようになった」
…………なるほど、ゆとりか。
「別に皐月のせいじゃないわよ!」
「でも、私といるから………」
「私が一緒にいたいからいるの!言わせたいヤツには言わせとけばいいのよ!」
……………帰っていい?
「……うん、ありがとう」
「よろしい、それじゃあ、そろそろ帰りましょうか!」
「うん」
「まだ、時間あるし、皐月の家行こうかなぁ」
「うん、来てくれると、お母さんも喜ぶ」
「それじゃあ、決まり!」
………………
……………
………
「なるほどね」
なんか、よくわかんないけど、なるほどね。
…………帰ろ。
「あ、すいません!」
ラブストーリーは突然に!?
「あの、お会計を……」
「…………はい」
パソコン使えない人って珍しいのかな?
まぁ、パソコンなくても困らないし、いいや!
第10話でした。