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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

タイムリミット

作者: きりは

日々死にたいはずなのに、

どこか生きたい気持ちが消えないあなたへ



これは、日本のどこかで死にながら生きている、

一人のちっぽけな人間のお話です。


少しでも笑ってくれたら嬉しいです。


それじゃあ、またあした。

生きたい人のために死にたい。


生きたいって思う人のために、死にたい私の寿命をあげたい。


私は、ぼんやり人生を諦めていた。


仕事はうまくいかなくて、期日に遅れたり、忘れたりもしょっちゅうだった。

毎日毎日怒られて、辛くてしんどかった。

すごくできる先輩や、私よりも大事な仕事を請け負う同期に大丈夫だよって言われても、余計に苦しいだけだった。


プライベートっていうプライベートもない。

友達と連絡をとるのも億劫だった。

嫌いになったとか喧嘩したとかはなかったけれど、なんとなく今の自分が恥ずかしくて、こんな自分を見せたくなくて自然と連絡先は見なくなった。


恋人らしい恋人もいたことない。

二人の間に名前がついただけのような関係の人はいたが、私に辟易しているのが見てとれて。

辛い思いをさせていることが嫌で、私から離れてしまった。

今思えば自分勝手に突き放していたんだと思う。


毎日、寝ることもなく起きることもなく。

白昼夢の中を歩いて生きていた。



ふと目が止まる。


「寿命一年」


「宣告」


「余命まであと20日」



不謹慎にも、いいなと思ってしまった。


ダメだとわかっていながら、死ぬ日がわかるっていいなだなんて考えた。


私は一体いつ死ぬのだろう。

自分で命を絶つほど勇気も出ない。

痛いのは嫌だから。


なのに、たまに考える。

自ら終わりを決められるのはいいな、最後のご飯はポテトとシェイクを食べて、ゴミはきちんと捨てておきたい。

最後に吸うタバコはコンビニで目についた適当なものにしたいけど、マッチで火をつけてみたいな。


そうして、一人路頭で夜明けと共に消えてしまいたい。



それができたらいいけれど、どうせできっこないのはわかっていた。


ああ、死ぬ日が分かればいいのに。

ああ、生きてていい日がわかれば、楽なのに。

私も余命宣告されたいな。



ーーそうだ。



せっかくなら、生きたいって思っている人に時間をあげよう。

好きなだけあげる。

お金も地位も平和もいらないから、ほかになにもいらないから、今すぐにでも余命が欲しい。


何にもない空っぽな人生だけど、私の寿命でも欲しい人はいないかな。

きっといないんだろうな。


は、と久しぶりに笑った気がした。

普通ならもう一人の自分が手を挙げるのが定石ってもんだろう。


もう、なんにも残ってないんだな。


綺麗な思い出がなくもない。

多少の未練だって残ってる。

名前も思い出せないラーメン屋に行ってみたいって思ったこともあった。

地元に戻りたい気持ちもゼロじゃなかったりする。

友達にも会いたいなんて思う時もある。普段は一人が好きなんて言いながら、人恋しくなってしまう。



一歩踏み出せば全部終わるのに、震えるしちょっと怖い。

みんなすごいなあ。

注射よりも、カッターよりも、吐き気よりも。

何よりも、この一歩が怖いじゃないか。





ねえ。


お願い神様。





どうか僕を、











殺して。




はるか昔、著者も体験しました。

不思議な夜明けの白昼夢。


頑張れなんて気軽に言えないですし、生きてたっていいことはほんの少ししかないですね。

でも、こうして会えたのも何かの縁。


何かあった時、ふと思い出したらまた会いましょう。

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