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36話 絆(2)

「枢機卿が裁かれたことにより、私たちの状況はあまりよくありません。

 教皇派が枢機卿派だった神官の左遷などをおこないはじめました。

 教皇もシャルネ様を警戒しだした節があります。

 帝都の城下街には魔瘴核を壊した功績をたたえ、エルフたちが、花嫁に金色の聖女シャルネ様ではなく白銀の聖女セシリアを選ぶのではないかという噂まで」


「……もういいわ。下がって頂戴」


 大神殿の金色の聖女の間に報告にきた神官にシャルネが告げると、神官は頭を下げ出て行った。


 エルフたちの狙いは金色の聖女の聖なる気を吸収し手に入れる事。

 エルフの王族には聖気をコピーできる能力がある。

 エルフは人間の金色の聖女と性的関係をもち金色の聖女の力を手に入れる。

 その引き換えに金色の聖女は天上で手厚く保護されエルフの皇帝の寵愛をうける。

 それ故、白銀の聖女が選ばれる事はない。本来なら。


 だがセシリアは本来の金色の聖女だ。


 聖女の儀式で手に入れた金色の聖女の力は奪いとったが、彼女自身つくりだす新たな聖気は金色の聖女の力。


 この世界では生まれもった魔力や聖気を消費していく形だがごくまれに新たに力を生み出せるものがいる。

 

 本来は生まれ持って持った以外の力は微々たるものしか作れないのだが、セシリアが規格外であることは魔瘴核を壊した事を考えると容易にわかる。

 

 もしエルフ達が金色の聖女を迎え入れる儀式でセシリアが金色の聖女の力が反応してしまったら?


 シャルネはぞっとしてもっていた手に持っていたカップを叩きつけた。


 許さない。

 皆に慕われ祀られるのは私のはずなのに。

 あの裁判以後、露骨に神官達や聖女候補生たちがシャルネを避け始めた。


 こんなはずじゃなかったのに。


(これじゃあまるでセシリアにやっていたことをやり返されているみたいじゃない!)


 悪評を広めて孤立させて虐める。

 さんざんセシリアにやってきたことを今こうしてやり返されている。


 こんな屈辱は認められない。


 裏で操り、全てを思惑通りすすめるのは私であって、セシリアではない。


(見てなさいセシリア、絶対このまま引き下がるなんてことをしないんだから!)


 シャルネは持っていた床におちていたカップを蹴りつけるのだった。


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