初めて後輩との喫茶店②
「お待たせしました〜コーヒーとカフェオレと特製ケーキでございます」
さっきと同じバイトと思われる子がお盆の上にさっき頼んだものを持って来て次々とテーブルに置いていく。あのお盆みたいなのって確かトレンチ?って言うんだっけか?そんな事をどっかで聞いたことある気がする。
まぁ、そんな話はどうでも良くて……このケーキ美味そうがすぎるんじゃないでしょうか!?今まで食べてきたチョコケーキとは違って綺麗に黒いチョコがコーティングされててスポンジもココアを使ってるのかチョコと同じ色、そしてなんか上にラズベリー的なのと小さい葉っぱ的なの、そして金粉が少々乗っている。しかもこのケーキなんか長細いんだけど、なにこれ?あの三角形チックな形じゃないんだけど
コーヒーもめちゃくちゃいい匂いだし、コンビニのコーヒーも進化してるけどやっぱこういう場所には絶対敵わないよな、こんなん絶対美味いやつじゃん……
「ささ、先輩食べてください」
「お、おう、それじゃあいただきます。……あ、写真撮っとこ」
これがあれか、やたらネットで可愛くて美味しいものを撮る女子の気持ちか……今までバカにしてきたけど謝ろう、こんなの撮らずにはいられないわ!どうせ撮るならお洒落に撮りたいしコーヒーも一緒に撮るか
いい感じにケーキとコーヒーの位置を整えてスマホのカメラ機能を使う。
「……いやいや、ケーキを撮るからピースしなくていいんだけど」
「おっと、これは失礼しました」
ケーキとコーヒーの背景に碧がピースしてるのが写っていた。……今の写真撮って焼いたら普通に学校で売れそうだな、碧の写真なんて金払ってでも欲しい男子めちゃ居るだろ、やらないけどね?でもシャッターボタン押す前でよかった〜なんか本人を目の前にして本人が写ってる写真を消すとか罪悪感半端ないからな、コーヒーがぬるくなる前に写真を撮り終えてコーヒを口に運ぶ。
「うっま、なんだこれ」
コンビニとか家で飲むのはもう物が全然違うわ、うんをほんとに同じ飲み物?味のコクとかよくわかんないけどとにかく違うことだけはわかる。
「先輩美味しそうに飲みますね〜CMとか出れるんじゃないですか?」
「そんな美味しそうに飲んでたか?でも俺より遥かに伊吹の方がCMに出れる可能性高いだろ」
「そりゃそうですね」
伊吹ならなんのCMに出ても違和感なんてなさそうだよな、でも俺的にはぜひスイーツ系のCMに出演して欲しいと思ってる。ほんとに甘い物食べてる時の伊吹は幸せそうだしそれを見て何回俺も同じものを追加注文したかわからない、昔から伊吹はずっと甘い物が好きだったし
よし、次はメイン行くか。小さいフォークでケーキの端を少しすくって食べた。
「うっま、なんだこれ」
「先輩美味しそうに食べますね〜CMとか出れるんじゃないですか?」
「……デジャブ、デジャブ」
「先輩が全く同じこと言うので狙ってるのかとおもって」
「ごめん、俺の語彙力が足りなかった」
確かにこれに関しては俺が悪かった。全く同じ味の感想を言っただけで、全く同じ会話を2回するとは思わないだろ……しかも同じテンポで、なに?もしかして俺達漫才になろうとしてた?でもほんと美味しいなこれ、スポンジに少しコーヒー入ってるみたいだな、そのおかげでコーヒーとよく合う。ここ絶対伊吹気に入るだろうな、こんな場所よく調べたな
「……それでは、これより尋問を始めます」
「は、はい……?なんか言い方悪いけどまぁいいか」
「え〜ではまず、今まで付き合ってた人いましたか?」
「1回もいた事ないぞ、ちなみに好きな女子がいるなんて話も聞いたことない」
この情報は間違いない!仮に俺に黙って付き合ってたとしても絶対に気づく自信がある。昔から伊吹嘘つくのめちゃくちゃ下手だし、そもそも彼女がいたら俺と頻繁にどっか行ったりしないだろ、告白はされても全部断ってるって言ってたし
「ちなみに先輩は彼女っていますか?」
「いないけど、なんで俺?」
「その今後私と一緒に作戦会議することがあると思うんですけど彼女さんがいると色々ややこしいと言いますか」
「確かに俺に彼女がいたら相当ややこしい事になってるな、でも作る気ないから安心して協力できるぞ!」
「……先輩、友達紹介しますよ?」
そんな憐れむような目で俺を見ないでくれ!なんか気まずそうにカフェオレが入ってるコップ触ってるし、でも碧は事情を知らないしきっと優しさで友達を紹介してくれようとしてくれるんだろう。やっぱちょっと変わってるけど優しいのには変わりないんだよな、どんだけ完璧な女子なんだ、これはますます碧の事を応援せざるを得ない!
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