Party Hard ③
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十数分後、落ち着いた室内で缶詰めのトマトスープを飲んで一息ついた少女は深々とお辞儀をして礼を言った。
「ありがとうございましたー!」
「…名前は?」
朗らかな笑顔の彼女にサングレは険しい顔で聞いた。
「はい、申し遅れました。私クトゥーグアッといいます。」
「クトゥーグ?」
「違います。クトゥーグァッです。」
「おいこら。」
ユピはそんな彼女の頬に無骨な造りのリボルバー式拳銃をすり付けてドスの効いた声で言った。
「うわべばっかりの薄ら笑いなんかでこのおれは騙せねーよ。コンピューターに何か悪いモン入れて何か悪いコトしよーとしてたんだろー?」
「Ah!ユピ、それ僕のぉ!」
ソファーでイモのように寝ていたジョンが突然飛び起き、彼女の持っていた銃をひったくった。
「アマゾンで100ドルしたんだからなコレ。」
「アマゾンで銃が買えるんですか…?100ドルで?」
少女「クトゥーグァッ」はクスクス笑った。
「それで!」
サングレはパァンと手を打った。
「コンキスタの内部設計図を盗みに来たのは分かってる。アクセス履歴が残っていたよ。誰に言われてここまで来た?」
「はい。命じたのは貴方が先日助けたバフォメット氏の会社の傘下に入っているニューアーカム・エンタープライズ社、コンキスタのシステム中枢の半永久的機関、スパークの秘密を探れと…」
「Wait!口軽すぎない!?」
妙な既視感を感じたのか、ユピは静かに首を傾げた。
「…分かった。盗みとったそのデータ、素直にこっちに返せ。突き出さないでおいてやるよ。」
サングレはガックリ首を落として言った。
「ないです。」
「What?」
「ですから、もうそのデータは本部に送ってしまってないです。」
「ジョニー!通報しろお!」
「やめてください!」
クトゥーグァッは日本から輸入した古い真っ黒な電話機を持ったセイント・ジョンに飛びついた。
「私は悪くないんです!言われた通りにしただけなんで!」
「現代っ子か!」
10才以上も年の離れた少女に密着されてパニックになりかけたジョンから、サングレは彼女を引き剥がした。




