Party Hard ①
お久しぶりです。この章はReady to die続編、舞台はこの地球上ではないどこか。時系列的には尚満代耶が中学校に2度目の訪問をした直後です。ジャスティス・ヒーロー、サングレをよろしくお願いいたしますm(。_。)m
何もなかった空間に突如姿を現したその少女は、右目の周りをコミックみたいに青黒く腫らしていた。
「ユピ!大丈夫?」
サンティアゴ・エルグレコ・ロドリゲス、通称サングレは立ち上がった。
「あれ、もう使っちまったか?」
ユピと呼ばれた少女は近くの道具箱をガサゴソやると緑の液体が入った小瓶を取り出した。
上を向いて右目に垂らすと、見るも鮮やかに腫れ上がった青アザが目に見えて引いていった。
「それ、緑の眼のモンスターになるとかじゃないよね?」
彼は恐る恐る聞いた。
「ハラへったー!!」
彼女はサングレの気遣いも問いかけも完全無視して軽そうな身体をソファーに預けた。
「残念。"マルちゃん"ならもう二人で食べちゃったよ。」
彼は地鳴りのようなイビキをかいて眠るセイント・ジョンを顎でしゃぐって言った。
「そんなもん食わねぇって。アレが食いたいンだよ。」
ユピは寝転がったまま両足をバタバタさせて言った。
「何を?」
「ソーセージマフィン。」
サングレは時計を見た。
「マックの?夜の2時だよ、売ってると思う?」
「だから買ってきて欲しいんだよ。」
「だから売ってないんだって。」
「うあああっっっ!」
ユピは銀色の頭を押さえて絶叫した。
「ガキか!」
サングレは彼女を放っておくことにし、鍋を片付けようと思った。
「作ってよ。」
背後からユピの声がした。
「ああ、牛乳と芽の出たジャガイモでできるって言うなら作ってやるよ…」
彼は焦げ付いたヌードルの破片を律儀にこそげ落としながら洗剤を手に取って言った。
「しょうがないなぁ。それにしても随分汚れちまったじゃねぇか。おれのスペシャル。」
振り返るとユピは二人きり(セイント・ジョンが寝ているので)の室内で上着を脱いで上半身黒い下着姿だった。
「Hey!Hey!」
彼女はカーキ色のゴワゴワした上着を何処かに消し去ると鉄色をしたスマートな作りのスーツを、何処からともなく取り出して着用した。
毎回思うんだがどういうトリックなんだろう?
「へへへ、やっぱり汚れそうなときはスペシャルじゃない奴着ていった方がいいってことだな。」
彼女は言った。
「て言うことはこれから汚れることをしに行くってことなの?」
彼女のその姿は国籍や肌の色に特別なこだわりを持つ一部の集団、スキンヘッドで強い酒や強い薬を嗜んでいそうな強面の方々が狂喜しそうないでたちだった。
「…ていうかその服着てウィーン辺りで敬礼ポーズやってみなよ…」
言いながら彼は心の中で呟いた。
「まぁすぐに紛争地帯に放り込もうって訳じゃねぇや。これをちぃっと解析して欲しいんだよ。」
ユピは黒い小箱をサングレに放った。落としかけながらキャッチし、留め金を外して中を確認するとサングレは言った。
「今すぐにこれ持ってボクの家から出てけこのタコ!!!」




