発覚
このジジイに関して詳しくは「10月の邪心」編読んでね!
「まったく、やつの不意を突いたところで現れようと思ったのに。」
会ったこともない見たことのない異国の老人は腰から何かキラキラ光るものを抜いてこちらに投げた。
緑色に変色した爪を俺の喉に食い込ませようとしていた細い方の男の肩に突き刺さった。三日月刀だった。正確な呼び名は知らないがRPGで暗殺者のジョブが良く使うやつだ。
男はうごめいて抜こうとしたが硬直した関節は既にその動作さえ許さなくしているようだった。
太った男の、黒い粘液に絡みつかれた靴がスポンと抜けて老人めがけて突進した。
「Igheeyahhh!」
「おっと、いかん。」
三日月刀は釣糸に引っ張られたみたいに老人の手に戻り、身を翻して太った男の首筋を刀の柄で一撃した。
巨体が倒れこんだ衝撃で、埃っぽい床がブルブル震えた。
俺は妙に感心して頷き、すがり付かれたままの細い男の顔を見た。
獲物を飲み込まんとする蛇みたいに顎が横に割れ、黒光りする瞳だけがこちらを向いていた。
「やっぱりこうだーーー!」
「ええい!」
男が白眼を剥いて伏した。
その向こうにはシャベルを持って白い息を吐く代耶の顔があった。
「どこから出したんだ…?」
俺はあちこち軋む身体をいたわりながら立ち上がった。漆黒の謎の物体と言えばいいのか、液体と言えばいいのか、真っ黒なドロドロは一塊になって小型の火山みたいな形状になっていた。
集まってみると意外なほど小さかった。
俺は老人の方に向きなおって言った。
「誰だ?あんた…」
「思い出せないかな?当然だ。」
老人は乾いた手をパンと打ち合わせた。俺は次の瞬間猛ダッシュして彼に駆け寄りその胸ぐらを掴んだ。
「ジジィイイイ!今まで何してやがった!」




