断罪
まだまだ続きますからね(--)/===卍
俺は寝間着を着た二人、マライアと住職の前で正座していた。
住職は無表情で、マライアは顔を赤らめて爪を噛んでいた。
「伊勢君、この事は誰にも言わないでくれるかな。」
彼は言った。
「…ええ、あなたが言うなら。」
俺はそう答えてマライアに向き直った。
「マライア、腹が立つことがあるのは分かるがああいうことしちゃ…」
彼女は足に巻いたベルトから何かを抜いた。
クナイだった。忍者の。
「殺すっ!」
「わあああ!」
俺が一瞬前までいた畳の上にエモノが突き刺さった。
「マリアちゃん!」
住職が取り押さえた。
「何だよキレやがって!あんなの見られたくらいで!」
俺は完全に腰が抜けて座り込んだ。
「あんなの…」
マライアはししおどしが巌を打つように涙腺を崩壊して泣き始めた。
「何なんだよ…」
俺は呆然自失とした。
「ゴメンよマリアちゃん…僕の悪趣味に付き合わせちゃって…」
住職の言葉に俺は尋常ならざるものを感じた。
「説明してもらおうか?」
「その必要はありません。」
マライアが住職の手を振りほどいて言った。
「三十路過ぎたオッサンとの変態プレー見られたらブッ殺すしかねぇだろぉぉぉ!」
「やめてぇぇぇ!」
突如マライアの背後から白い手がぬっと伸びてきて彼女の両のこめかみを押した。
彼女は膝から崩れて俺の方に倒れこんできた。
「おっと。」
予想に反してその身体は重かった。
「目覚めてもここでの記憶はねーぜ。」
水玉模様のパジャマを着たユピが夜の闇の中から現れた。
「こいつもこのオッサンの道楽に付き合わされてただけだしさぁ、確実に一線は越えてねーから多めに見てやってくンねーか?」
「いや、多めに見るも何も…」
俺は住職に向き直った。
「あんた、どういうつもりなんだよ?」
「マリアち…いやマライアは、駄目な僕を放っておけない、寺の運営とか家のこととかが出来ないほど助けてあげたくなると…次の1日を頑張る僕を励まそうとああやって…」
「お前ころっそ!」
俺の怒声にビクついて彼はひざまづいた。
「すみません!どうか皆さんには黙っていてくれないでしょうかー!」
「…分かった。」
キラキラした眼で俺を見つめるその顔に最後に言った。
「って言うと思たかこのヘタレェェェ!」
ユピは既にマライアの身体を引っ張って姿を消していた。




