衝撃
明日も投稿します。
食事はブリの照り焼きとほうれん草のおひたし、レンコンの煮物という純和風だった。ユピはブリを口に放り込んでクッチャクッチャやると例の如くに甘過ぎると不平を言った。
「黙って食べなさい。」
マライアが怖い顔で言った。
「もしかしてお前が作ったのか?」
俺はゆったりした黒い部屋着に着替えた彼女に聞いた。
「私の他に誰が?」
冷えびえした翠の眼を此方に向けて返してきた。
「ええ、いや、どうもありがとうございます…」
俺は意味不明にタジタジとなった。
おかずは味が辛めで家庭料理という感じだったがご飯がよく進むちょうどよさだった。
「私も手伝いましたよー、ほうれん草の下ごしらえとか。」
代耶は言いながらスマホを操作していた。
「食事中にすんなよ…」
ましてや招かれて初めての食卓だぞ…?
温かい食事を囲んで代耶は俺と向き合って座っていたが彼女を見て俺は何か引っ掛かるものを感じた。
何かを忘れているような気がした。
「取り敢えず明日。」
マライアが切り出した。
「本格的に準備に取りかかりますので、今日はお休みください。体調に気をつけてくださいね。」
「ああ。」
「ええ。」
俺と代耶はほぼ同時に言った。ユピは一呼吸遅れてほうれん草を口一杯に頬張りながら頷いた。
「という訳で…」
俺は正面を向き直って言った。
「代耶、お前は帰れ。」
「どうして?」
マライアが割り込んで聞いてきた。
「何って?俺達もう何人もいるし、大丈夫だろ?」
「では貴方にも帰って頂きます。ここにいる方々は私がその経験、実力、精神性を判断して来ていただいております。勝手は許しません。」
彼女はにべもなく言った。
「尚満さん、」
代耶がどこにしまっていたのか長い竿のようなものを取り出した。見たことのあるパイナップル型のゴツゴツした物体が取り付けられていた。
「これで頭を吹っ飛ばしましょうか?」
「しまえしまえ!」
ニヤニヤ笑う女性陣の視線から早く逃れたくて、
俺は飯を急いでかっ食らった。
深夜だった。
ユピは隣で目をへの字にして寝入り、大イビキをかいて俺の女性に対するイメージをぶち壊した。
彼方から声が聞こえていた。どこかで酔っぱらいが喧嘩してんな、と思ったがこの寺の周りに酒場はおろかコンビニすらないはずだがと考え直し、よく聞いてみると声の出所はすぐ近くだった。
こっそりと抜け出し、明かりの点いた一室を見つけると近づいていった。
女の声だった。首尾よく障子に人差し指の先程の穴が開いていたので覗いてみた。
マライアがあの冴えない住職の背に馬乗りになって罵声を浴びせていた。
「オメーメシ食わねーなら食わねーってハッキリ言えやー!二人分アタシが食うハメになっただろーっ!ただでさえ外出る暇ねーからダイエットしてんのにその辺悟れーっカス!客の出迎えだって全部アタシにやらせやがって人見知りだって言ってんだろーっ!生きてる価値なし死ぬ価値もなし野郎ーっ!」
「怖っっっっっっ!」
不意にマライアが視界から消え、障子が開けられた。




