七変化
毎回タイトルでネタバレしている件。
長い廊下を渡り、通された先は意外なことに洋室だった。
いつから用意してあったのか、そこの長いテーブルの上にはきっちり俺達の人数分コーヒーが湯気をたてて並べられていた。
「先程は失礼しました。」
シスター姿の少女は俺達をそれぞれの椅子へ招き寄せながら言った。
「見苦しい所をお見せした上に自己紹介がまだでしたね。すみません、私人見知りなもので。」
もので、の所でバッチリ俺と視線を合わせて言った。
「…そうは見えないけどな…」
俺は口の中で呟いた。
「…は?」
少女が小声で言ったような気がしたのでちょっとたじろいだ…。
「……初めまして。私マライア・オーセクリスといいます。ただいま住職の方は留守にしております。」
「本題は?その住職が戻るまで待てって言うのか?」
俺は単刀直入に聞いた。
「いえ、それほどお待たせはしません。しばし準備を致しますのでくつろぎつつお待ち下さい。」
と、スルスルと奥の方に入っていった。
「今晩はここに泊まれって言うんじゃないだろうな…」
俺は嫌な予感がした。
明らかに清川さんは俺達を案内し状況を説明するために来ただけ、その用を足し次第帰ってしまいそうだしそうなると男衆は俺だけ、女衆は合計3人(マライアなんとかさんを除く)、住職が帰ってくるということだったがまたユピと抱き合わせにされるのは気が乗らなかった。
微妙に気配を察知したのか、隣に座った代耶がちょっと椅子をずらした…。
コーヒーを一口飲んだ。既に砂糖が入っていた。
…というかそれほど味にうるさいわけではないが、これは明らかにブレンディ微糖を単に温めたものだと分かった。
「甘んまあっ」
ユピは両目を大きな×印にして言った。
代耶は無表情のまま、アナトリアは静かに脚を組んで飲み続けた。
「お茶はないかな、お茶は…」
清川さんは電子レンジの横にあるバケットをガサガサと物色していた。おい。
「お待たせしました。」
マライアが戻ってきた。その格好はブロンズ色の髪をひっつめにし、白い和装に朱色の袴、どこからどう見ても完璧なる巫女さんだった。




