雪国に泊まろう!
この時期のこの地方のホテルの空き具合ってどうなんだろう…?あんまり考えてないです
「何で!俺がこいつと一緒なんだよ!」
ホテルのツインルームに二人して入っていこうとする代耶とアナトリアに俺は叫んだ。
「だってまだ未成年を一人にしておくわけには…」とアナトリア。
「こいつだって未成年だろぉ!」
俺は代耶の方に這い寄っていった。
「なぁ代耶、俺達仲良いよなぁ…兄妹みたいなもんだし問題ないよなぁ…」
代耶はさっと顔色を変えるとアナトリアに何か耳打ちした。
彼女は変質者から娘を庇う母親のように代耶の肩を掴むとそそくさと部屋の中へ入っていった。
「まだ疑われてた!」
「そういう問題じゃないと思うぜ。たぶん。」
もうひとつの部屋の中から声がした。
ユピが既に荷物を置いて、ベッドの上で膝立ちで弾んでいた。
「作戦会議しようじゃねぇかぁ。どうせあの女からはほとんど何も聞いてねぇんだろぉ?」
彼女は言った。
「…ああ、あいつ秘密主義者だな。」
「まぁ具体的には明日行った先で説明するっつってたけどどうなんだか。」
「お前もただメール来ただけなのか?明日A県行くから支度しろって。」
「いつもの事だから慣れてるけどなぁ。あいつ人のことをただの駒だとしか考えてない節があるから気を付けろよ。何か気になることがあったら遠慮なく言ってくれ。」
ユピは小さな白い手を差し出した。何だか拍子抜けしたような気がして、俺は素直にその手を掴んだ。不思議な儀式めいた握手が終わるとゴワゴワしたカーキ色の上着を脱ぎ始めた。
「おいおい、」何やってるんだと俺は言った。
「風呂。」ユピは答えた。
「温泉行かないのかよ!?」
街中にも関わらず天然温泉を売りにするホテルなのに、彼女は部屋付きの小さなユニットバスで済ますと言って聞かなかった。というか目の前で着替えるな。
「知らない奴等と入る風呂なんてイヤに決まってるだろ!」
ガキみたいなことを言うユピに(実際ガキだが)とりあえず親しき仲にも礼儀をわきまえろと言い、風呂桶を持ってダブルベッドの部屋から退散した。




