レベルⅡ
酒飲みながら所さんのそこんトコロ見ながら書いた文章なので、多少の誤字脱字は勘弁下さいm(._.)m
12月も下旬となり、窓の外は軽い吹雪で白くなっていた。シュンヤは追い詰められていた。
先月始めたばかりのコンビニでのバイト生活が早くも行き詰まっていたからだ。
乏しい機転とコミュニケーションに置いては引っ込み思案な割に、やる気だけが先行する性格の彼は基本どこに行っても煙たがられるタイプだった。
ほぼ毎回のように商品の発注をミスり、未だに一人では接客を任せられず何歳も年下の女子高生アルバイトに説教されるのが日課だった。
とは言え今日は怒鳴られることはなかった。
菓子の棚で妙な動きを見せていたババアを万引きと間違えて取り押さえ、怪我をさせた彼に何か言う先輩は皆無だった。
スマホが鳴った。
「…もしもし。」
「あ、シュンヤ君、ええとちょっとね、あのお婆ちゃん亡くなった。」
「えっ?」
そう言うなり通話は切れた。
あの頭頂部のハゲかけた中年の店長は、これ以上関わるのを避けたいようだった。
テメェの為にやったんだろ、シュンヤの胸の内は燃え盛る炎だった。警察なり何なりやって来る前に、何か言い訳を考えておかなくてはならない彼だった。
今月に入って一人少なくなってしまった我が家は暗くて静かだった。
「今度結婚するんだ。」
やたらと行動力とコミュニケーション力に優れた彼の姉ヤスホはある日、風呂上がりに輪ゴムで髪の毛をパイナップルみたいに上で留め、シャコシャコ歯磨きしながら言ったのだった。
相手はIT社長で今バリ島だかに住んでいるらしい。
アネゴは「勝利者」になったんだ。彼は焦っていた。このまま自分も「力」を手にしない限り、この家に閉じ込められたまま年老いた父と母の世話をしなければならなくなるのは自分に違いなかったからだ。
部屋の中を見渡すとありとあらゆるビジネス書、自己啓発本が山と積まれていた。だがその類いの本をいくら読もうが、大学を中退したあとニートと化しパソコンも持てない身分の彼に出来ることは0である他はなかったのだった。
12月,1月ともなれば雪に閉ざされ、車がなければバイトすらロクに見つからないこの地方都市に生まれた自分の運命を呪うしかなかった。
ドアチャイムが鳴った。
両親は既に深く寝静まっていた。ドア越しに覗くと制服を着た二人組の男が無表情で立っていた。
玄関の横には大きな姿見があった。何か自分の背後に黒い影が見えたような気がして振り返った。
床にスパナが落ちている。何かの液体でその先は赤く染まっていた。それを持つと確かに何かの「力」を自分は手にした気がした。
ドアチャイムが何の遠慮もなくもう一度鳴った。
鍵を開け、勢いよくドアを開け放った。