乱戦
みんな大好き「ショゴス」が帰って来たよ!
テケリ・リ!!
既に何らかの異変を察知していたのか「深海のもの」達が校舎に入って来ていた。軽く衝撃を受けた。皆昼間に聞き込みに回ったときに会っていた。顔はかなり変態していたが印象で分かった。
そう言えば真冬でもないのにマフラーや手袋を着込んでいる者ばかりだった。
暗闇の中もう代耶と二人で離れないようにしているしか出来なかったが彼らはクロの敵ではなかった。絶食させられていたのか本調子ではなかったが、だからこそと言えばいいのか半魚人達を貪欲に片端から飲み込み同化していった。
「尚満さん、今物凄く調子乗ってるから逆に注意してください。」
代耶が冷静に言った。
「変なフラグ立てなくて良いよ!」
俺は言った。
クロはあまたの「深海のもの」達を吸収して軽トラックくらいまで増長していた。
正面にはもうデカでかと「校長先生のおへや」とラメ付きで表示してあるドアがあった。
こうまで順調に進行出来たのはまるでお菓子を隠した子供がその辺りでウロウロするように丁寧に「彼ら」が配置されていたからだった。
黒い波がドアを押し流した。蝶番が音をたてて破裂すると同時に糸やパチンコ玉が、忍者屋敷ばりのピタゴラ的装置トラップの数々が一斉に作動、四方八方に撒き散らした。
奥の方を照らすと、明らかに狼狽した様子のユピの顔が見えた。
「ユピィィィェェェ!お前よく見ると可愛いなぁぁぁ!」俺は叫んだ。
「やっぱり変態だーーー!」
訳の分からないことをわめく代耶を尻目にユピに近づいて飛びかかった。
暗闇の中、肩を引っ掴んで後ろの壁に叩きつけるとあっさりと反応がなくなった。
ギョッとして様子を見るとさっと手を伸ばして触ってきた。俺の両目を。
「怖っいんだよー!」
恐らくは十代前半と思われる少女を、二十歳一つ手前の男が全力で押さえつけた。
彼女は間を縫って懐中から何かを取り出した。すかさずその手を掴んで捻り上げた。
「うあああっ!」かなり大きな悲鳴を上げた。
ちょっと力を緩めた隙に再びそれを探る彼女。
「うがぁぁぁ!」俺は全力で叩き落とした。
「ううっ…」背後で声がした。
「代耶?」振り返り、闇に問いかけても反応はなかった。