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ブラックアウト
まだ続きます。二人を応援してください。
「尚満さん!」
画面の明かりに顔を照らされた代耶が叫んだ。
「落ち着け代…」
その先が言えなかった。事切れる断末魔を一気に束ねたような大絶叫が聞こえてきたからだ。
店内は騒然としていた。二人で手を繋いで外へ出た。青白い炎がそこかしこに点在して冷たい光を放っていた。
屋根やアーケードが破損していることから出所は上空と見えた。あおりを喰らったらしい人々の動揺と苦悶の声が聞かれた。
再びあのつんざき声。代耶と二人で耳を覆った。
「上です!」彼女が叫んだ。
俺達の上を通り過ぎていったそれは巨大な脳味噌に見えた。飛んでいった空の先には火の塊があった。
二人で手を繋いだまま、中学校への道のりを歩いた。人間とは自分の理解している範囲外からの刺激にはとことん弱いらしく、冷静さを失った群衆で道路は溢れかえり自動車が道を塞いでいた。
手を離すと二度と会えなくなる気がした。
こいつと出会った時のように中学校を覆う暗闇はどんよりと渦巻いていた。