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新たな街に行きました。(2)

俺たち5人は、今馬車で魔物が出たという街へ移動している。

多分そろそろ着く頃……


「あれは!!」


ノールドが声を上げる。


「どうした」


俺は馬車の後ろの席から前を覗き見る。


すると、遠くにある、街と思われる場所から黒煙が上がっていた。


「あそこみたいね」


ユティナ姫が言う。


まあまあ大きめな街のようだが、上がっている煙の量からしておそらくかなりまずい状態だろう。


「馬車をもっと早くしてくれ」


「はっ!!」


馬車の運転手にノールドが言うと、馬車が加速した。




それから数分後。


俺たちは街の前まで来た。


「これはひどいね……」


「ぼろぼろだねー……」


街の門は破壊され、壊れた門の内側には燃える家や倒れた兵士など、悲惨な状態が広がっていた。

壁が破壊される音や人々の叫び声は今でも聞こえ続けている。


「行きましょう!!」


ノールドについて俺たちは小走りで城門の内側に入る。


すると、すぐに5本の分かれ道に着いた。


「どうする?」


俺は四人に聞く。


「手分けした方がいいんじゃない?」


エッシェルが提案する。


「確かにそうだな。街も小さくないし、手分けした方が良さそうだ」


「ですがそれだと各々の安全が損なわれてしまうのでは」


ノールドが言う。


「もし魔人に会ったらすぐに誰かと合流すればいいだろ」


「ですが……」


ノールドがユティナ姫を見る。


「貴方に守られるほど私は弱くないわよ?」


ユティナ姫が返す。


「……分かりました。手分けでいいでしょう」


「じゃあ俺はこっち行くな」


俺が適当な道を指す。


「じゃあ私はこっち!!」


「ボクはこっちで」


「私はこっちね」


「では私はこちらで」


5人がそれぞれの道をすぐに決める。


「じゃ、行くぞ!!」


俺は自分の前にある道に走り出した。




左右の家は燃えていて、所々に魔物が居る。


鳥の形をした魔物、骨だけの人体のような魔物、蛇のような形をした魔物など、いろいろな種類の魔物が街を襲っている。


「耐えろ!もう俺たちしかこの街は守れないんだ!!」


奥に見える広場のような場所から兵士の声が聞こえる。


かなりまずいみたいだし、とりあえずそこに行くか。


ー時空戦士・時間圧縮ー


100秒間速度が5倍。


ー神殺し・防神の精神ー


2分間防御力が7倍。


ー神殺し・破神の精神ー


2分間攻撃力が7倍。


バランスよくバフをかけておこう。

一気にかけすぎるとクールダウンのせいで不測の事態に対処できないからな。


タタタタタタタッ!!!


俺はすぐに声がする場所に駆けつけた。


すると、そこには大きめな屋台に隠れている何人かの住民と、それを囲って魔物から守る数人の兵士が居た。

どの兵士も魔物と戦っていて、それぞれがかなりピンチな状況になっている。


「おらあっ!!」


すぐに一番近くの兵士に張り付いていた蛇の魔物を吹っ飛ばす。

素手で。


「はあああっ!!!」


連続で魔物をぶん殴って吹っ飛ばす。

かなり雑な戦い方に見えるかもしれないが、わざわざ剣を抜くよりも早く攻撃を与えられるから素手で戦っているんだ。


1秒もかからずに、全部の魔物を無事に倒せた。


「あ、貴方は……」


「ああ、俺はタケルだ。王都からこの街にいる魔物と戦いに来たんだ」


「いえ、それより今何を……」


「ん?普通に殴った」


「殴っ!?」


兵士が横に倒れている無残な姿になった魔物を見て言う。


「じゃあな」


俺はすぐに次の魔物を倒しに行った。


ドパァン!!


ボカァン!!


バァァァン!!


俺は難なく魔物達を倒していく。


うーむ、やけに手応えがないな。

確かに速度攻撃防御全部にバフはかかっているが、それを抜いたとしても手応えがなさすぎる。

あの時大量発生していた虎の魔物よりも少ないくらいだ。

まるで赤子の手をひねる、いやパンくずをひねるようなものだ。


俺は1秒に数体のペースで魔物を駆逐していった。



次はこっちの曲がり角を曲がるか。


ある時、俺が曲がり角を曲がると。


「「あ」」


魔人と目が合った。


「ヒューマン!?!?」


魔人が一瞬で飛び退く。


「暗弾!!」


直後、魔法を放ってくる。


ー黄金剣士・自動反撃ー


「暗黒弾」


魔法をギリギリで避けたかと思うと、口が勝手に動いて反撃する。


ズゥゥゥゥン、という重い音を出しながら高速で巨大な黒い球が魔人に直撃する。


「グアアアァァァァァッッ!!!」


まさか自動反撃で魔法まで返せたとはな。


「クッ……」


魔人が俺の方を見る。


すると、俺の上に先ほどのと同じ黒い球が6つ浮いていた。


「!?!?!?」


魔人が目を見開く。


「ば、化け物!!!!!!」


魔人が超速で逃げた。


「いや化け物はどっちだよ……」


俺は追おうかと思ったが、まずは住民を襲う魔物を倒すのが先だ。

魔人を倒したところで魔物が消えるわけじゃないだろうからな。


俺はすぐに魔物狩りに戻った。

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