夜の街に出かけました。(2)
「ん?なんだこれ」
ちょうど俺がぶつかったギルド本部の壁のちょうど横に紙が貼られている。
『こっちに行け』
という文字があり、その下に路地裏の方向を指す矢印がある。
いや人が集まるギルド本部の壁にこんなことして間違えて行っちゃう人がいたらどうすんだよ。
てか俺が本部の中に入ったら気づかなかったじゃねえか。
とりあえず俺は紙に書かれている矢印の方向に歩く。
細い道を歩いていると、街の通りから差し込む光がだんだん薄くなっていき、暗くなっていく。
そしてちょうど突き当たり、分かれ道に着くと。
『次はこっち』
という紙が貼られていた。
……なんか面白い誘導だな。
俺はその紙に従うとまた分かれ道で紙があり、その紙に従うとまた紙があった。
それを数回繰り返すと、幅が広いのにも関わらず、全く人気のない道に出た。
どの家もボロボロで明かりは一つもなく、その道を照らすのは月明かりだけだった。
「次の紙は……」
俺は次の紙を探すが見当たらない。
「ん?どこだ?」
そう俺が探していると。
コツ、コツ、コツ。
足音が聞こえて来た。
「誰だ!?」
俺はすぐにそちらを振り向く。
そこには黒が基調になった服を着ている、銀髪の少女が一人いた。
うーん、流石にあれが俺にこの手紙を渡した奴ではないよな……
そう考えながら少女を眺めていると、少女がこちらに向けて歩き始めた。
近付いてきてるな。
だが手に武器のようなものはない。
腰に剣があるわけでもないし、短剣を隠せるような服でもない。
うーん、心配だし念のため防御アップのスキルでも使っておくか。
ー黄金剣士・黄金の鎧ー
2分間防御力が3倍。
ー極致の武闘家・強固化ー
3分間防御力が4倍。
ー歴戦の斧使い・防御強化ー
2分間防御力が4倍。
ー神殺し・防神の精神ー
2分間防御力が7倍。
ー勇者・光防御ー
3分間防御力が5倍。
まあこれくらいでいいか。
コツ、コツ、コツ。
少女が約2メートルの距離まで近づいてくる。
そしてその距離はだんだん小さくなる。
その数秒後。
少女が俺の目の前に立ち、見上げてくる。
「…………」
少女が何も言わずに俺を見てくる。
「急に何ーー」
俺が口を開いた瞬間。
バッ!!!!
少女が凄まじい速度で飛び退いた
「…………」
少女が険しい顔をして見てくる。
その直後。
少女が消えた。
!?!?
突然少女が消えて驚き、周囲を見る。
すると、少女は真後ろに立っていた。
「……!!」
俺と目が合うと、少女が何故か驚いている。
今の流れだと驚くのは俺の方なんだが。
「なんで……?」
少女が口を開く。
なんでとは何だ……?
「なあ、お前が俺をここに呼び出したのか?」
「……そう」
あ、マジか。
「それでどんな用なんだ?」
「……死んでもらう」
物騒すぎだろ!?!?!?
「何でだよ!?」
「……死んでもらわないといけないから」
少女がそう言うと、少女の頭上に角が現れた。
「魔族!?」
「……そう」
「お前もヒューマンを滅ぼそうとしてるのか」
「……?」
「?」
「別に私は滅ぼそうとはしてない」
「魔族によって違うのか?」
「そんなこと言うの、ゼノアくらい……」
ゼノア?そういう魔族がいるのか?
「とにかく、死んでもらう」
少女が突然目の前に現れる。
「…………」
しかし、何も起こらない。
そしてその数秒後、少女が元の場所に戻る。
一体何がしたいんだ……?
すると、少女が少し離れた場所から手をこちらにかざす。
そして、口を小さく開く。
魔法か!?
「…………」
「…………」
しかし何も起きない。
「…………」
「…………?」
沈黙の時間が続く。
「どうした?」
「……死んでもらう……から……」
少女が消えたかと思うと、数秒後に元の場所に現れた。
……しかし、やはり何も起きない。
「…………」
「????」
死んでもらうと言っているのにも関わらず、意味不明な動きをする少女に、俺は戸惑う。
「…………」
バッ!!!!!
少女が突然走り去った。
「…………」
「…………」
「……一体何だったんだ……」
その頃少女は。
タッタッタッタッタッ!!!!
全力で人気のない道を走る。
「なんで!?なんで私の攻撃が全く通じないの!?!?」
そう、少女は攻撃していたのだ。
それも人間の目には映らないほど素早く、そして強力な攻撃を。
しかし攻撃を当てているはずなのに何も起きなかったのだ。
圧倒的な防御力によって。
「全部私の思い通りになるのに!!」
もちろん少女にとってこんなことは初めてだった。
ダンッッ!!
暗闇で人にぶつかる。
「ああん?」
ぶつかった相手はかなり攻撃的な印象の男だった。
「貴さmーー」
「どいて!!!」
ズシャァァァッ!!!!
一瞬で男の首が飛ぶ。
タッタッタッタッ
少女が再び走り出す。
「どうして……!!」
ダンッッッ!!!
今度は先ほどより一回り、いや二周り大きい男と打つかる。
「てめーー」
「邪魔!!」
ズシャァァァッ!!!!
男の首が飛ぶ。
タッタッタッタッ
少女が走り出す。
ダンッッッッ!!!!
今度は廃墟となった家にぶつかる。
「もう!!!」
ドガァァァァン!!!
家が一瞬で吹き飛ぶ。
「あんなの絶対許さないからっ!!」
吹き飛んだ家の跡にある、紫色の空間の穴のようなものに少女が飛び込む。
そしてその数秒後、その穴は消えた。




