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シャワーを浴びに行きました。(2)

シャワーが二台だけの部屋なのにもかかわらず、かなり広めな部屋が広がっている。

そしてその中にいる、美しい赤い長髪の、体に石鹸を塗っている少女と目が合う。


!?!?!?!?!?!?!?


俺が想定していた状況より斜め上、いや垂直上方向の現実が突如俺の目の前に広がる。


まずは一旦状況を整理しよう。

俺はシャワーを浴びるため、教えられた通りの場所まで行き、周りを見渡した結果ここにたどり着いた。

確かにここは思ってた場所より少し離れた場所だが、ここ以外にシャワー室らしきものは見当たらなかった。

ということは俺は場所を間違えていないのか?だとしたら何故ここにユティナ姫がいる……?

俺はついさっきの記憶を探る。

部屋を出て右の突き当たりらへん、そして5階に目的地が存在する。

俺は3階の部屋から右に出て、突き当たりの階段を2階登った。

3+2=5、そして右に出た突き当たり。

これらの情報に間違いがあるはずが……

待てよ、どうして俺は自分の部屋が3階だと分かったんだ?

…………


ー多分3階くらいじゃないか?ー


先ほどの記憶が蘇る。

多分(・・)三階くらい……

全然信憑性ねえじゃねえか!!!!俺が言ったことだし!!

俺たちの部屋は3階じゃなかったというのか!?!?!?


そういえばこの階の廊下の先に見覚えのある豪華な扉があった。

恐らくこの階はユティナ姫が住んでいる階だ。

ということは俺はユティナ姫が使っているシャワー室に入ってしまっーー


「さっきから何見てんのよ!!!!!」


スバァァァァァン!!!!!!!


音速に近い速度で突然投げられた固形石鹸が俺の顔面に直撃し、砕け散る。


「痛ってえ!」


「痛ってえじゃないわよ!!なんで貴方がここにいるのよ!!!」


「いや!!その間違えて入っちゃいまして……」


「間違えた!?!?どうやったらそんな間違いができるのよ!!」


「いや、自分がいる階が分からなくて……」


「あなたたちの窓中庭側なんだから窓から外見て見えた向かい側の建物の窓の数を同じ高さまで数えたらわかるでしょ!!」


「確かに……」


よく考えればそうだな。何故あのとき俺はそうしなかっtーー


「だからこっち見んじゃないわよ!!!!」


再び固形石鹸が音速近くで飛んでくる。


「うぉぁっ!!!」


スバァァァァァン!!!!!!!


自動反撃が発動したのか、無意識のうちに素早い足さばきで体を動かして避けようとしたのだが、足が滑って顔面に直撃する。


「痛え!!」


いくら防御力が高いとはいえ流石に衝撃波を纏うような固形石鹸が顔に直撃したら痛い。


俺はバランスを崩した状態で固形石鹸が顔に当たった衝撃でさらに足を滑らせる。


「うぉっと!!」


なんとか左足を後ろについて蹴り、重心を前に戻す。


そして左足を元の場所に……


戻したのだが、石鹸の破片を踏んでしまった。


「うぉぁっ!!」



ズカァァァァン!!!!!



俺は盛大に転んだ。


「痛……くない……?」


恐らく俺の防御力のおかげでダメージがなかったのだろう。

それにしても防御力ってすごいな。転んだ時も柔らかいクッションに包まれたような……


あれ。防御力にそんな効果は……


俺はゆっくり顔を上げる。


十数センチの距離にユティナ姫の顔がある。

下には柔らかい感触。


あれ、これってーー


「うぎゃああああああああああっ!!!!!!!!」


バシィィィィィィィィン!!!!!


突然視界が歪む。


死角から音速の数倍の速度の、本気のビンタが飛んできたのだ。


どうやら綺麗な角度でビンタが決まったようで、視界がだんだん暗くなる。


「うっ……」


かなりの防御力を誇る俺でさえも、流石に急所に入った超音速のビンタには耐えられなかったようだ。









……真っ暗な世界。

その中に俺は浮いている。


何か暖かい感触が背中から伝わってくる。


これは一体なんだろう。


「……さ……て………」


なんだ?


「………な…い………」


無い?一体何が無いんだ?


「………が……かった…ら……」


……ん?


視界がぼんやりする。


赤に白……


いや違う、ユティナ姫だ。


そうだ!!シャワー室を間違えてユティナ姫のシャワー室に入ってしまったんだ!!


「お願い……目を覚まして……」


目をぎゅっと瞑りながら何かを言っている。

まだ耳がよく聞こえないが。


「えっと、おはよう」


「え」


「…………」


目があったまま固まる。


「……どうした?」


「…………」


ユティナ姫は固まったまま動かない。


とりあえず右を見てみる。


視界の右側に床、左側に天井。


左をみてみる。


視界の左側に床、右側に天井。


後頭部から伝わる暖かい感触から察するに、俺は恐らく今膝枕をされている。


…………何故!?!?


「……あの……」


「…………」


ユティナ姫は口をぽかんと開いたまま固まっている。


「あのー」


「なんで生きてるの!?!?」


「え!?!?いきなり酷くね!?!?」


予想外の発言に俺は起き上がり、反論する。


「いや!!流石に私の本気の攻撃があんなに綺麗に直撃したらだれでも即死よ!?!?」


「そんな攻撃だったのかよ!?!?」


「もう!余計な心配かけさせられたわ!!」


「心配って、そんなに気絶してたのか?」


「ええ」


「どれくらいだ?」


「……1分……」


「そんな長くねえじゃねえか!!」

「ま、まあでも勝手に入った俺が悪いからな。その、今すぐ出て行くから許してくれ」


俺はスッと立ち上がり、扉に手を伸ばそうとした直後。


俺の手が後ろに引かれる。


「ん?」


俺の右手を見てみると、ユティナ姫が俺の手を掴んでいた。


「そんなのずるいわよ!!」


「!?」


「私の裸を見たんだからせめて背中くらい流しなさいよ!!!」


「!?!?」


急に何を言っていらっしゃるのだろうか。


「ほら、早くしなさい……」


新しい固形石鹸を渡される。


てか固形石鹸何個あんだよ。


というかなんだよこの状況は!?!?


俺が音速超えのビンタで気絶したところ、いや、音速で固形石鹸を投げられたところ、いやそもそもシャワー室を間違えたところからだいぶおかしいが流石にこの状況は理解しかねるぞ!?


「流さないと許さないから」


ユティナ姫が言う。


この上なく意味が分からないが言う通りにしないと殺されかねないから仕方ない。

言うことを聞いておこう。


俺は石鹸を泡だて、ユティナ姫の背中に触る。


「あっ……」


「変な声出すんじゃねえ!!」


「仕方ないじゃない、私こういうの初めてなんだから……」


「変な言い方するな!!」


俺はこの意味のわからない状況に耐えながら背中を洗う。


「……これでいいか?」


ある程度洗ったしもういいだろう。


「ダメ」


「何故!?」


「その、前がまだ……」


「前だと!?!?」


「ええ……」


「そんなんダメに決まってるだろ!?俺男だぞ!!」


「でも!」


突然ユティナ姫が振り返る。


「ちょっ!!」


俺の体重を少しだけ手で支えていたため、ユティナ姫が振り返ったことによりバランスを崩す。


そして俺の滑った足が少し前に粉々にされた固形石鹸を踏み、さらに滑る。


「うぉっ!?」


「きゃっ!」


ドサッ。


俺はユティナ姫を押し倒してしまった。



その直後。



ガラガラガラッ!!!


突然勢いよく扉が開けられる。


「やっと着いたー!!」


「場所分かりにくかったね!」





すごく見覚えのある紫色の髪の少女と、金髪の少女と目が合った。

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