遊び道具を作りました。(3)
「これでよし」
俺はカードを分け、二人の手札を伏せたまま渡す。
「俺のカードは……」
なるほど。
割と悪く無い手札だ。
8とジョーカーが無いのは痛いが、まあいい。
そう俺が手札を見ていると。
「ねえ、シエラ、これってたしかキングだよね?」
「そうだね!私も持ってる!」
「ほんと?クイーンは?」
「1枚だけあるよー」
なんと二人がお互いの手札を見せあいながら話していた。
「手札見せちゃダメだろ!?!?!?」
「えー?どうして?」
「そりゃ勝負なんだから……」
「遊びじゃなかったの?」
「えっと、いや、そういうルールがあるんだ」
「そっかー」
びっくりした。
そういえばこの二人はカードゲームすら知らないんだった。
「じゃあ私からね!!8!!」
エッシェルが開幕から8を出す。
何故そうしたし。
「…………」
エッシェルが黙り込む。
「エッシェルの番だぞ?」
「え!?!?」
そういえば8を使ったらもう一回出せるって言ってなかったな。
「私の負けじゃん!!」
「いや何故!?」
「場がないからカード出せないもん!」
「…………?」
一体この方は何を言っていらっしゃるのだろうか。
「だって8出したら場がなくなるんでしょ?」
「…………」
こいつ場ごと消しやがったああああああああああああああああ!!!!!
「いやな?確かに場を無くせるって言った俺が悪かったけどな?場に出されたカードを消してもう一回出せるって効果だからな?」
「そうなの!?じゃあ今のなし!!」
エッシェルが勢い良く出したカードを戻す。
「ま、まあいい」
「3!!」
これでやっと大富豪が始められる。
「5!」
シエラがカードを出す。
うわスキップか。
「5が出たってことは私だね!!」
「ああ」
「8!!!」
勢い良く5の上に8を出す。
「ふう……」
エッシェルが息を少し吐いて目を瞑る。
「闇の炎よ……」
エッシェルが突然カードに手をかざし、詠唱を始める。
それと同時に、エッシェルの手から魔法陣が出た。
「何やってんだ!?!?」
「え、カードを消すってさっき言ったよね?」
「お前わざとやってるだろ!?!?カードを場から取り除いてそこらへんに置いておくんだよ!」
「え!!そうだったの!?てっきり魔法で消すのかと思ってた!!」
普通そんな間違いしないだろ!?!?
「えーっと、じゃあ次は6!」
エッシェルがカードを出す。
「えっと、7!」
シエラが7を出す。
「7か。じゃあ俺に何かカードを1枚送ってくれ」
「ボクがタケルに!?」
「あ、ああ」
何故そんなに驚いているんだ。
「どうして!?」
「いや、7の効果がそういう効果だからだよ」
「そ、そっか、そうだったね」
シエラが手札からカードを1枚とる。
「そ、その、もし良かったらこれ、受け取ってくれないかな……?」
何故か頰を少し赤くしながら俺にカードを渡してくる。
大富豪ってそういうゲームじゃねえから!!!
シエラからカードを受け取る。
もしかして送るっていう意味が、一番強いカードをあげるとかと勘違いしてたのか?
だったらこのカードは……
ゆっくりカードをめくる。
ダイヤの4。
ゴミカードじゃねえか!!!!!
「えっと次は……」
6の次が7だから、次は8か。
うん、持ってないな。
「俺8ないからパスで」
「…………」
「………?」
エッシェルとシエラが不思議な顔で眺めてくる。
「どうした?パスだぞ」
「ぱす……?」
「なにそれ」
あ、知らないんだった。
「えっとな、出せるカードがなかったら次の人に順番を譲れるんだ」
「そうなんだ!!」
そういえば二人とも基礎知識すら皆無なんだったな。
「じゃあ私の番だね!!8!!!」
ペシンと、勢い良く7の上に出す。
何故エッシェルは8だけそんな勢い良く出すんだ。
「1!!」
続けて1のカードを出す。
「2!」
シエラが上から出す。
「パスだ」
「私もパス!!おそろいだね!!」
なぜかニコッと笑いかけてくる。
可愛いけど意味わかんねえな。
「二人ともパスってことはまたボクの番だね。今度は場のカードをなくして好きなのを出せるの?」
「そうだ」
「えっと、たしか同じカードがあったらいっぺんにだしていいんだっけ?」
「そうだな」
「じゃあ3を3枚で」
おお、3枚持ってたのか。
「パスだ」
「じゃあ私は7を3枚!!」
エッシェルも3枚のカードがあったのか。
「7を3枚出したら3枚送れるんだよね!!」
「そうだ」
「うーん」
エッシェルがゆっくり手札から3枚カードを抜く。
「その、これ、受け取ってくれる……?」
何故か俺に3枚カードを差し出してくる。
「…………え?」
「その、受け取ってくれる……?」
「俺がか?」
「……うん……」
何でちょっと恥ずかしそうなんだよ。
「何だよそのノリは。てか渡すの俺じゃねえよ」
「え!?!?受け取ってくれないの……?」
「いやそもそも順番がーー」
「シエラのカードは受け取ってたのに……」
「いやそういうことじゃーー」
「私じゃだめなの?」
「もういいよ!!受け取るから!!!」
「やったー!!」
何故か俺が受け取ることになってしまった。
「ボクの番だね!!えっと、じゃあ9を3枚!!」
シエラまだ3枚の持ってたのかよ……
「順番が3回変わるから、次はエッシェルだね!」
「うーん……」
エッシェルがじっくり手札を見て悩んでいる。
3枚揃ってるカードがないのか?それとも4枚揃ってるやつがあったりするのか?
少しすると、エッシェルがカードを1枚勢い良く手札から抜き、出す。
「ジョーカー!!!」
!?!?
「ふっふーん!!これで場のカードがなくなって私の番だよ!!」
!?!?!?!?!?
「何故そうなった!?!?」
「え?だってジョーカーって最強のカードなんでしょ?」
あっ、大富豪でのジョーカーの効果説明してなかった……
「そっか!!そのカードがあったんだったー!!」
どうやらシエラはこの理不尽な事実を受け入れてるようだ。
「あれ?万能カードってことはそれ使ったらもう勝てちゃうんじゃない?」
シエラが言う。
まさにその通りだ。
万能カードとして使ったら当然そうなってしまう。
これでジョーカーの使い方が間違ってることに気づいてくれるんzyーー
「じゃあ2つ目のジョーカー!!!これで私の勝ちだね!!!」
!?!?!?!?!?
「うわー、負けちゃった!」
何故受け入れられる!?!?!?!?
「楽しかった!!大富豪っていいね!!」
「ボクも!!」
いや終始カオスだったのによく楽しめたな……
…………
うん。流石にトランプ初めての人に大富豪は難しすぎたな。
自分が一番良くやってたから適当に決めたが、次はもっとババ抜きみたいな簡単な奴にしよう。
むしろ二人とも発想が奇想天外すぎて楽しかった。
俺は自分の中でそう決め、大富豪を終えた。
俺が何の訂正も入れずに終えたため、二人の中での大富豪は"ジョーカーが手札に来たら勝つゲーム"になった。




