何故か姫と戦うことになりました。(4)
「タケル様、追いかけてみてはいかかですか?」
姫が城内に入った扉をぼーっと眺めている俺にノールドが話しかけてくる。
「ユティナ姫をか?」
「ええ。あのまま放っておかない方が御二方の関係も良好に保たれるでしょうから」
「それもそうだな」
なんだか勘違いか何かをされてキレられてしまったし、せめて理由でも聞きに行くか。
俺はあの時王と姫が喧嘩していた、姫の部屋だと思われる部屋に向かった。
そして、途中何度か迷いかけたが、なんとか部屋の前まで到着した。
「あのユティナ姫ーー」
ガチャッ
扉を開けると、そこには床に横になりながら、何故か頰を赤くしているユティナ姫が居た。
「…………」
バタン
恐らくこれは見てはいけない類のものだろう。またの機会にーー
ガチャッ!!!
「帰んじゃないわよ!!!!!!!!!」
ああ、流石に無かったことにはできなかったか。
「すまんな、ノックを忘れて」
「いいからこっち来なさい!!」
勢いよく俺は部屋に引きずり込まれた。
「それで、どこから聞いてたの?」
「聞いた?特になにも聞いてなかったが」
「そう……」
姫が少しホッとしている。
なんなんだ。
「……それで、何よ」
「いや、さっき怒ってたからまず謝ろうかと」
理由がなんであれ謝るに越したことはないからな。
「べ、別にわざわざ謝らなくていいわよ!!」
「そうか。あ、あとなんでもするって言ってたことの件なんだが」
「まさかまだ諦めてないの!?!?」
「いや、そうじゃなーー」
「いいわよなんだってしてやるわよ!!この私にできないことなんてないんだから!!!!」
何を勘違いしていらっしゃるのだろうか。
「いやだからーー」
「何が望み!?私に何をしろって言うのよ!!」
「いやーー」
「いやらしいことね!?そうなのね!?!?」
「そうじゃなーー」
「やっぱそうじゃないの!!」
何を先走っているんだこの姫は!?!?
「いいわよ!!なんだってしてやるわ!!」
いいのかよ!?!?!??!?!?!?!??
「いや流石にーー」
「触りたいのね!?!?どこを触りたいの!?!?!?」
もう勘違いの域を超えて難聴だな!?!?
流石にが触るに聞こえるのは流石に無理ありすぎだろ!?
「流石に無理がーー」
「胸ね!?胸を触りたいのね!?!?」
暴走しすぎだろ!?!?!?
突然ユティナ姫が戦う時身につけていた鎧を脱ぎ、下着姿になる。
「何故脱いだ!?!?」
「決まってるじゃない!鎧着てたら触れないからよ!!」
「別に触りたくないから!?!?」
「何言ってるの!!触りたいって言ったのはあなたでしょ!?」
「言ってないから!!触りたくないから!!」
「そんなに私の胸を触りたくないのかしら……?」
何故急に落ち込み始めたし。
「いや別にそういうことじゃなくてだな」
「ならいいじゃない!!触りなさいよ!!!」
ユティナ姫が無理やり俺の手を掴み、胸に押し当てる。
何故だ!?ユティナ姫って男嫌い系の人間じゃなkーー
ムニュッ
手から柔らかい感触が伝わってくる。
突然の出来事に俺が硬直したその直後。
ガチャッ
「大丈夫かユティ……ナ……」
部屋の扉を開けた王と目が合う。
「…………」
「…………」
「…………」
俺とユティナ姫、そして王が全員言葉を失い、少しの間空気が凍る。
バタンッ
そして何も言わないまま王が扉を閉じた。
「「…………」」
ガチャッ!!!
「帰らないでくれ!!!!!!!!!」
「帰んじゃないわよ!!!!!!!!!」
俺とユティナ姫が同時に扉から顔を出し、去ろうとしている王に言う。
「流石になかったことにはできなかったようじゃの……」
なんだかデジャブを感じるぞ。
結果、王を部屋に引きずり込んで事情を説明することになった。
ついでに、ユティナ姫の勘違いもどうにか解消した。
「ふぉっふぉっふぉ、そういうことじゃったか」
王が明るい口調で言う。
気のせいか知らないがなんか最初に会った時より随分と親しげだな。
「てっきりもうそういう関係になったのかと思ったわい」
「出会ったの今日だぞ。それは早すぎだろ」
「そうとも限らんぞ。ユティナは強い人をずっと探ーー」
「そんなわけないからっ!!」
「そうかのう……」
「というかもう勘違いは溶けたんだからいいじゃない!早く部屋から出て!!」
ユティナ姫が王の背中を押し、無理やり部屋の外に出す。
「じゃあ俺も出てった方がいいよな」
「いや、別にどうしてもここに居たいって言うなら居てもいいわよ?」
「いや、中庭でエッシェル達を待たせてるし、早く行かないと」
「そう……」
「それじゃ!」
俺はユティナ姫の部屋を後にした。




