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宿に戻りました。(3)

「ん……」


俺の右隣から声が聞こえる。


「ふあー、あっ!!あぁ、ああ!?!?!?」


シエラか。朝が来たのか。

というかなんか変な驚き方してないか……?


「ふあぁ……」


エッシェルの声も聞こえる。

エッシェルの声は何故か左から聞こえない。

下からというか前というか……


ん???


俺はゆっくり目を開ける。


しかし何故か前が見えない。いや、目の前が真っ暗だ。


「暗っ!?」


「暗い?朝だよ?」


エッシェルの声が聞こえる。


「いやでも暗……あ」


昨日のことを思い出す。

そういえば俺、ステータスウインドウを顔面に貼り付けて寝ていたんだった。

朝になって冷静になったから思うが、何やってんだ俺。

どんなゲームにもアニメにも流石にステータスを顔に貼り付けて寝る奴はいねえぞ。


「すまんすまーー」


寝ている間ずっと開きっぱなしだったステータスウインドウを閉じた瞬間。


俺の目の前には、エッシェルの顔があった。


「!?!!?!??!?!!?!??!?」


何ですか!?新手の寝起きドッキリですか!?ステータス閉じたら美少女が居たんですけど!?

まるでパソコンのデスクトップ背景を美少女に変えた後にインターネット閉じたら美少女が画面いっぱいに広がってちょっと驚いたみたいなそういう……って何考えてんだ俺。


「お、おはよ……」


エッシェルが少し顔を赤くして目を逸らす。


そんな恥ずかしそうにされたらこっちの方が恥ずかしくなってくるんですけど!?!?!?


「二人っていつもこういう感じなんだね……」

「別にお願いしてくれたらボクだって……」


「何を言っているんですかねシエラさん!?」


「だってほら、昨日だって……」


あ。そういえば昨日も朝起きたらエッシェルが……

あれ?一昨日もじゃね?

その前もじゃね!?


「なあエッシェル、朝起きたらお前いつも俺との距離が寝る前よりだいぶ近くなってないか?」


「だ、だってタケルが……」


「俺のせいじゃないよな!?明らかにエッシェルがいつも上にいるよな!?!?」


「別にボクにしてくれたって別にいいんだよ……?」


「何を言ってるのかな!?!?!?」





ちなみに、それから収集をつけるのに約20分かかりました。





「おはようにゃ!!」


王都に向かう支度をし、部屋から出てカウンター前まで来た俺たちを猫耳娘が迎える。


「おう、おはよう」


「おはよ!!」


「おはよう!」


なんというかこのいい子感に安心感を覚えてきたな。


「ちょうど今朝食ができたところにゃ!!」


「今できたのか!」


「出来立てにゃ!空いてる席に座って待っててにゃ!」


それにしてもナイスタイミングだな。

よく気まぐれに起きる俺たちの起床時間が分かったな。

……ん?もしかして俺たちの会話が聞こえてたのか……?

もし俺たちが起きた後の会話が聞こえて来て作り始めたとして、それから20分……


うん。考えないようにしよう。


「わーい!!」


エッシェルが俺たちが前に座った席にすわる。

朝から元気なことだ。


「相変わらず元気だね……」


シエラが言う。


「そうだな」


シエラもさっきまあまあ元気だったと思うがな。

いや、だとすると俺も元気なのか。


俺たち二人も少し遅れて席に座る。


「今日は最後の朝食だから頑張って作ったにゃ!」


猫耳娘が料理を持ってくる。

その量自体は昨日の昼食や夕食ほどではないが、そのクオリティは決して劣っていない。


「ありがとな!!いただきまーす!!」


卵のような料理から口に運ぶ。


「やっぱ美味いな!」


すごく美味しい。

ふわふわの卵焼きみたいな感じだ。


「うん!美味しい!」


「美味しいね!!」


シエラとエッシェルもやはり大絶賛だ。


「ありがとにゃ!!」


猫耳娘が笑顔で言う。

かわいいな全くこの娘は。


結局今回の朝食も、俺たち三人とも残さず綺麗に完食した。




そして俺たちと猫耳娘はカウンターに回る。


「その、この宿に泊まってくれてありがとにゃ!!」


「ああ。二日泊まれなかったのはすまなかったな」


「全然いいにゃ!戻って来てくれてありがとにゃ!」


いい子だなぁ。


「お前の料理、すごく美味かったぞ」


「ありがとにゃ!!」


猫耳娘がぱあっと表情を明るくし、言う。


「なあ、最後に名前聞いてもいいか?」


名前くらいは知っておきたいからな。


「ケトルって言うにゃ!!」


ケトルか。覚えておこう。


「そうだケトル、これを」


「何にゃ?」


俺は白金貨の入った小袋に手をつっこみ、適当に数枚とって渡す。


「にゃ……にゃああああああああ!?!?!?!?!?!?」


「宿の予算にでもしてくれ」


どんな援助が出てるかは知らないが、流石に1泊500円じゃ赤字だろうしな。


「こ、これもしかしなくても白金貨にゃ!?!?!?!?!?」


「ああ」


「くれるにゃ!?!?」


「ああ」


「ほんとかにゃ!?」


「ああ」


「ほんとにほんとかにゃ!?!?」


「ああ」


「タケル様!!一生このご恩はわすれないにゃ!!!!!」


俺の名前知ってるのか。

ああ、部屋を取るときに書いたからか。


「様はつけなくていいよ。じゃあな、もしまたこの街に戻って来た時にはまた来るな」


「待ってるにゃ!!行ってらっしゃいにゃ!!」


「タケル、優しいんだね!」


宿から出た後、エッシェルが言う。


「そうか?ただあげたくなったからあげたんだが」


「ボクもその気持ちはすごくわかるよ」


「まあ確かに私も分かるけどねー」


「あ!そうだタケル!!」


「どうした?」


「これ持ってて!!」


エッシェルが俺に三つに分けた白金貨の小袋を渡す。


「俺が持ってていいのか?」


「一緒にいるんだしいいじゃん!それに私がもの買ってもタケルが払ってるし!!」


言われてみればそうだな。


「そうだ!じゃあボクのも持ってて!!」


シエラも俺に小袋を渡す。


三つに分けた意味とは一体……


「一応受け取るけど俺そんなに持てない……あ」


そういえば便利な魔法があるんだった。


「収納空間」


俺の右上の方に紫色の空間の穴が開く。


「ほいっと」


俺が最初から持っていた小袋、そしてエッシェルが俺に渡した小袋、シエラが俺に渡した小袋を全部収納空間に入れる。


「なにそれ!?!?!?!?」


なんかシエラがめっちゃ驚いている。

そういえば知らないんだったか。


「中に荷物とかいろいろ入れておける魔法だ」


「そんな便利なの使えたの!?!?」


ま、驚いて当然か。レアな魔法らしいからな。


「まあな」


「流石だね……」


俺たちは、王都へ向けて歩き出した。

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