魔人が街に襲撃して来ました。(4)
!?!!?!???!!?!??!?!??!?!?
突如、常に激しく動き続ける文字が俺の視界を覆う。
「ちょっ、暗っ!!!」
俺は自分の顔の前を手で払う。
そんなことをしてももちろん文字が消えるはずはない。
「うわっ!!なんだこれ!!」
すごく目がチカチカする。誰か助けて。
「暗い!?どう考えても眩しいわ!!」
シェスタが俺の言葉に反応する。
「お前らは眩しいかもしれないが俺は暗いんだ!!」
文字が目の前に出てない人たちからすれば今は凄まじい光が結界の外側から来ているのだろう。
「タケルもボクたちと同じ場所にいるんだよね!?」
シエラが言う。
ちょっと何を言っているのか一瞬分からなかったが、俺だけ暗いと言っていることに違和感を感じたのか。
「なんか熱くなってきたよ!!」
エッシェルが言う。
うん。確かに周りの温度が上がってる気が……
そう思った直後。
ピシッ!!ピシピシッ!!!
結界から不穏な音が聞こえる。
俺たち四人はこの音を聞いて、一瞬で悟った。
ーーー結界が、壊れる。
この音は間違いなく結界にヒビが入っている音だ。
文字の荒ぶりが割と治まってきたとはいえ、まだ文字で前が見えないから確認はできないが、確実にそうだ。
微妙に漏れている熱量。
結界では防げない凄まじい光。
そして、この不穏な音。
「うん。これは割れるな」
目の前の荒ぶる文字を頑張ってスルーし、平常心を強制的に保つ。
「え!?やっぱこれ結界の音なの!?ボクたちまずくない!?」
「あの結界が割れるの!?!?」
「うーん、頑張って張ったんだけどなー」
エッシェルよ、そんなことを言っている場合ではないぞ。
ピシピシパキパキッ!!!
あ、パキって聞こえた。
「さっきから何が起きてるのか分からないわ!!!」
シェスタが叫ぶ。
と言っても、次第に大きくなる轟音でほとんど聞こえない。
メシャメシャ!!!!
そう音が聞こえたところで、顔の前の文字が薄くなって消える。
そして俺の目に映ったのは、そこら中にヒビが入って今にも砕けそうな結界と、おぞましく眩しい光だった。
これまじで割れるやつだぞ!?
結界が割れる所を見たことはないが、確実にそれが近いことはわかる。
今すぐ結界魔法を貼らなければ!!
レベルが上がったから恐らくMPは回復しているだろう。
前1から30まで上がった時はしっかり魔力が回復していたからな。
とはいえ集中して新しい魔法を探している暇はない。
何か今までに使ったことがある防御魔法は……
そうだ!!キャンプ場的な所を魔物に襲われた時に障壁という魔法を使ったはず!!
だがあの魔法は恐らく10メートル四方くらいが最大範囲だろう。この魔法は防げないんじゃ……
いや、何発も使えばいいか。
たしか消費MPは3000くらいだったし連発できるだろう。
「障壁!!!!!」
今にも壊れそうな結界のすぐ内側に、障壁を何百個も並べて街の前に巨大な壁を作る。
透明の巨大な壁ができると、その直後に結界が限界を迎える。
ピシピシッ!!ガシャアアアアアアアン!!!!!
凄まじい音とともに結界が砕け散る。
そして、凄まじい轟音と光が届く。
が、熱は届かない。
「「「うわああああああああああああああ!!!」」」
三人が叫んでいる。
恐らく俺が障壁を張ったことを知らないのだろう。
障壁では音と光を防げないから凄まじい轟音と光に目と耳がタコ殴りにされているが、しっかり熱は防げている。
それから約10秒後。
1分以上続いた凄まじい古代魔法がとうとう終わる。
「ああああああ……あれ、ボク生きてる?」
「あら……?」
「終わったの?」
三人が立ち上がり、街を見渡す。
街は無事だ。
そして後ろ、平原を見た直後、三人が固まる。
「なによこれ……」
シェスタが僅かに声を漏らす。
俺も同じ感想だ。
俺たちの視線の先には凄まじい数の魔物どころか、平原すらなく、ただただ真っ赤な地面が広がっていた。
平原は、全くもって無事じゃなかった。
「ボクたちが逃げて来た魔物は……?」
「……いないね」
「いないな」
「…………」
魔物の走るゴゴゴゴという音が突如消え、ただ街からのざわめきだけが聞こえる中、俺たちは無言で立ち尽くす。
……まさか、古代魔法がこんなに強力だとは思っていなかった。
「……なあシェスタ」
「何よ」
「さっきなんでもするとか言ってなかったか?」
「こんなことされたらなんでもするわよ」
「……そうか」
「…………」
「……なあシエラ」
「何?」
「魔物倒すのに聖剣いらなかったな」
「こんな魔法撃ったら流石に倒せるよ」
「……だよな」
「………………」
「……なあエッシェル」
「なに?」
「結界、もたなかったな」
「結構自信あったんだけどね」
「……そうか」
「……………………」
会話が続かない。
というかもう会話に集中できない。
いろいろとあらゆることが想像の垂直上方向に行っていたせいで、なんか反動がすごい。
嵐の後の静けさといったところなのか。
俺がさっきまで走っていた魔物はどこへ行ったのだろう。
俺が助けたあのコウモリの魔物は一体どうしたのだろう。
あの心地よいそよ風はどこに消えたのだろう。
そんな疑問をただ頭の中で繰り返し、焼け野原を見る。
ただ一つわかっているのは、それを消したのが俺だということだ。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「…………いい天気だなぁ……」
その後、この沈黙は、街の兵士たちが俺たちのところに集まってくるまで続いた。
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