表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/70

突然事件が起きました。

「食料調達とは言っても一体何を調達すればいいのやら……」


「私はいつも果物食べてたけど、同じ果物はこの森にはないよねー。」


俺たちは悩みながらログハウスから出る。


ーーーーーーーーその直後。


「うあああああああああああああああああっ!!!」


突如、冒険者の悲鳴が聞こえてくる。


「何かあったみたいだ!行くぞ!」


「うん!」


俺たちもすぐにそこに向かう。


するとそこには倒れた二人の男冒険者、そして少し離れたところに虎の魔物が居た。

しかしその虎の魔物は昼見たものよりも大きくて黒く、凶暴そうな見た目をしていた。


「大丈夫ですか!!」


シェスタがすぐに倒れた冒険者達の側まで走る。


「癒しの光よ!治癒!!」


冒険者たちにシェスタが治癒魔法をかける。


「クッハッハッハッハ!!!無様なものだなヒューマン供!!!」


森の中から顔つきの悪い男が出てくる。

その男は宙に浮いていて、そして二本の小さな角を生やしていた。


二本の角で人型……ということは……


「まさか魔人……?」


「うん。魔人だよ」


エッシェルが言う。


「魔人!?!?」


「なんでそんなのが此処に!?!?」


冒険者達がざわめく。


「みなさん!!とにかく一旦此処から離れて下さい!!」


シェスタが誘導し、冒険者達を後ろに引かせる。


「させるかよ!!」


魔人の男が手を前にかざすと、虎の魔物が冒険者に向けて走り出した。


「おりゃあっっ!!」


俺は魔物の正面に回り、思いっきり魔物を殴る。

しかしその魔物は数メートル下がっただけで、倒すどころかまともにダメージを入れることはできなかった。


「ほう。貴様、ヒューマンにしてはなかなかやるな。だがこれならどうだ!!」


男がそう叫ぶと、茂みの中から昼に出会った、弱い虎の魔物が7体出てくる。


「今此処に魔の力を以って力を授ける!!強化!!!!」


男がそう唱えると、虎の魔物はみるみる大きくなってゆき、7体の虎は先程俺が殴った凶暴な虎に変異する。


「お前が虎を変異させてたのか……」


「ああ!!お前は世界征服の最初の犠牲者に選ばれたってわけだ!!」


世界征服……そんなことを企んでいるのか。


「地獄の業火!!」


エッシェルが一番手前にいる虎に向けて魔法を撃つ。


その魔法は試験の時に使った魔法よりもずっと強力なものだったが、その魔物にまともなダメージを与えることはできなかった。


「そんな……」


「ギャハハハハハハハハ!!そっちのヒューマンもヒューマンにしてはなかなかやるが、まだまだだなぁ!!」


エッシェルが元魔王の娘だってことに気が付いていないのか。思ったよりも隠蔽魔法が優秀なようだ。


「グルアアアアアッ!!!!」


魔物がエッシェルに飛びつく。


ー音速剣士・瞬風ー


「おらあああああっ!!!」


俺はスキルによる速度を利用してエッシェルに飛びかかった魔物を殴る。


バアアアアアン!!!!という凄まじい音がしたが、魔物は無傷だ。


「そこの武闘家さん、さすがに素手じゃあ無理があるぜ?」


やはりそうか……


「火炎弾!!」


今度は魔法を撃ってみる。


ゴォォォォォッ、という音とともに魔物達が炎に包まれるが、これもまた無傷だ。まあ最弱の魔法じゃ流石に無理だろうな。


「お前も魔法が使えたのか!!でも残念だったな!!そんなんじゃあ甘いんだよ!行け!!」


男が言うと、8体の魔物達が一斉に飛び出す。

その魔物達は俺たちの後ろにいる、冒険者達を狙っていた。

このままじゃみんなが危ない!!


何かいい魔法は……

意識を集中させる。


ー結界魔術師・障壁 MP消費:3000ー


少し消費MPが高いがこれを使うしかない!!


「障壁!!」


俺がそう唱えると、俺とエッシェルの1メートル程度後ろに透明の壁ができ、他の冒険者達を襲おうとした魔物達が阻まれる。


「チッ!小賢しい!やっちまいな!!」


魔人の男がそう言うと、全ての魔物が俺に飛びかかってきた。


「タケル!!危ない!!」


「大丈夫だ!」


ー黄金剣士・自動反撃ー


飛びかかったはずの8体の魔物が弾かれる。


「ぐっ……」


流石に全部素手で弾くと手へのダメージが激しいな……


「地獄の業火!!!」


エッシェルが再び魔法を放つ。しかし魔物にダメージはない。


「炎弾!!!」


エッシェルが続けて炎の弾を放つ。しかしタメージはない。


「グアアアアッ!!」


今度は8体の魔物が一気にエッシェルに向けて走り出す。


「きゃっ!!」


エッシェルが魔物の迫力を前にして、尻もちをつく。


「くっ……」


右手が痛む。瞬風を使ってエッシェルの前まで行っても、この手では攻撃を弾ききれないだろう。


防御魔法で一回攻撃を防いでも何度も攻撃されたら意味がない。

もうこうなったら一気に決着をつけるしかないが……


魔物に対して攻撃した時のことを思い出す。

様々な魔法を撃ったり物理攻撃も試したが、全くダメージを与えられなかった。

恐らく魔法耐性や物理攻撃耐性などの類ではなく、単純に体力や防御力が高いのだろう。

そんな防御力すら突破できそうな魔法は無いのか!?


俺は必死に考える。もしもここであの魔物を倒さなければエッシェルの身が危ない。

この世界で初めて出来た大切な仲間を失うわけにはいかない……!!




だが、ここで大きな問題が1つある。




果たしてあの魔物を倒せる魔法を撃ったとして、その魔物に囲まれたエッシェルはどうなる?




恐らくエッシェルにも被害が及ぶのは間違いない。それに最悪の場合、後ろにいる冒険者達を傷つけることになってしまう。


だとすればどうすればいい!?


俺が今必要としている魔法、それはーーーーーーーー


「あの魔物達8体をピンポイントで、狭い範囲で撃てる超火力の魔法」


……!!


1つだけ、心当たりがある。


それはこの世界で初めて使った、決して忘れられないほど衝撃的だった魔法ーーーーー




"天滅"。




あの時1発撃つだけで殆どの魔力を消費して撃ったあの魔法。

魔力が大幅に上がった今ならば。


俺はエッシェルに飛びかかろうとする魔物達に向けて手をかざす。


殆どの魔力を使ってしまうが、エッシェルを守れる上に魔物を倒せるならばお釣りが来るほどだ!!


直後、1体の魔物の真下に真っ白な魔法陣が出る。

そして2体3体…


連続で全ての魔物の下に魔法陣が出る。


「天滅!!!!!!!!」


直後、前撃った時よりもさらに強い光を8本の柱が放ち、前撃った時よりもさらに大きい轟音が響く。


凄まじい衝撃がしばらく続いた後にその場に残っていたのは。







魔法を放った俺、唖然とする魔人、そして無事でいる冒険者たちとエッシェルだけだった。

天滅最強説。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ