【オン75】イベント騒ぎは大騒ぎ
「門らしくなってきたね~」
『門だけね』
「入りたい放題だけどな」
「扉がないものね~」
「先ずは防壁からでござるからな、仕方ないんだな」
「でも道はらしくなってきてるじゃん」
ゴーレムが歩いて道になるルートの土を固めてくれているので、パッと見ただけでも轍の後の様に道っぽくなってきている。
木の加工がある分だけ防壁が遅れている。
『パニア、ゴーレムって後一体くらい増やしても問題ないかな?』
「うむ、モンダイ、ナイ」
『ゴーレムの形ってさ、あの人型しか出来ないかな?』
「ドウイウ、コトだ?」
『こう、太めの板状で中央に縦線状の穴を開けて、円盤状のノコギリを中央で止めて回転させるみたいな事って出来ないかなって』
パニアの居る台の前で紙に図を描きながら説明していく。
興味深そうにタリスマンがオレの描いたモノを見ている。
「フ~ム……ソレクライ、ナラ、ゾウサモない」
「出来るんだね」
シュネーが人差し指を唇に当てながら、感心した様に呟く。
「ヒトガタ、ツクル、より、カンタンだ」
『確かに人型の方が複雑だね』
「コレなら、コストはイラナイ、な」
あとの問題は回転する速度か。
『試しにこの木の板を中央部分と仮定して、回せる? どれくらいの速度か知りたいから』
「ショウチ、した」
簡単な四角い木の板を取り出して、板の真ん中に穴を開けたモノを用意した。
最初はゆっくりと回しながら、徐々に回転速度を上げていく。
段々と風を切る音が周りに響く。
『うん、良い感じ……次は土に当てながら回して見て貰える』
「フム、リョウカイ」
今度は軽く土に当てつつに回転させていく。
ゆっくりでもしっかりと回転しているので、また徐々に回転速度を上げてもらう。
『どう、まだ回せる?』
「モンダイない」
ガリガリと大きな音を鳴らしながらも、小石なんかも吹き飛ばして回転する。
最終的にはドドドッーーっという凄い音を響かせて縦長い穴が出来てしまった。
「作業機械ゴーレムって感じのが出来ちゃったね」
『コレって……オレ達が持ってたら吹っ飛んでたよね』
「キドウ、チュウは、あるテイド、の、ショウゲキ、ウゴクこと、デキナイぞ」
「コレは加工作業なんかを手伝って貰おうかなって思ってるヤツでしょう、なら機動性は考えなくっても良さそうよね」
「でもさ、コレって丸くすれば乗り物っぽくなるんじゃないか?」
それは考えなくもなかったけど。
色んな事を我慢しないと乗れそうにないだろうね」
『お尻が割れても良いなら、乗れると思うよ』
「あ~、タイヤが石になるもんね」
「座る座席も石よね~」
ボウガさんにお願いして、乗る部分を木造りでクッションになるモノを敷けばマシになるんだろうけどね。
さっきのスピードとパワーを見るに、無意味になる可能性が高いね。
馬車なんかの弾くスピードでならクッションでも効果があるんだろうけどね。
『スライムみたいな魔物に座れたら……アリかもしれないけどね』
チラッとティフォを見る。
「嫌だぞ、俺はカッコいい奴を次は仲間にするんだからな」
スパイクを膝上に乗せて、撫でながらいうティフォの姿は何とも説得力ない。
周りのウサギさん達がスパイクを嫉妬の目で見ているのに対して、目を細めて気持ちよさそうにワザとらしく欠伸をして、口端が少し上がっている。
時々、スパイクの右目が開いて勝ち誇ったようにウサギさん達を見ている。
それを見たウサギさんが、悔しそうにニンジンをバリバリとかぶりついている。
また違うウサギさんは、ストレスを解消する様に土を乱雑に耕している。
「スパイクって何気にやる子だよね」
『前に羨ましそうに、ウサギさん達を見てたもんね』
まぁそれはそれとして、コレでボウガさんの負担も減らせるかな。
「それで……なんでアンタが此処に居るのよ? というかいつの間に混じってたわけ?」
白衣の衣装に学生服のスカートを翻し、自然な感じでお姉さんが一人、混じっていた。
「あら、なんか集中していたみたいださ、邪魔しちゃ悪いじゃん? だから自然な感じで近付いたんだけどダメだったかしら?」
「いつから居たんだな?」
「いやね、最初からよ? やっぱり情報は自分の足で確かめに来なくっちゃね」
オレに向かって可愛らしく片目を瞑ってみせる。




